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結婚指輪喪失事件
7☆疑い
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「……オヤジ……やっぱ、結婚するのか?」
薫までそう怪訝な顔で言ってきた。
この頃、『とーさん』ではなく、『オヤジ』と呼ぶときは瑠香に不服がある時だ。
そして、とても複雑そうな顔をしていた。勇気を出して聞いた感じだった。
「瑠香さまが結婚するって舎人寮でも噂になってて…臣さんがホントかどうか聞いてきてほしいって…」
と李流は薫の様子を心配しながら、聞きたい理由を言った。
舎人寮は男性職員の宮中警備、警護、その他職員が宿直する場所だ。
そこの長が滝口臣だった。
臣は瑠香と学友で親友でもあるのだから自ら聞けばいいのだが、二人に真相を確かめてくるように言った。
臣も信じたくないし、そんなことを直接瑠香に言えば荒御魂吹き荒れるだろうと察して、子どもたちを差し出した。
晴房も臣も瑠香を理解している。
「薫…お前も噂だとわかってるだろ?」
噂は噂でしかないのだし、父である瑠香が母の葛葉子しか愛せないの知っているはずなのに、そんなことを聞くとはそれほど道祖神の力は強いのだろうと察する。
薫は蔑むようにチっ!と舌打ちして、しらばっくれる父に怒りを湧いている。
「噂だけじゃなくて、親父に婚約指輪もらったって、見せびらかしに来たんだよ…」
薫は出来事を説明する。
舎人寮で伝統衛士の衣装に着替えて外回りに行く時、三十代くらいの侍女に声をかけられた。
そこそこ色気があって美しい侍女職員だった。
「私、新しいあなたのお母さんになります。よろしくお願いします」
と幸せそうに微笑んだ。
薫は突然そういう侍女職員にいいぶかしんだ。
人間違いだと思った。
その女の記憶を読むと確かに父が婚約指輪を渡してプロポーズしている記憶を覗いた。
「まじかよ…」
と薫はつぶやいていた。
その証拠と言うように、サファイア輝く婚約指輪を見せられた。
薫はすかさず携帯を取り出し証拠の指輪を納めたものを父に見せた。
瑠香は形態の写真をまじまじ見つめて驚愕する。
「これ、かーさんの婚約指輪だ!その女どこにいった?犯人だぞ!」
瑠香がそう言うと、複雑な顔をしていた薫はハッとした顔をして、
「そ、そうだよな!…もう、てっきりその女と結婚するものだと半分納得してたぜ!」
薫は夢の記憶から冷めた感覚だった。現実にかんがえれば犯人だ。
「瑠香さまや薫はその女の人に、心当たりはないんですか?」
「……ないことはない」
顎に手を当てて思い当たる人物を思い眉間にシワを寄せる。
「瑠香おじさん!わかりましたよ!」
ちょうど野薔薇は瑠香に頼まれていた書類をもってきた。
証明写真付きの履歴で、それを見た薫も、「あっ!この女だ!」と言った。
「調べたら五年も前に退職した人でした。鷹島絢子です。瑠香おじさんより三歳下でつね」
「五年…」
瑠香と薫にとって辛い一年を過ごした年だったことを思い出す。
「あれから、五年もたつのか……」
瑠香は五年間は、あっという間にかじる。
葛葉子のいないこの世に色がなく単調だったから。
たが、この一年、李流が宮中で法子と出会いちょっとしたトラブルがあった時から変わった。
薫が、晴房と雪の縁結びの手伝いをして、李流と親友になって家族の仲が元通りになるまで、これと言った記憶はなかったし、迷惑なことされた事もすぐ忘れた…人生に興味がなかった…
瑠香が立ち直れたのはつい最近なのだ。
「もしかして、かーさん恋しさに浮気なんかしたんじゃねーだろうな?」
薫はあらぬ想像したことを言霊にしてウーッ!と唸ると狐の尻尾と耳を出す。
感情が高まり興奮したりすると出てきてしまう。
独り身は寂しいだろうと容認する事を言ってみてもやはり父には母だけを愛していてほしい。
でなかったら、母が亡くなった時に家族を崩壊させた事を本当に許せない。
せめて自分が成人するまで、独身でいてほしくなった。
せっかく仲直りできたのに、他人が入るのは実際やな気持ちになった。
「とーさんを、信じろ…」
そんな、薫の肩を力強く手を置き真剣な瞳でそう言われれば、薫はホッとした。
父は本気で母一人しか、愛せないのだと改めて認識した。
「とにかく、その人が家に入って指輪を盗んで婚約するっていうか公言してるってことですよね?でも、五年も前にやめてる人がなんで宮中で瑠香様と結婚すると、言ってるのでしょうか……?」
謎が謎を呼ぶ…
その場で考えても拉致はあかない。
「こういう時は、縁結びをしてるかーさんに聞いてみるか…いいよな?とーさん」
「しかたがないな…」
指輪をなくしたのを知られたくなかったが…幽霊でもある葛葉子は、もう知っているのかもしれないともおもう。
自分の親神でもあるルカの神も知ってることのようだし。
