インターセプト

レイラ

文字の大きさ
上 下
105 / 225
第2部 3幕

インターハイ予選決勝ー徳丸高校ー3

しおりを挟む
 第1クォーターが始まった。

 簡単にだが、改めて解説しよう。

 バスケは、1クォーター10分で、4クォーター行い、第1クォーターと第2クォーターの間、3クォーターと4クォーターの間に1分間のインターバルがある。

 2クォーターと3クォーターの間は、15分のハーフタイムがある。

 スタートのジャンプボールは慧と澤本が行った。

 ジャンプボールは、通常、センターが行う。また、ボールを叩くだけ。ジャンプボールを行う選手が取ってはいけない。

 ジャンプボールの後、ボールを取ったのは安見だ。

 安見は、すぐ、安藤にパスをした。

 安藤はポイントガード。プレーを作る司令塔。つまり、俺と同じポジション。負けるわけにはいかない。

「勝負!」

 安藤はニヤリと笑って、1対1を仕掛けた。

 俺は1対1をさせないように進行を防ごうとしたが、スーッと通り抜ける感覚があって、背中がゾクッとした。

 安藤の気配がしないまま、俺の右側を簡単に抜けていき、ドライブした。

「しまった!! 頼む!! 慧!! 貴!!」

 俺は思わず叫んだ。

 慧と貴で安藤のディフェンスにつくダブルチーム。

 安藤はダブルチームが作られる前に、横野にパスをした。

 ハーフの選手、横野《よこの》メルテス欄《らん》。パワーフォワード。主にゴール周辺のシュートを狙うポジション。

 ただ、今は、3ポイントシュートの位置にいる。

 パワーフォワードも3ポイントシュートを狙う。

「スリー!!」

 完全にノーマークだ。

 横野はゆっくりと放つ余裕があって、教科書のような綺麗なフォームでシュートを打つ。

 そのボールは、シュッと音を立てて、リングの中へ。

 いきなり、3ポイントを打たれた。

「まだまだだな」

 安藤に言われて、俺は呆然とした。

 あのとき、何があったんだ。全く気配がしなかったなんてことがあるのか。

「ボーっとしている暇はないぞ」

 慧の声に我に返り、頭をオフェンスに切り替えた。

 ドリブルをしながら、どのようなプレーをするか考えていると、その隙に安藤がボールを奪う。これをスチールという。

 俺は安藤にスチールされた。

「悪いな、このボール、貰った」

 安藤はスチールした後、1人でドリブルしてシュートまで持っていった。

 1,2,3のリズムでボールをリングに置いてくるようなシュート。これをレインアップシュートという。

 安藤はレインアップシュートで、しっかりと決めてきた。

 どういうことだ? まただ。全く気配が感じられない。ある意味、凄い。気配を消してプレーできるのだから。

 安藤を攻略するにはどうすればいいだろう。
しおりを挟む

処理中です...