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髭毟り大会は雨天延期となりました
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祭りが行われていると思って貰いたい。ヤンキーたちを祖国へ強制送還した、ジャガイモの群れが行ったは、ドイツ全土での大きなお祭りだった。
愉快な祭りではない。浮かれ騒ぐ男も、煌びやかな恰好の女も、笑顔いっぱいの子供もいない。陰鬱な唯々陰鬱なそれでいて大きな祭りだ。
祭りの主題は贖罪、誰に?今まで劣等と信じて足蹴にして来た全てにだ。ユダヤ、ロマ、ジプシー、障害者、同性愛者、自分と少し違から、何か気持ちが悪いから、総統と党が悪いと決めたから、古の昔からの嫌われ者だから、だから足蹴にした、だから奪った、だから処分した。
正義とは時代により大きく変わる、価値観は一定ではない、所詮、善悪の基準は人が決める者である。そう自惚れていた、、、、惨めな敗北を経ても心の何処かで、自分たちは正しかったと思っていた、隠しても無駄だ、なんせ私達のユダヤ嫌いはヨーロッパと言う枠組みが出来た頃からあるのだ。
審判の日は突然やってきた。世界は滅びはしなかったが、死人が墓から起き上がり、口々に神の実在とあの世の実在を語り始めたのだ。
絶対の存在がいる、悪と善は明確に分かれ、何人たりと逃げられない運命が、意志を持って最後に自分を裁きに来る。これで狂乱しない無神論者はいないだろう。信仰心がある者だって耐えられるかどうか、いわんや理性と科学を信仰する現代人の皆さまがどう耐えろと言うのだろうか?
何で今なんだ!もう殺しちまったよ!喜んでガス室に送り、身ぐるみ剥がして金歯を抜き取り、その皮でランプシェード作っちまったよ!
無実の奴なんて一人もいない!第二次大戦に置いてドイツ政府はギリギリまで国民を飢えさせなかった、さきの大戦のカブラの冬が殊の外堪えたからだ。国民を飢えさせれば、忽ち国家は敗北する、それを身をもって知っている世代が政府の中には多く存在した。
自転車操業どころでは無い、奪わなければ死ぬ経済のナチスドイツ、彼らが国民を飢えさせない為に取った政策は当然のことながら略奪だ。
何処から?他国から!そして国内から!奪う相手は丁度良いのがいるじゃないか!ドレスデン大空襲の被害者が、迅速に救助、支援を受けられた事は知ってるかい?その物資は?着物は?家具は?金は?
ダッハウから!アウシュビッツから!多くの馬鹿みたいに多くの収容所から!ドイツ人は大なり小なり、ユダヤ人の肉を食って生き延びたのだ。勿論、フランス人の肉も、ロシア人の肉も、ポーランド人の肉も食ってる、栄養に偏りが有ってはいけない。
だからこそのお祭りだ!教会は満杯!町には斬新なむち打ち苦行者が溢れ、頭を打ちぬいた収容所の元看守は死ねない事に驚愕する。許してくれ!嫌だ!地獄なんて嫌だ!
昨日までの迫害者は、奴隷の足に噛り付く、どうか許して欲しい!もうあそこには帰りたくない!恥も外聞もあったものでは無いが必死だ。
パレードがドイツ中を練り歩いている。奇天烈で奇抜なデザインの奴だ。その中心にいるのは誰あろう、総統閣下。
現世に舞い戻り、さあもう一花と叫んだ所で、怒れる民衆に取っ捕まった彼は現在、十字架に掛けられ己の罪を強制的に悔い改めさせられている。
彼を解放しようと言う動きはあった。何度も、地獄に落ちても彼への忠誠を失わないSSを中核にした部隊の襲撃はあった。だが撃退されている、怒れる民衆は贖罪のイコンを敵の手に渡すはずも無い。
「馬鹿な連中だ。神が賄賂を受け取る訳ないだろうに」
十字架の上のヒトラーは、心底馬鹿にした様に愚かな民衆を見やり呟いた。ああそうさ!吾輩はペテンで天下を取った!弁舌と才能と暴力でドイツをこの手にした!
だがな!それを歓呼の声で迎えたのはお前たちだ!勝ってる内はお前らだって万歳!万歳!と叫んでいたではないか!
