君のナミダに渇くカラダ

あーむす。

文字の大きさ
上 下
22 / 36

22.何で…

しおりを挟む
またまたまたまた、呑み会がお開きになると、リーダーは私を家まで送ってくれた。

本当に、向かいに住んでるってラッキーだったなぁ、と思う。

少し疲れたかのようにそこはかとなく丸まったその後ろ姿を見ながらついていく。

何も言わないけど、私がストーカー(彼は元カレと勘違いしている)から何かされるんじゃないのかと、まだ心配してくれているんだろう…と思っている。

本当のことを言ってないことに対し、少し後ろめたくも思うけど…

でも、今日はあの里佳さんのことで頭がいっぱいになっていた。

彼女が、本人の言う通りに、本当に幼馴染みであり元カノであるとするならば、必然的にリーダーと同じ村出身ということになり、そうなればきっと彼女も吸血鬼だということになるのだろう。

だとすると、一族のはみ出し者のリーダーと、何故付き合うという事態になったのだろうか?

まず、出て行った彼とどうやって出会ったの?

もしかして、連れ戻しに…いや、はみ出し者として殺しに…とか?

里佳さんがりーdの首筋に噛み付いているのを想像して、思わず身震いしてしまった。

「ん、大丈夫か?」

ほんの少し前を歩いていたリーダーが、少しだけ歩くペースを落として隣に並ぶ。

「いや、何でもないですよ?」

顔の前でヒラヒラと手を振ったが、すぐ側にいるはずなのにリーダーが少しだけ遠くに感じた。

「…なぁ、やっぱりなんかあっただろ?お前。
…もしかして、里佳か?」

滑り出た気にかかっていた名前にピクリと反応する。

「あー、あいつやっぱり…」

髪をくしゃくしゃ、と搔きむしっている姿を見ていると、元カノ、という言葉が脳裏に浮かんだ。

…これは、聞くなら今しかないかもしれない。この流れじゃないと、本人の口からこの話を聞くことなんてできないんじゃないだろうか。

そもそも、もう一度2人きりになる機会があるかなんてわからないような関係性なのだ。
さらに、里佳さんの名前が話題になるチャンスなんて今後くるかどうかなんてわからない。

…うん。聞いてみよう。聞かなきゃ、始まらない。

「…あの、やっぱり彼女は吸血鬼なんですか?何で…」

元カノ何ですか、とは聞けなかった。

飲み込んだ質問が届くはずなんてない。

でも、リーダーはふっと真面目な顔になると、「お前には話しておいた方がいい気がする」といい、話始めた。

さっきまで里佳さんが話していたように身振り手振りではなく、リーダーの語り方はまるで鏡に向かって独り言をつぶやいているかのようだった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

異世界に転生したので、とりあえず戦闘メイドを育てます。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:944

欲しいのは惚れ薬、私が飲むんです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:13

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,228pt お気に入り:3,516

転生王子はざまぁされたい

BL / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:204

【完結】24十字架の傷がくれたもの

恋愛 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:524

【完結】 婚約者が魅了にかかりやがりましたので

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:497pt お気に入り:3,407

忠犬ポチは人並みの幸せを望んでる!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:99pt お気に入り:2,266

処理中です...