インターセプト

レイラ

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4幕

インターハイ予選5

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 総合体育館に着くと、すぐに、ウォーミングアップの準備に入る。

 意外と試合会場に入ってからは、バタバタだ。

 席の確保とウォーミングアップの準備、ウォーミングアップをして、すぐに試合となる。

 俺たちは、着替え終わるとすぐにロビーへと向かう。

 ウォーミングアップは、まず、ロビーで始める。

 狭いところでのウォーミングアップになるので、ボールを使ったものは、できない。そのため、ボールなしでできることを中心に。

 1時間半くらいかけて、ウォーミングアップを行い、いよいよ、コートへ。

 コートではボールを使ったウォーミングアップとシュート練習を主に行う。

 コートでの練習はそんなに時間がとれない。

 だから、コンパクトにやる必要がある。

 フットワークをサッと行い、すぐに5対5で動きを確認。その後で、シュート練習。

 ここまでが凄く忙しい。

 それでも、きちんと心を整えないといけない。

 練習が終わり、コーチの周りに集まる。

「自分の力を信じて、おもいっきりやれ」

 高宮コーチが声をかけた。

 俺たちは返事をして気合を入れた。

「よし、樹、慧、貴、灯、達也でいこう」

 高宮コーチは5人の肩を叩いて、試合へと送り出した。

 インターハイ予選1回戦の相手は、埼玉県立徳丸高校さいたまけんりつとくまるこうこうだ。

 徳丸高校のスタディングメンバーはこの5人。

 吉本龍一よしもとりゅういち、センター。

 滝陽たきひなた、パワーフォワード。

 河田直樹かわたなおき、ポイントガード。

 越野晴翔こしのはると、シューティングガード。

 宮田陸みやたりく、スモールフォワード。

 全員3年だ。

 城伯高校も徳丸高校も作戦会議をして、スタディングメンバーがコートに集まった。

 試合がいよいよ始まる。

 ふー

 俺は息を吐いた。

 緊張が増している。

 大丈夫だ。俺はできる!

 慧と吉本のジャンプボールでティップオフ。

 ボールは越野がとる。

 越野はすぐに河田にボールを渡す。

 河田はドリブルをして、仲間が配置に着いたことを確認する。

 河田は目で合図すると、滝が動いた。

 何かの合図。これは、滝にパスをするということか。

 俺は滝を観察する。

 また、河田の目が動く。

 滝へのパスじゃない。

 ということは、1対1の勝負か。

 河田は右足を踏み出して、スーッとフリースローラインへと入っていく。

 俺は河田についていき、行手を阻もうとした。

 河田は、俺を見るなり、ジャンプした。

 この体勢は、シュートにいくのか。

 河田に、また、チラリと見られる。

 読まれたか!

 河田はジャンプして、ゴールを見ながら、周囲も見ていた。

 スリーポイントのラインにいる越野へとパスをした。

 達也のタイミングが少し遅れて、ノーマークとなってしまった。

「やばいっ!」

 越野は、ここぞとばかりに綺麗なフォームで、スリーポイントシュートを放つ。

 シュッ

 ボールは吸い込まれるようにリングの中へ入っていく。

「よし!」

 滝と河田が声を揃える。

 滝と河田は、越野に歩み寄り、ハイタッチをした。

「悪い、全くディフェンスできてなかった」

 達也は俺に謝るポーズをとった。

「どんまい! オフェンス行こうぜ」

 俺は達也の肩をポンッと叩く。

 さて、オフェンスだ。

 どうやって組み立てるか。

 俺はボールをもらうと、ドリブルをゆっくりしながら、相手のコートまで行く。

 まずは灯にパスを出す。

 灯はシュートをする体勢をとる。

「灯!」

 俺は灯を呼ぶと、目で合図する。

 俺は灯についている宮田にスクリーンをかけに行った。

 宮田のディフェンスが一時的に止まった瞬間。

 灯はすかさず、ゴール下までドリブルして突っ込む。

 でも、その先には吉本と滝がいる。

 必ず、宮田の分をカバーしてくる。

 灯はドリブルから、すぐ後ろにいた達也にパスをする。

「スリーだ!」

 慶が叫んだ。

 達也はスーッと足を一歩出してから、下げてシュートする。

「入れー!」

 達也は、先ほど、越野にスリーポイントを打たれたから、悔しいだろうな。

 だから、やり返したかったのかもしれない。

 ボールは綺麗なアーチを描いている。

 どうだ!?
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