「今頃になって許してくれ?誰に?ユダヤ人にか?あれだけ迫害しておいて?吾輩が最終的な解決を一人で思いついたと?あれはお前らが望んだことだ」
諦めて受け入れろ!吾輩とお前らは同罪だ!行くところまで行くしかないのだ、クソッタレたユダヤ人と同じ天国に行くよりは胸を張って地獄に落ちるべきなのだ!
そもユダヤ人の方がお前らより、なんぼかは頭が良い。精々吾輩の髭を毟りに来るくらいで、それ以上の事はしてこない、そりゃそうさ!天国へのチケットをみすみす失う大馬鹿はいない!
「それに比べて、嘆かわしい!それでもアーリア人か!エーファをガス室に突っ込めば、天国に行けるか?ゲッペルスとその家族をMGの的にして解決する問題か?吾輩を十字架に掛ければ神がお救いになると?馬鹿だ!お前ら大馬鹿だ!」
総統閣下は嘲笑する。彼に怖い物なんかもはやない。死にはしないのだ、焼かれようと撃たれ様と痛いで済む。この前なんぞ、ケーニヒステイーガーに踏まれた、でも死なない、いや死ねない。ホントに馬鹿みたいだ。
「お前たちは、地獄の本当の恐ろしさを知らんから、肉体の苦痛で贖罪が出来ると思ってるんだ!本当に恐ろしいのは!本当に恐ろしいのは、、、、」
「恐ろしいのはなあに?」
夕暮れが迫る時間、黄昏を背にしたパレードは歩みを止めた。今日は此処で一休み、また明日から頑張りましょう。恐怖に狂乱していても、そこはドイツ人、律儀に休みを取る。勿論、総統は外に放置する、取り返そうとする連中は軒並み収容所だ。
そんな寒空の総統に呼びかける者がある。気づけば、少女が父親と二人で十字架の下に立っている。
「聞いていたのか、どちらのお嬢さんかな?大方、吾輩の髭でも抜きに来たのだろう?さあやれ!もう何遍抜かれたか分からん、もう慣れた」
「そんな事しないわ、私は聞きたいの、本当に恐ろしい事ってなあに?」
少女の顔は夕闇に隠れ、総統には分からない、だが、その声は良く聞けば聞いた事があるようだ。どこで?
「あなた、私を知ってる?」
少女は問いかける。総統は思い出した、彼女は家族と共に、自分たちに追われ、隠れ、最後は引きずり出され命を終えた者だ。良く知っている、知り過ぎるほど知っている。
彼女の初恋から、両親への思い、明日への希望とそれが奪われた時の絶望、最後の最後まで失われなかった気高い心も。それはアーリア人だとかユダヤ人だとかではない人間としての美しいものだ。
「知っているとも。良くしってる。お嬢さん、初恋の子とは再会できたかね?」
「うん。何時か結婚しようと言ってくれたよ。私、彼ともう一度会えるなんて思いも依らなかった」
総統は答える。そして少女の返事に何故か満足を覚えた。チクショウ!これだ!これだよ!呪われよ奴隷の神よ!吾輩はアーリア人の指導者なのだ!こんな気持ち!心が張り裂けそうだ!吾輩は、、、私は、、、この気持ちを幾千万も踏みにじり、、、、、
「後悔してますか総統閣下?」
「してるさ!だがなお嬢さん、この気持ちはあのバカげた神とか言う物が植え付けた物だ。本当の地獄の恐ろしさを聞いていたね、これがそうさ!あいつは私にあの地の底で、君たちの心を嫌と言うほど見せつけ、体験させると言う拷問をやってのけたのだ!苦しいさ!恐ろしいさ!自分で自分を追い詰め、狩りたてる、それが地獄と言わずになんと言える?」
ヒトラーは吠える。真に恐ろしいのは愛だ!肉体的な苦痛など、どれ程の物だ!そんなもの、あの泥濘と塩素ガスに比べれば何ほどのことは無い。
愛した者が奪われる、目の前で死ぬ、飢えと渇き悶え、極寒とガスで死んで行く。地獄だ!何もできない自分、ひ弱で、脆弱な子ども、幾度も幾度もそれを追体験させるなど、神はサディストだ!
