インターセプト

レイラ

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第2部 3幕

インターハイ予選決勝ー徳丸高校ー2

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 いよいよ、インターハイ予選決勝当日。

 正直、寝られなかった。初めての予選決勝ということもあって、脳が興奮していた。やっぱり予選とはいえ、決勝は雰囲気も違ってくるし、また、いつもとは違う緊張が襲ってくるんだな。

 俺はウォーミングアップをしながら、心を落ち着かせようと呼吸に意識を向けた。メンタルトレーニングのおかげで、緊張しても、その緊張を和らげたり、緊張をしても動揺することはなくなってきた。

 これも高宮コーチのおかげだ。高宮コーチへの感謝の気持ちも込めて、絶対にインターハイに連れていくぞ。

「必ずインハイ、行くぞ!」

 慧が力強い口調で言った。

「おぉぉぉぉ!!!!」

 メンバーの声が響く。

 本当に慧は自分を取り戻してきたな。本人が一番辛かったと思うけれど、よく乗り越えたな。なんか泣きそうなくらい嬉しいよ。俺。

「どうしたんだ、樹。泣きそうになってるけど……?」

 俺の表情を見て違和感を感じたのか、貴が頬を突いた。

「うるせぇなぁ」

 せっかく、苦しいイップスを乗り越えてきた慧に感動していたのに、その感動が台無しじゃねぇか。

「達也も一緒だぜ。あいつは、今、ケガを乗り越えようとしている。一緒に戦っているんだ」

 灯が達也のユニフォームを広げた。

「あぁ、達也の分もやろうぜ」

 慧は達也のユニフォームを見つめて頷いている。

「よし! 行くぞ!!」

 もう一度、全員で喝を入れて、コート入りする。

 軽くシュート練習をして、動きの確認。

 高宮コーチからスターティングメンバ―、略してスタメンを発表される。

「慧、貴、灯、智樹、樹」

 俺たちはジャンプボールをするときの位置ににつく。

 相手の徳丸高校《とくまるこうこう》のスタメンは、安藤空《あんどうそら》、澤本崇人《さわもとたかと》、横野《よこの》メルテス欄《らん》、入間卓《いるまたく》、安見敬一《やすみけいいち》。

 全員3年生。なんといっても、センターの澤本は身長が200㎝もあるため、リバウンドはとられてしまう可能性が多い。この200㎝という身長をどうやって打破するか。

 インターハイ予選決勝が始まる。

 この試合に勝てば、インターハイ出場が待っている。でも、人間の心理は面白いもので、ここで、インターハイ出場が決まると思うと、試合に集中できなくなる。

 これも高宮コーチが言っていたこと。試合に集中しないと。

 ティップオフ。

 バスケでは試合開始のことをティップオフという。

 審判がボールを上げて、お互いにセンター同士がボールを叩く、ジャンプボール。

 慧と澤本が行う。

 ジャンプボールを行うセンターは、ボールをはたくだけ。とってはいけない。仲間にボールを渡せるようにはたくことが大事だ。

 第1クォーターが始まった。

 澤本が弾いたボールは、安見が取った。

 さて、勝負だ。

 まずはディフェンス。絶対にシュートさせないぞ。
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