何か、神々の中で目論見あっているのだろうか……
と瑠香の神を見るとふふっと意地悪に微笑むだけだった。
薫までそう怪訝な顔で言ってきた。
この頃、『とーさん』ではなく、『オヤジ』と呼ぶときは瑠香に不服がある時だ。
そして、とても複雑そうな顔をしていた。勇気を出して聞いた感じだった。
「瑠香さまが結婚するって舎人寮でも噂になってて…臣さんがホントかどうか聞いてきてほしいって…」
と李流は薫の様子を心配しながら、聞きたい理由を言った。
舎人寮は男性職員の宮中警備、警護、その他職員が宿直する場所だ。
そこの長が滝口臣だった。
臣は瑠香と学友で親友でもあるのだから自ら聞けばいいのだが、二人に真相を確かめてくるように言った。
臣も信じたくないし、そんなことを直接瑠香に言えば荒御魂吹き荒れるだろうと察して、子どもたちを差し出した。
晴房も臣も瑠香を理解している。
「薫…お前も噂だとわかってるだろ?」
噂は噂でしかないのだし、父である瑠香が母の葛葉子しか愛せないの知っているはずなのに、そんなことを聞くとはそれほど道祖神の力は強いのだろうと察する。
薫は蔑むようにチっ!と舌打ちして、しらばっくれる父に怒りを湧いている。
「噂だけじゃなくて、親父に婚約指輪もらったって、見せびらかしに来たんだよ…」
薫は出来事を説明する。
舎人寮で伝統衛士の衣装に着替えて外回りに行く時、三十代くらいの侍女に声をかけられた。
そこそこ色気があって美しい侍女職員だった。
「私、新しいあなたのお母さんになります。よろしくお願いします」
と幸せそうに微笑んだ。
薫は突然そういう侍女職員にいいぶかしんだ。
人間違いだと思った。
その女の記憶を読むと確かに父が婚約指輪を渡してプロポーズしている記憶を覗いた。
「まじかよ…」
と薫はつぶやいていた。
その証拠と言うように、サファイア輝く婚約指輪を見せられた。
薫はすかさず携帯を取り出し証拠の指輪を納めたものを父に見せた。
瑠香は形態の写真をまじまじ見つめて驚愕する。
「これ、かーさんの婚約指輪だ!その女どこにいった?犯人だぞ!」
瑠香がそう言うと、複雑な顔をしていた薫はハッとした顔をして、
「そ、そうだよな!…もう、てっきりその女と結婚するものだと半分納得してたぜ!」
薫は夢の記憶から冷めた感覚だった。現実にかんがえれば犯人だ。
「瑠香さまや薫はその女の人に、心当たりはないんですか?」
「……ないことはない」
顎に手を当てて思い当たる人物を思い眉間にシワを寄せる。
「瑠香おじさん!わかりましたよ!」
ちょうど野薔薇は瑠香に頼まれていた書類をもってきた。
証明写真付きの履歴で、それを見た薫も、「あっ!この女だ!」と言った。
「調べたら五年も前に退職した人でした。鷹島絢子です。瑠香おじさんより三歳下でつね」
「五年…」
瑠香と薫にとって辛い一年を過ごした年だったことを思い出す。
「あれから、五年もたつのか……」
瑠香は五年間は、あっという間にかじる。
葛葉子のいないこの世に色がなく単調だったから。
たが、この一年、李流が宮中で法子と出会いちょっとしたトラブルがあった時から変わった。
薫が、晴房と雪の縁結びの手伝いをして、李流と親友になって家族の仲が元通りになるまで、これと言った記憶はなかったし、迷惑なことされた事もすぐ忘れた…人生に興味がなかった…
瑠香が立ち直れたのはつい最近なのだ。
「もしかして、かーさん恋しさに浮気なんかしたんじゃねーだろうな?」
薫はあらぬ想像したことを言霊にしてウーッ!と唸ると狐の尻尾と耳を出す。
感情が高まり興奮したりすると出てきてしまう。
独り身は寂しいだろうと容認する事を言ってみてもやはり父には母だけを愛していてほしい。
でなかったら、母が亡くなった時に家族を崩壊させた事を本当に許せない。
せめて自分が成人するまで、独身でいてほしくなった。
せっかく仲直りできたのに、他人が入るのは実際やな気持ちになった。
「とーさんを、信じろ…」
そんな、薫の肩を力強く手を置き真剣な瞳でそう言われれば、薫はホッとした。
父は本気で母一人しか、愛せないのだと改めて認識した。
「とにかく、その人が家に入って指輪を盗んで婚約するっていうか公言してるってことですよね?でも、五年も前にやめてる人がなんで宮中で瑠香様と結婚すると、言ってるのでしょうか……?」
謎が謎を呼ぶ…
その場で考えても拉致はあかない。
「こういう時は、縁結びをしてるかーさんに聞いてみるか…いいよな?とーさん」
「しかたがないな…」
指輪をなくしたのを知られたくなかったが…幽霊でもある葛葉子は、もう知っているのかもしれないともおもう。
自分の親神でもあるルカの神も知ってることのようだし。
何か、神々の中で目論見あっているのだろうか……
と瑠香の神を見るとふふっと意地悪に微笑むだけだった。
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