「もう行くわ。貴方が後悔していると聞けた事が私の復讐だもの、ねぇ、私が言うには変かもしれないけど、、、、、ううん、言うわ!あなたも救われると良いわね!それじゃ、さよなら」
「ふん!吾輩はお嬢さんに同情されるほど落ちぶれていないがね!でもまあ、幸せになれるといいな、アンネ」
「あなたもね総統」
宵闇の中少女は父と共に去った。残された男は考える。これからのこと、自分の事、そしてドイツの事。夜明けはまだ遠い。
愉快な祭りではない。浮かれ騒ぐ男も、煌びやかな恰好の女も、笑顔いっぱいの子供もいない。陰鬱な唯々陰鬱なそれでいて大きな祭りだ。
祭りの主題は贖罪、誰に?今まで劣等と信じて足蹴にして来た全てにだ。ユダヤ、ロマ、ジプシー、障害者、同性愛者、自分と少し違から、何か気持ちが悪いから、総統と党が悪いと決めたから、古の昔からの嫌われ者だから、だから足蹴にした、だから奪った、だから処分した。
正義とは時代により大きく変わる、価値観は一定ではない、所詮、善悪の基準は人が決める者である。そう自惚れていた、、、、惨めな敗北を経ても心の何処かで、自分たちは正しかったと思っていた、隠しても無駄だ、なんせ私達のユダヤ嫌いはヨーロッパと言う枠組みが出来た頃からあるのだ。
審判の日は突然やってきた。世界は滅びはしなかったが、死人が墓から起き上がり、口々に神の実在とあの世の実在を語り始めたのだ。
絶対の存在がいる、悪と善は明確に分かれ、何人たりと逃げられない運命が、意志を持って最後に自分を裁きに来る。これで狂乱しない無神論者はいないだろう。信仰心がある者だって耐えられるかどうか、いわんや理性と科学を信仰する現代人の皆さまがどう耐えろと言うのだろうか?
何で今なんだ!もう殺しちまったよ!喜んでガス室に送り、身ぐるみ剥がして金歯を抜き取り、その皮でランプシェード作っちまったよ!
無実の奴なんて一人もいない!第二次大戦に置いてドイツ政府はギリギリまで国民を飢えさせなかった、さきの大戦のカブラの冬が殊の外堪えたからだ。国民を飢えさせれば、忽ち国家は敗北する、それを身をもって知っている世代が政府の中には多く存在した。
自転車操業どころでは無い、奪わなければ死ぬ経済のナチスドイツ、彼らが国民を飢えさせない為に取った政策は当然のことながら略奪だ。
何処から?他国から!そして国内から!奪う相手は丁度良いのがいるじゃないか!ドレスデン大空襲の被害者が、迅速に救助、支援を受けられた事は知ってるかい?その物資は?着物は?家具は?金は?
ダッハウから!アウシュビッツから!多くの馬鹿みたいに多くの収容所から!ドイツ人は大なり小なり、ユダヤ人の肉を食って生き延びたのだ。勿論、フランス人の肉も、ロシア人の肉も、ポーランド人の肉も食ってる、栄養に偏りが有ってはいけない。
だからこそのお祭りだ!教会は満杯!町には斬新なむち打ち苦行者が溢れ、頭を打ちぬいた収容所の元看守は死ねない事に驚愕する。許してくれ!嫌だ!地獄なんて嫌だ!
昨日までの迫害者は、奴隷の足に噛り付く、どうか許して欲しい!もうあそこには帰りたくない!恥も外聞もあったものでは無いが必死だ。
パレードがドイツ中を練り歩いている。奇天烈で奇抜なデザインの奴だ。その中心にいるのは誰あろう、総統閣下。
現世に舞い戻り、さあもう一花と叫んだ所で、怒れる民衆に取っ捕まった彼は現在、十字架に掛けられ己の罪を強制的に悔い改めさせられている。
彼を解放しようと言う動きはあった。何度も、地獄に落ちても彼への忠誠を失わないSSを中核にした部隊の襲撃はあった。だが撃退されている、怒れる民衆は贖罪のイコンを敵の手に渡すはずも無い。
「馬鹿な連中だ。神が賄賂を受け取る訳ないだろうに」
十字架の上のヒトラーは、心底馬鹿にした様に愚かな民衆を見やり呟いた。ああそうさ!吾輩はペテンで天下を取った!弁舌と才能と暴力でドイツをこの手にした!
だがな!それを歓呼の声で迎えたのはお前たちだ!勝ってる内はお前らだって万歳!万歳!と叫んでいたではないか!
