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シスターと僕たち 前編
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僕はみさきが死んでしまっていたと思っていたのだけれど、それは僕をこの世界に呼び出すための嘘だったようだ。その事をみさきに教えてみたところ、みさきは僕が悲しんでいたことを嬉しいと言ってくれた。そこまで思っていてくれて嬉しいとのことだった。
僕たちがこの世界でやるべきことはルシファーを復活させて新しい神と戦う事らしいのだけれど、地球がほぼ滅んでしまった今はそんな事に手を貸す義理も無いのではないかと思ってしまった。みさきはみさきで、僕と一緒に過ごせるのならどこでもいいと言ってくれているので、この世界で暮らしていくこともやぶさかではないらしい。
僕がサクラさんにとらえられていた家はみさきが壁を壊してしまったので住むことも出来ないので、寝る場所くらいは確保しておいた方がいいと判断した僕たちは、近くにあるという街へと向かうことにした。
徒歩でもすぐに着くとの言葉を信じていたのだけれど、二日間歩き続けてもそれらしい街は見えてこなかった。道を間違えてしまったのかと思って襲ってきた魔物に聞いてみたのだけれど、今歩いている街道をそのまま進めば街につくと教えてもらう事が出来た。僕をその街まで連れていってくれると提案してくれたのだけれど、みさきはこの場に置いていくとのことだったのでそれは丁重にお断りしておいた。
それから更に二日間歩いていると、遠くにうっすらと建物が見えてきた。みさきにそれを伝えると、みさきは嬉しそうにしてその街へと走っていった。みさきの走るスピードはとても速く、僕の脚はその速さについていくことが出来ずにいて、いつの間にかこいのぼりのような態勢で宙に浮いていたのだった。
「やっと街についたね。こんなに遠いとは思わなかったし、今度あの人たちに会った時には文句でも行ってみようかな。でも、まー君と一緒に過ごせて私は嬉しいよ」
無事に街についたのは良い事なのだけれど、僕はみさきに抱きかかえられているのが少し恥ずかしくなってしまった。手を握られたまま高速移動をしていたので、僕は自分の意思で止まることも出来ず、結果的にミサキの胸の中に包まれて止まることになったのだった。
僕はみさきと手を繋いで街を散策することにしたのだけれど、やたらとこの街の人に話しかけられてしまった。僕に話しかけてくるのが全員女性だったこともあるのだろうが、その馴れ馴れしい態度に少しだけみさきがイライラしているのがわかったので僕はみさきの手をひいて人混みの少ない方へと歩いて行った。
どこまでも追いかけられたらどうしようかと思っていたのだけれど、ある程度離れてしまえば元の場所に戻る習性があるようだ。それぞれに活動をしていい範囲が決まっているように、最初の位置から一定の距離があくと元の場所に戻っていった。そんな感じなのでどこまでも追いかけてくることは無かったのだった。
「ねえ、この街の女ってみんな見境なくまー君に盛ってくるんだけど、この世界でもまー君ってモテてしまうのかな?」
「たぶん、サクラさんにもらった能力のせいなんじゃないかな。異性にモテルとかそういう能力を与えられたんだよね」
「何それ、それって最低じゃん。まー君は私だけのモノなのにそんなの必要ないでしょ。あそこに戻って抗議してやるわ。いや、撤回させてやる。それが無理なら殺してやろうかしら」
「まあまあ、そんなに怒らなくてもいいんだよ。どんなに他人にモテたって僕にはみさきしか見えてないから気にすることないって」
「本当?」
「ああ、本当さ。僕がみさき以外の女に興味がないって知っているだろ?」
「うん、それは知っているけど、知らない世界だからちょっと不安になっちゃうかも」
僕は不安になっているみさきを抱きしめて頭を優しくなでてあげた。とても嬉しそうにしてるみさきを見ていると、僕もなんだく嬉しくなってしまった。
「おいおい、俺たちの縄張りでイチャイチャしてんじゃねえぞ。ここを通りたかったら通行料を払ってもらおうじゃねえか。それと、俺らを不快にさせた迷惑料も頂こうか」
そんな感じで僕たちに話しかけてきたのはいかにもゴロツキですと言った風貌の男たちであった。下品に舌を出して近づいてくる様子は知能指数の低さを簡単に表現してくれていた。僕は正直に言うと、関わるのが面倒だと思っていたのだけれど、相手が要求してきた金銭の持ち合わせが全くなかった。というか、この世界の通貨の事を何も知らないのだ。言葉を使えるようにしてくれたのは良いのだけれど、この世界の一般常識とかも一緒に教えてもらえればよかったなと、今更になって後悔してしまっていた。
「そう言われてもお金なんてないんですよ。僕たちはこの世界に来たばっかりですし、何も知らないんで勘弁してください」
「何言ってんだよ。金が無いならその女を置いて行けよ。見たところまだガキのようだけど、ガキにはガキなりの需要ってもんがあるからな。抵抗するならしてもいいんだぜ、お前みたいな男一人で俺たち十人を相手に出来るもんならな!!」
ゴロツキがそう言うと、僕らの背後からも数名の男がやってきた。どうみても僕たちの味方にはなってくれないだろうなという感じの男たちに囲まれて絶体絶命のピンチを迎えてしまったのだけれど、悲しいことに今の僕にはこの状況を打破できるほどの力も知恵も備えていなかったのだ。
僕はみさきを守るためはどうするのが一番なのか考えていたのだけれど、どうやっても僕の力ではここから抜け出すこともみさきを守り抜くことも出来そうになかった。
