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本編
30 まったくもう! 意味が分かりませんよ!
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――色々本音を聞いちゃったけど、それでもやっぱり俺はカムロさんにお礼を言いたい!
「俺、カムロさんの考えてたことを全部知っても、少しも腹が立ちませんでした」
「貴方、バカなんですか」
あれ?
ツンツンのカムロさんが、ひゅっと登場した。なぜだっ!
「バッ、バカって! いやいや。バカじゃないですよ……! そのはずだけど……。とにかく、嫌な感じはしません。カムロさんがそこまで俺みたいな人間を欲しがっていた理由、なんとなく分かる気がしたっていうのもあるんですが」
涙目なのにツンツンしてるカムロさんの頭をなでなでし続けながら、俺はさっきまでうだうだ考えていたことの中から、言葉を拾い上げていく。
「カムロさんが冤罪が晴れなくてもいいとか考えるくらいに、俺のことを必要としてくれてたのが……、すごく嬉しいんですよ。はは。やっぱりバカかもしれないな……」
長い睫毛を震わせながら、カムロさんがぱちぱちと瞬きをした。不思議そうにきょとんとした幼い表情で俺をじっと見ている。あれ。なんかすごく可愛いなこの人。おやつ食べてニコニコしてるときもだけど、こう、妙な天使っぷりを醸し出してるというか。
「嬉しい……ですか」
「はい。嬉しいです」
……俺より少し背丈もあるし細いようでいて割と筋肉あるんだよなぁ。可愛い要素はないな。笑ってないとむしろ冷たい感じさえするくらい綺麗すぎるけど、ちゃんと男の顔立ちをした美形だぞ。
それなのにこの可愛さ。うーん、俺の目が変なのかなぁ。
「嘘をつかないでください」
キッ! と、目付きを鋭くされると怖いですよカムロさん! ノミの心臓が縮み上がる!
「ウソでも冗談でもなくて、マジで嬉しいんで。嬉しくて楽しいって言ってくれて、俺の料理を褒めてくれて……、ありがとうございます。潰れかけていた俺を拾ってくれて、家族みたいに甘やかしてくれて救ってくれたカムロさんが、どんな酷いことを考えても、嫌いになんて絶対になりませんよ!」
喋っているうちに気持ちが高ぶっていって、最後の方はほとんど叫んでいた。ぬあああ、込み上げてくるものがあるなぁ! 俺も泣きそう! ほんと、ありがとうございます!
「あ、貴方って人は……、やっぱり、バカですねっ……!」
う、うわああああ! カ、カムロさんがぼろぼろ大粒の涙をこぼして本格的に泣き始めたぞ! あああ! ど、どうしたらいいんだ! きゅって抱き締めた方がいいのか? それともおやつで釣るほうがいいのか? どっちだ!
「バカすぎます!」
「うわっ!」
泣きながら怒った声で叫んだカムロさんに飛びつかれた! ぎゃあっ! 後ろに倒れる!
ぼすっと、ソファーの上に背中から倒れ込んで、小さくバウンド。んなっ、このソファー、めちゃくちゃ物がいい! 結構な勢いで倒れたのに、ちっとも痛くないぞ! って、そんなことに感動してる場合じゃなかった……。
「ちょ、ちょっと! 急に何してくれてんですか! カムロさん!」
「うるさいですよ。まったく……、バカみたいに優しいですね。優しいというよりも、むしろほかに類を見ないほどのバカでしょうね。ハス君らしいと言えば、らしいですけど。バカすぎる……」
バカって何回おっしゃいましたか魔術師様。少なくとも5回以上はおっしゃいましたね!
「ほ、ほかに類を見ないほどのバカって! そ、それどういう意味ですか。ちょっと酷い!」
「褒めているんですよ。やっぱりハス君はバカですよ」
……うっわ!
またバカって言った! なんで泣きながら飛び付いてくるんですか! バカとか言うし!
――まったくもう! 意味が分かりませんよ!
「俺、カムロさんの考えてたことを全部知っても、少しも腹が立ちませんでした」
「貴方、バカなんですか」
あれ?
ツンツンのカムロさんが、ひゅっと登場した。なぜだっ!
「バッ、バカって! いやいや。バカじゃないですよ……! そのはずだけど……。とにかく、嫌な感じはしません。カムロさんがそこまで俺みたいな人間を欲しがっていた理由、なんとなく分かる気がしたっていうのもあるんですが」
涙目なのにツンツンしてるカムロさんの頭をなでなでし続けながら、俺はさっきまでうだうだ考えていたことの中から、言葉を拾い上げていく。
「カムロさんが冤罪が晴れなくてもいいとか考えるくらいに、俺のことを必要としてくれてたのが……、すごく嬉しいんですよ。はは。やっぱりバカかもしれないな……」
長い睫毛を震わせながら、カムロさんがぱちぱちと瞬きをした。不思議そうにきょとんとした幼い表情で俺をじっと見ている。あれ。なんかすごく可愛いなこの人。おやつ食べてニコニコしてるときもだけど、こう、妙な天使っぷりを醸し出してるというか。
「嬉しい……ですか」
「はい。嬉しいです」
……俺より少し背丈もあるし細いようでいて割と筋肉あるんだよなぁ。可愛い要素はないな。笑ってないとむしろ冷たい感じさえするくらい綺麗すぎるけど、ちゃんと男の顔立ちをした美形だぞ。
それなのにこの可愛さ。うーん、俺の目が変なのかなぁ。
「嘘をつかないでください」
キッ! と、目付きを鋭くされると怖いですよカムロさん! ノミの心臓が縮み上がる!
「ウソでも冗談でもなくて、マジで嬉しいんで。嬉しくて楽しいって言ってくれて、俺の料理を褒めてくれて……、ありがとうございます。潰れかけていた俺を拾ってくれて、家族みたいに甘やかしてくれて救ってくれたカムロさんが、どんな酷いことを考えても、嫌いになんて絶対になりませんよ!」
喋っているうちに気持ちが高ぶっていって、最後の方はほとんど叫んでいた。ぬあああ、込み上げてくるものがあるなぁ! 俺も泣きそう! ほんと、ありがとうございます!
「あ、貴方って人は……、やっぱり、バカですねっ……!」
う、うわああああ! カ、カムロさんがぼろぼろ大粒の涙をこぼして本格的に泣き始めたぞ! あああ! ど、どうしたらいいんだ! きゅって抱き締めた方がいいのか? それともおやつで釣るほうがいいのか? どっちだ!
「バカすぎます!」
「うわっ!」
泣きながら怒った声で叫んだカムロさんに飛びつかれた! ぎゃあっ! 後ろに倒れる!
ぼすっと、ソファーの上に背中から倒れ込んで、小さくバウンド。んなっ、このソファー、めちゃくちゃ物がいい! 結構な勢いで倒れたのに、ちっとも痛くないぞ! って、そんなことに感動してる場合じゃなかった……。
「ちょ、ちょっと! 急に何してくれてんですか! カムロさん!」
「うるさいですよ。まったく……、バカみたいに優しいですね。優しいというよりも、むしろほかに類を見ないほどのバカでしょうね。ハス君らしいと言えば、らしいですけど。バカすぎる……」
バカって何回おっしゃいましたか魔術師様。少なくとも5回以上はおっしゃいましたね!
「ほ、ほかに類を見ないほどのバカって! そ、それどういう意味ですか。ちょっと酷い!」
「褒めているんですよ。やっぱりハス君はバカですよ」
……うっわ!
またバカって言った! なんで泣きながら飛び付いてくるんですか! バカとか言うし!
――まったくもう! 意味が分かりませんよ!
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