326 / 329
本編
雪の精
しおりを挟む
スキーの魅力に取り憑かれたロスカによって、三巳は今魔法では無く木の板を履いています。
魔法が不得意な子でも楽しめる様に試行錯誤を繰り返していて、三巳はそのテスターを引き受けているのです。
「うぬ。雪がへばり付く。要改良なんだよ」
改善点を探したら魔法でカバーです。ワックスの要領で裏を覆えばもう雪は付きません。
「さて、今日はダム湖に行ってみよう」
晴天に恵まれた今日は、きっとスケートを楽しんでいる人達で賑わっていることでしょう。
ペタペタパタパタスッスッスーッとスキーをしているとは思えない軽快さで山道を駆け抜けます。
そして着いたダム湖は思惑通りに賑わっていました。
「うぬ!計算通り!精霊ももしかしたら楽しくなって出て来るかも!」
という大義名分でここからはスケートに参戦です。
板とストックを壁に立て掛けたらスケート靴と交換します。そして連日の寒さですっかり分厚いスケートリンクとなった上を軽快に滑り始めました。
「んぬふふふー♪スケートはスケートで楽しいんだよ!っと……ちゃんと精霊も探してるんだよーっと……」
三巳は9割の楽しい、1割の探索でリンク上を駆け滑り回ります。勿論合間合間で山の民達の安全確認にも余念がありません。
「まあ皆はロダとミナミが見守ってるよーだし、リリも救急セット持って来てるし、大丈夫そーなんだよ」
一安心で鼻歌を歌い出す三巳です。調子に乗ってピョンと跳んで空中でクルンと横回転をしたり、片足で滑ったりとフィギュアスケートごっこをする余裕振りです。
そんな三巳の頬をヒンヤリとした風が撫でていきました。
三巳は急に来た冷たい空気にブワワワッと毛という毛を膨らませます。
「冷た!?」
冷たいのは全身に伝播して、思わず膨らんだ尻尾毛玉で全身を包みます。
顔まで覆って毛玉三巳になると、その勢いのまま毛玉がリンクをポヨンポヨン跳ねて滑って壁の手前で止まりました。
「???」
冷たい風はあまりにも不自然で、けれども一瞬の出来事で三巳は訳がわかりません。
止まった姿勢で顔だけ出してキョロキョロしちゃいます。
そこにキラキラしたものが目の前にやって来ました。
『ごめんねごめんね』
『楽しそうだったから一緒したかったの』
キラキラはポンと小気味良い音と共に、小さな小さな綿毛の姿になりました。綿毛からは小ちゃな小ちゃなラピスラズリ色のお目々が覗いています。
「ケサランパサラン?」
幸運を呼ぶと言われる真っ白な毛玉に似ているので、思わず口に出てしまいました。けれども綿毛は意味がわからなかったのか首を傾げる様にクルンと回転させてしまいます。
「んにゅう?」
合わせて毛玉三巳もクルンと回ります。回ったところでふと綿毛から漂う気配に気付きました。
「んあ!?精霊力!」
そうです。綿毛は精霊だったのです。
三巳は探していた第一精霊人に興奮丸出しです。毛玉のままでその場ジャンプで喜びの表現をしています。
『確かにボクらは雪の精霊』
『でもでも神族の方が珍しいよ』
『だってだってボクらより圧倒的に個体数が少ないんだもの』
あまりの喜ばれように、雪の精霊が真っ白綿毛をポポポとピンクに染めて照れてます。
『そうか?三巳神族の方が出会い多いんだよ』
『そりゃそうそりゃそう』
『だって同族だもの』
雪の精霊達に言われて三巳はご近所付き合いみたいなものかと納得します。
『ボクらは精霊の集まりがあるからね』
『たまにたまに沢山集うよ』
『前にも前にも……あれあれ?前っていつだっけ?』
『いつが最後で次はいつ?』
雪の精霊は右にクルクル左にクルクル回って、「あーでもないこーでもない」と不明のループをクスクス笑って楽しんでいます。
三巳も楽しくなって起き上がり小法師が如くコロコロ回って笑っています。
『あれれぇ?何だったけ』
『あれあれれぇ?忘れちゃった』
そうしていると雪の精霊達は何を話していたのか忘れてしまったようです。それでも楽しくケラケラ笑ってクルクルクルンと回ります。
「にゅ。三巳は精霊を探してたけど出会えないって話なんだよ」
三巳は精霊を探していた事を思い出しました。
雪の精霊達は小ちゃな小ちゃなお目々をパチクリさせて回転が止まります。
『探してた?探してた?』
『呼べば来た?』
『呼べば来る』
雪の精霊達は空中でピョンコピョンコと跳ねて教えてくれます。
そうです。神族である三巳は一応世界の最上位なので、精霊や妖精ならある程度呼んだらきてくれるのです。
そんな事は梅雨知らず、三巳が今度はキョトンとします。
「三巳が探してるのに来て貰うのは悪いんだよ。場所さえわかればこあい所以外は三巳が行くんだよ」
怖い所は断固拒否の姿勢は崩しません。
精霊達は何時も好き勝手呼ばれるだけの存在です。少しばかりうんざりする事もありました。
だからか雪の精霊達は三巳の思いやりに嬉しくなります。ポポポと綿毛をピンクに染めると、小ちゃな小ちゃなお目々を細くニッコリお目々の形にしました。
『三巳好きー!』
『『『好き好きー!』』』
雪の精霊達に好かれた三巳は、とっても嬉しそうに毛玉を綿毛に擦り合わせてほっこりしたのでした。