じりじりと男たちが僕らとの間合いを詰めてきたその時、隣の建物からシスターが出てきた。どうみても僕より体の大きいシスターであったが、僕の近くに来るとその大きさは異常に思えるほどだった。肩幅も広く修道服もゆとりがなくなるくらい筋肉でパンパンに膨らんでいた。
僕たちがこの世界でやるべきことはルシファーを復活させて新しい神と戦う事らしいのだけれど、地球がほぼ滅んでしまった今はそんな事に手を貸す義理も無いのではないかと思ってしまった。みさきはみさきで、僕と一緒に過ごせるのならどこでもいいと言ってくれているので、この世界で暮らしていくこともやぶさかではないらしい。
僕がサクラさんにとらえられていた家はみさきが壁を壊してしまったので住むことも出来ないので、寝る場所くらいは確保しておいた方がいいと判断した僕たちは、近くにあるという街へと向かうことにした。
徒歩でもすぐに着くとの言葉を信じていたのだけれど、二日間歩き続けてもそれらしい街は見えてこなかった。道を間違えてしまったのかと思って襲ってきた魔物に聞いてみたのだけれど、今歩いている街道をそのまま進めば街につくと教えてもらう事が出来た。僕をその街まで連れていってくれると提案してくれたのだけれど、みさきはこの場に置いていくとのことだったのでそれは丁重にお断りしておいた。
それから更に二日間歩いていると、遠くにうっすらと建物が見えてきた。みさきにそれを伝えると、みさきは嬉しそうにしてその街へと走っていった。みさきの走るスピードはとても速く、僕の脚はその速さについていくことが出来ずにいて、いつの間にかこいのぼりのような態勢で宙に浮いていたのだった。
「やっと街についたね。こんなに遠いとは思わなかったし、今度あの人たちに会った時には文句でも行ってみようかな。でも、まー君と一緒に過ごせて私は嬉しいよ」
無事に街についたのは良い事なのだけれど、僕はみさきに抱きかかえられているのが少し恥ずかしくなってしまった。手を握られたまま高速移動をしていたので、僕は自分の意思で止まることも出来ず、結果的にミサキの胸の中に包まれて止まることになったのだった。
僕はみさきと手を繋いで街を散策することにしたのだけれど、やたらとこの街の人に話しかけられてしまった。僕に話しかけてくるのが全員女性だったこともあるのだろうが、その馴れ馴れしい態度に少しだけみさきがイライラしているのがわかったので僕はみさきの手をひいて人混みの少ない方へと歩いて行った。
どこまでも追いかけられたらどうしようかと思っていたのだけれど、ある程度離れてしまえば元の場所に戻る習性があるようだ。それぞれに活動をしていい範囲が決まっているように、最初の位置から一定の距離があくと元の場所に戻っていった。そんな感じなのでどこまでも追いかけてくることは無かったのだった。
「ねえ、この街の女ってみんな見境なくまー君に盛ってくるんだけど、この世界でもまー君ってモテてしまうのかな?」
「たぶん、サクラさんにもらった能力のせいなんじゃないかな。異性にモテルとかそういう能力を与えられたんだよね」
「何それ、それって最低じゃん。まー君は私だけのモノなのにそんなの必要ないでしょ。あそこに戻って抗議してやるわ。いや、撤回させてやる。それが無理なら殺してやろうかしら」
「まあまあ、そんなに怒らなくてもいいんだよ。どんなに他人にモテたって僕にはみさきしか見えてないから気にすることないって」
「本当?」
「ああ、本当さ。僕がみさき以外の女に興味がないって知っているだろ?」
「うん、それは知っているけど、知らない世界だからちょっと不安になっちゃうかも」
僕は不安になっているみさきを抱きしめて頭を優しくなでてあげた。とても嬉しそうにしてるみさきを見ていると、僕もなんだく嬉しくなってしまった。
「おいおい、俺たちの縄張りでイチャイチャしてんじゃねえぞ。ここを通りたかったら通行料を払ってもらおうじゃねえか。それと、俺らを不快にさせた迷惑料も頂こうか」
そんな感じで僕たちに話しかけてきたのはいかにもゴロツキですと言った風貌の男たちであった。下品に舌を出して近づいてくる様子は知能指数の低さを簡単に表現してくれていた。僕は正直に言うと、関わるのが面倒だと思っていたのだけれど、相手が要求してきた金銭の持ち合わせが全くなかった。というか、この世界の通貨の事を何も知らないのだ。言葉を使えるようにしてくれたのは良いのだけれど、この世界の一般常識とかも一緒に教えてもらえればよかったなと、今更になって後悔してしまっていた。
「そう言われてもお金なんてないんですよ。僕たちはこの世界に来たばっかりですし、何も知らないんで勘弁してください」
「何言ってんだよ。金が無いならその女を置いて行けよ。見たところまだガキのようだけど、ガキにはガキなりの需要ってもんがあるからな。抵抗するならしてもいいんだぜ、お前みたいな男一人で俺たち十人を相手に出来るもんならな!!」
ゴロツキがそう言うと、僕らの背後からも数名の男がやってきた。どうみても僕たちの味方にはなってくれないだろうなという感じの男たちに囲まれて絶体絶命のピンチを迎えてしまったのだけれど、悲しいことに今の僕にはこの状況を打破できるほどの力も知恵も備えていなかったのだ。
僕はみさきを守るためはどうするのが一番なのか考えていたのだけれど、どうやっても僕の力ではここから抜け出すこともみさきを守り抜くことも出来そうになかった。
じりじりと男たちが僕らとの間合いを詰めてきたその時、隣の建物からシスターが出てきた。どうみても僕より体の大きいシスターであったが、僕の近くに来るとその大きさは異常に思えるほどだった。肩幅も広く修道服もゆとりがなくなるくらい筋肉でパンパンに膨らんでいた。
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