「今頃になって許してくれ?誰に?ユダヤ人にか?あれだけ迫害しておいて?吾輩が最終的な解決を一人で思いついたと?あれはお前らが望んだことだ」
諦めて受け入れろ!吾輩とお前らは同罪だ!行くところまで行くしかないのだ、クソッタレたユダヤ人と同じ天国に行くよりは胸を張って地獄に落ちるべきなのだ!
そもユダヤ人の方がお前らより、なんぼかは頭が良い。精々吾輩の髭を毟りに来るくらいで、それ以上の事はしてこない、そりゃそうさ!天国へのチケットをみすみす失う大馬鹿はいない!
「それに比べて、嘆かわしい!それでもアーリア人か!エーファをガス室に突っ込めば、天国に行けるか?ゲッペルスとその家族をMGの的にして解決する問題か?吾輩を十字架に掛ければ神がお救いになると?馬鹿だ!お前ら大馬鹿だ!」
総統閣下は嘲笑する。彼に怖い物なんかもはやない。死にはしないのだ、焼かれようと撃たれ様と痛いで済む。この前なんぞ、ケーニヒステイーガーに踏まれた、でも死なない、いや死ねない。ホントに馬鹿みたいだ。
「お前たちは、地獄の本当の恐ろしさを知らんから、肉体の苦痛で贖罪が出来ると思ってるんだ!本当に恐ろしいのは!本当に恐ろしいのは、、、、」
「恐ろしいのはなあに?」
夕暮れが迫る時間、黄昏を背にしたパレードは歩みを止めた。今日は此処で一休み、また明日から頑張りましょう。恐怖に狂乱していても、そこはドイツ人、律儀に休みを取る。勿論、総統は外に放置する、取り返そうとする連中は軒並み収容所だ。
そんな寒空の総統に呼びかける者がある。気づけば、少女が父親と二人で十字架の下に立っている。
「聞いていたのか、どちらのお嬢さんかな?大方、吾輩の髭でも抜きに来たのだろう?さあやれ!もう何遍抜かれたか分からん、もう慣れた」
「そんな事しないわ、私は聞きたいの、本当に恐ろしい事ってなあに?」
少女の顔は夕闇に隠れ、総統には分からない、だが、その声は良く聞けば聞いた事があるようだ。どこで?
「あなた、私を知ってる?」
少女は問いかける。総統は思い出した、彼女は家族と共に、自分たちに追われ、隠れ、最後は引きずり出され命を終えた者だ。良く知っている、知り過ぎるほど知っている。
彼女の初恋から、両親への思い、明日への希望とそれが奪われた時の絶望、最後の最後まで失われなかった気高い心も。それはアーリア人だとかユダヤ人だとかではない人間としての美しいものだ。
「知っているとも。良くしってる。お嬢さん、初恋の子とは再会できたかね?」
「うん。何時か結婚しようと言ってくれたよ。私、彼ともう一度会えるなんて思いも依らなかった」
総統は答える。そして少女の返事に何故か満足を覚えた。チクショウ!これだ!これだよ!呪われよ奴隷の神よ!吾輩はアーリア人の指導者なのだ!こんな気持ち!心が張り裂けそうだ!吾輩は、、、私は、、、この気持ちを幾千万も踏みにじり、、、、、
「後悔してますか総統閣下?」
「してるさ!だがなお嬢さん、この気持ちはあのバカげた神とか言う物が植え付けた物だ。本当の地獄の恐ろしさを聞いていたね、これがそうさ!あいつは私にあの地の底で、君たちの心を嫌と言うほど見せつけ、体験させると言う拷問をやってのけたのだ!苦しいさ!恐ろしいさ!自分で自分を追い詰め、狩りたてる、それが地獄と言わずになんと言える?」
ヒトラーは吠える。真に恐ろしいのは愛だ!肉体的な苦痛など、どれ程の物だ!そんなもの、あの泥濘と塩素ガスに比べれば何ほどのことは無い。
愛した者が奪われる、目の前で死ぬ、飢えと渇き悶え、極寒とガスで死んで行く。地獄だ!何もできない自分、ひ弱で、脆弱な子ども、幾度も幾度もそれを追体験させるなど、神はサディストだ!
「もう行くわ。貴方が後悔していると聞けた事が私の復讐だもの、ねぇ、私が言うには変かもしれないけど、、、、、ううん、言うわ!あなたも救われると良いわね!それじゃ、さよなら」
「ふん!吾輩はお嬢さんに同情されるほど落ちぶれていないがね!でもまあ、幸せになれるといいな、アンネ」
「あなたもね総統」
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