魔法が不得意な子でも楽しめる様に試行錯誤を繰り返していて、三巳はそのテスターを引き受けているのです。
「うぬ。雪がへばり付く。要改良なんだよ」
改善点を探したら魔法でカバーです。ワックスの要領で裏を覆えばもう雪は付きません。
「さて、今日はダム湖に行ってみよう」
晴天に恵まれた今日は、きっとスケートを楽しんでいる人達で賑わっていることでしょう。
ペタペタパタパタスッスッスーッとスキーをしているとは思えない軽快さで山道を駆け抜けます。
そして着いたダム湖は思惑通りに賑わっていました。
「うぬ!計算通り!精霊ももしかしたら楽しくなって出て来るかも!」
という大義名分でここからはスケートに参戦です。
板とストックを壁に立て掛けたらスケート靴と交換します。そして連日の寒さですっかり分厚いスケートリンクとなった上を軽快に滑り始めました。
「んぬふふふー♪スケートはスケートで楽しいんだよ!っと……ちゃんと精霊も探してるんだよーっと……」
三巳は9割の楽しい、1割の探索でリンク上を駆け滑り回ります。勿論合間合間で山の民達の安全確認にも余念がありません。
「まあ皆はロダとミナミが見守ってるよーだし、リリも救急セット持って来てるし、大丈夫そーなんだよ」
一安心で鼻歌を歌い出す三巳です。調子に乗ってピョンと跳んで空中でクルンと横回転をしたり、片足で滑ったりとフィギュアスケートごっこをする余裕振りです。
そんな三巳の頬をヒンヤリとした風が撫でていきました。
三巳は急に来た冷たい空気にブワワワッと毛という毛を膨らませます。
「冷た!?」
冷たいのは全身に伝播して、思わず膨らんだ尻尾毛玉で全身を包みます。
顔まで覆って毛玉三巳になると、その勢いのまま毛玉がリンクをポヨンポヨン跳ねて滑って壁の手前で止まりました。
「???」
冷たい風はあまりにも不自然で、けれども一瞬の出来事で三巳は訳がわかりません。
止まった姿勢で顔だけ出してキョロキョロしちゃいます。
そこにキラキラしたものが目の前にやって来ました。
『ごめんねごめんね』
『楽しそうだったから一緒したかったの』
キラキラはポンと小気味良い音と共に、小さな小さな綿毛の姿になりました。綿毛からは小ちゃな小ちゃなラピスラズリ色のお目々が覗いています。
「ケサランパサラン?」
幸運を呼ぶと言われる真っ白な毛玉に似ているので、思わず口に出てしまいました。けれども綿毛は意味がわからなかったのか首を傾げる様にクルンと回転させてしまいます。
「んにゅう?」
合わせて毛玉三巳もクルンと回ります。回ったところでふと綿毛から漂う気配に気付きました。
「んあ!?精霊力!」
そうです。綿毛は精霊だったのです。
三巳は探していた第一精霊人に興奮丸出しです。毛玉のままでその場ジャンプで喜びの表現をしています。
『確かにボクらは雪の精霊』
『でもでも神族の方が珍しいよ』
『だってだってボクらより圧倒的に個体数が少ないんだもの』
あまりの喜ばれように、雪の精霊が真っ白綿毛をポポポとピンクに染めて照れてます。
『そうか?三巳神族の方が出会い多いんだよ』
『そりゃそうそりゃそう』
『だって同族だもの』
雪の精霊達に言われて三巳はご近所付き合いみたいなものかと納得します。
『ボクらは精霊の集まりがあるからね』
『たまにたまに沢山集うよ』
『前にも前にも……あれあれ?前っていつだっけ?』
『いつが最後で次はいつ?』
雪の精霊は右にクルクル左にクルクル回って、「あーでもないこーでもない」と不明のループをクスクス笑って楽しんでいます。
三巳も楽しくなって起き上がり小法師が如くコロコロ回って笑っています。
『あれれぇ?何だったけ』
『あれあれれぇ?忘れちゃった』
そうしていると雪の精霊達は何を話していたのか忘れてしまったようです。それでも楽しくケラケラ笑ってクルクルクルンと回ります。
「にゅ。三巳は精霊を探してたけど出会えないって話なんだよ」
三巳は精霊を探していた事を思い出しました。
雪の精霊達は小ちゃな小ちゃなお目々をパチクリさせて回転が止まります。
『探してた?探してた?』
『呼べば来た?』
『呼べば来る』
雪の精霊達は空中でピョンコピョンコと跳ねて教えてくれます。
そうです。神族である三巳は一応世界の最上位なので、精霊や妖精ならある程度呼んだらきてくれるのです。
そんな事は梅雨知らず、三巳が今度はキョトンとします。
「三巳が探してるのに来て貰うのは悪いんだよ。場所さえわかればこあい所以外は三巳が行くんだよ」
怖い所は断固拒否の姿勢は崩しません。
精霊達は何時も好き勝手呼ばれるだけの存在です。少しばかりうんざりする事もありました。
だからか雪の精霊達は三巳の思いやりに嬉しくなります。ポポポと綿毛をピンクに染めると、小ちゃな小ちゃなお目々を細くニッコリお目々の形にしました。
『三巳好きー!』
『『『好き好きー!』』』
雪の精霊達に好かれた三巳は、とっても嬉しそうに毛玉を綿毛に擦り合わせてほっこりしたのでした。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
110
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる