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78話

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 田園風景から、民家の立ち並んでいる風景へと移行していく。

 だんだん地響きや破壊音が大きくなっていく中、見えてきたのは、数体のエンペラーゴーレムだった。民家を破壊するのに最適というわけか。ただ屋根の上に、応戦している騎士や魔導師の姿も多く見えるので、ここは大丈夫だろう。

 そう思ったものの、ゴーレム達に接近するにつれ、多数の闇属性の気配まで感じられた。そして見えてくる。あれはレイスだ。幻覚や呪いを使用される前に、倒さなければ危険となるモンスター。

 もしもゴーレムの攻撃に意識が向いている隙に、民家の影に隠れられてしまったら、騎士達の攻撃は届かなくなる。上空を魔瘴で覆われている暗闇の中、闇属性であるレイスを探すのは困難だろう。そうしていつの間にか背後にいて、魔法を放たれるだけでなく、幻覚や回復不可の呪いまで受けてしまう。

 到着した戦場は、悲惨な状況になっていた。破壊されている民家の残骸に紛れて、何人もの騎士や魔導師が倒れている。あまり考えたくはないが、命を落としている者もいるかもしれない。

 進言するまでもなくリュカが馬を止めたので、ミランダとカミラを地面に下ろした。

「ザガンとカミラは、騎士達の援護を。俺はあっちにいるレイスを討伐するから、ミランダは近くで幻覚を見てるらしい者達を保護して。ノエルとシンディは倒れている怪我人の回復、ニナは2人の支援をお願い。オロバスも、俺達からあまり離れない程度で戦ってくれるかな」

 リュカの指示にそれぞれ返事をし、行動開始。馬を降りたらすぐに民家の雨樋に触手を伸ばし、縮めた反動で屋根に乗る。後ろから飛んできたカミラの魔法がエンペラーゴーレムに着弾、ドンドンドンドンッと何度も爆発し、着実に削れていく。
 ただ爆発が終わってもまだ生きていたので、跳躍する。

「朧」

 短剣を振り下ろせば、斬――――……と大きく黒線が入り、そこから掻き消えるようにブワッと魔素が飛散した。ゴーレム1体討伐完了。そのまま民家を挟んだ反対側に着地すれば、少し離れた場所にレイス5体を発見したので、そちらに駆けていき剣技を放つ。

「奥義――宵闇」

 魔力で長剣へと変化させ、斬、斬、斬、と数体纏めて高速で攻撃していく。魔法など撃たせず、すでに騎士達によってダメージを負っていたこともあり、すぐに討伐完了。
 突然の助けに驚いている騎士達は置いておき、周囲を見渡す。他のゴーレムは……。

 屋根上へと視線を移せば、視界に映るゴーレム達は全て、鋭利な三角錐で脳天まで貫かれていた。動きを封じられ、しかも魔素を吸収されているらしく、少しずつ崩れていっている。オロバスの魔法か。じわじわ殺していくなんて残酷な魔法だが、悪魔らしいと言えば、らしいかもしれない。
 ……以前のリュカvsオロバスの手合わせでは、魔法を禁止にしていて良かったな。魔法ありだと、リュカは絶対に勝てなかった。当然、俺でも勝てない。

 とにかくゴーレムはそのうち消滅するだろうし、近辺にはレイスの気配も無いので、短剣をしまった。そしてこちら側でも倒れていた、魔導騎士達を確認する。全員から弱々しくも気配は感じるので、ホッと安堵しつつ触手で持ち上げた。

 ただ当然ながら無事ではないわけで、血はポタポタ垂れるし、首や手には黒痣が浮かび上がっていた。たぶん全身に巡っているだろうこれは、回復不可の呪いだ。

「この者達を、リュカの……第2王子のところに連れていく。構わないか?」
「あ、はい。お願いします」

 了承は得たので、リュカのところへ戻る。怪我人に刺激を与えないよう、少し遠回りして、民家の間の狭い通路を歩いた。無事だった者達も、後ろを付いてくる。

 リュカはすでにレイスを討伐しており、ここで戦っていた騎士達と話していた。ただ俺に気付くと、こちらに駆け寄ってくる。

「ザガン! 良かった、無事だったね」

 軽く抱き締められ、ちゅっと額にキスされた。それから後ろにいる者達へと、視線を向ける。

「君達も、無事で良かった」
「リュカ殿下……、ありがとう、ございます」
「ありがとうございます……!」

 リュカに労われたからか、涙を滲ませる騎士達。リュカは真っ先に俺のところに来るけれど、きちんと周りも見ている男だ。

 ついでに、頼れる者を瞬時に見極められる能力も持っている。ドラゴンに闇属性の保護を頼んだ時も、声を掛けた時点では種族不明であったし、人間に友好かどうかも判明していなかった。だが結果として、最高の判断だったと言えるだろう。

 あと状況把握が速ければ、指示も的確である。先程の俺達への指示も、現状を鑑みるに完璧だ。
 リーダーとしてここから離れるべきでないリュカは、見える範囲にいたレイスを倒したあと騎士達を労わっていて、ミランダは幻覚のせいでいまだ暴れている者達を地面に押さえている。そして俺の援護をしてくれたカミラが、無理矢理口を開けさせ薬を飲ませている最中だった。
 オロバスは上空にいて、あちこち潜んでいるだろうモンスターに魔法を放っている。どの範囲まで届くのか疑問だ。
 ニナは風により重い瓦礫でも簡単に退かしており、ノエルとシンディはそうして救出された負傷者を、次々回復している。

 俺はノエルの傍に寄ると、触手で運んできた者達を見せた。

「ノエル、この者達は回復不可の呪いにかかっている。治せるか?」
「呪い……はい、治せると思います」

 ノエルはマジックバッグから出したMPポーションを飲むと、剣を両手で持ち直し、祈るように目を閉じた。両手から剣へと、次第に魔力が溜まっていく。

「母なる世界よ、森羅万象を慈しむ尊き御心のままに、悪しき力を浄化したまえ――セイクリッドハート」

 詠唱したのは究極魔法だった。掲げている剣から淡い光が溢れて、周囲が柔らかく包まれていく。半球形になっているようだが、患者達と共に俺も内側に含まれているので、どれくらいのサイズかはわからない。ただ外側にいるらしいリュカ達が、驚いたようにこちらを見つめてきている。

 頼んだのは俺だが、魔力枯渇にならないか? カミラ特製MPポーションは魔力を消費した先から回復していくので、たぶん大丈夫だとは思うものの、どうしても心配になってしまう。

 それでも黙ったまま患者達に視線を戻すと、少しずつ黒痣が消えていた。そうか、本当に治せるのか。

 レイスが使ってくる回復不可の呪いは、かつてのザガンが、母上を呪ったものと同じである。状態異常回復薬では治せない、永続的な呪い。俺も闇属性魔法の1つとしてカーズは使えるものの、一時的に身体が重くなり動きが遅くなるだけで、時間が経てば効果は消える。人間が永続の呪いを掛けるということは、それだけ怨念が強い証拠だ。

 唯一治せる手段は、万能薬と言われるエリクサーだけ。しかし幻の秘薬である。現在カミラが必死に模索しているのも、エリクサーのはずだ。

 とにかくゲームでは決して覚えられない聖属性究極魔法を、ノエルが使えた。ゲームと違い、現実での母上は呪いに罹っていないけれど。それでもあの小さかった妹がここまで成長したなんて、どれほど素晴らしく誇らしいことか。

 痣が完全に消えると、光も消えた。そのあとハイヒールを掛けて、怪我も治してしまう。無事完治した彼らの呼吸は、穏やかだ。

「ふぅ、治せました」
「ノエル、魔力は大丈夫か? 眩暈は」
「大丈夫です。カミラから貰った、MPポーションを飲みましたから」
「そうか。よくやったノエル。素晴らしい魔法だった」
「ありがとうございます、兄……ザガン殿」

 気が緩んでいたからか、兄様と呼ぼうとしてきた妹のハッとした表情に、つい笑みが零れる。するとノエルも、照れくさそうに笑った。リュカやニナも、笑顔で声をかけてくる。

「ありがとうノエル。彼らを代表して、礼を言うよ」
「すごかったよノエル、格好良かった!」
「勿体無いお言葉を感謝いたします、リュカ殿下。ニナも、ありがとうございます」

 騎士らしく返答しているノエルを横目に、触手で持ち上げたままだった元患者達を、こちらを窺っていた騎士達に渡した。すでに目を覚ましていた者もいて、戸惑いながらも互いに無事だったことを喜び合う彼ら。

 そんな明るい声を聞きながら、周囲を見渡す。するとすぐに、異変を発見した。

「……あれは」

 いつの間にか王城上に、大きな黒渦が発生していた。しかも黒渦の中心から、少しずつ魔瘴が下りているように見える。もしや女神リュヌが、魔瘴を吸おうとしているのか?

「あの下に、女神リュヌがいるみたいだね」
「ああ。急がなければ」

 リュカの言葉に頷いたら、浮いていたオロバスも下りてくる。

「見える範囲にいたゴーレムは破壊しました。ですがレイスはまだ多く残っていますし、この近辺に潜んでいる闇組織の者も、捕らえておりません。殿下、どうされますか?」
「そうだね。……ノエル、ここは任せて良いかな」
「もちろんです。私なら呪いも消せますし、闇組織の方々も、必ず保護すると約束いたします。ですのでザガン殿は後ろを気にせず、己の使命を果たす為に前へとお進みください」

 凛々しく宣言してくる彼女に感動を覚えるも、どうしても心配も湧いてしまう。

「だが以前の俺のように、魔力を消費しすぎて回復しなくなり、枯渇する恐れもある」
「あー……ノエルもアンタと同じで、無茶するからねぇ」
「そうならんように、MPポーションを開発したのだがな。まぁお主がノエルを心配するのは、どうしようもないから諦めろ」

 そうだな。兄妹だから、どれだけ信頼していても心配になる。だからせめて。

「大丈夫だよお兄さん、私がノエルの傍から離れないから。ノエルが無茶しそうなら必ず止めるし、誰にも触れさせない。何があっても絶対に守る」
「ああ、信じている」

 ニナも残ってくれればと思ったタイミングだったので頷けば、彼女は目を見開いたあと、目線を下に落としてポリポリ頬を掻いた。

「……やっぱ兄妹だなぁ。こんな私をまったく疑わず、同じセリフを言ってくるんだから。強くて綺麗な眼差しまで、ソックリだし」

 独り言のように呟かれたが、近くにいたのでもちろん聞こえていた。

 俺がニナを信じられるのは、ノエルとの絆が強いことを知っているからだ。だがノエルはその言葉を、まだ親しくなる前のニナに告げたのだろう。
 仲間に加わった時も窃盗が原因だった、そんな自分を信じていると言われたニナ。もしかしたら最初は疑ったかもしれないが、ノエルは正義感が強いうえに、とんでもなく素直である。疑うだけ無駄なほどに。だからこそ、2人は親友になれた。

 彼女達の友情に触れつつもリュカの後ろに乗り、ミランダとカミラを触手で持ち上げる。そしてオロバスは、シンディを抱きかかえて飛んだ。

「じゃあ行くよ。ノエル、ニナ、ここはお願いね。みんなも気を付けて」
「ありがとうございます殿下。御武運を!」
「御武運を!!」

 そう敬礼してくる騎士達。ノエルも敬礼したからか、ニナが慌てて真似ている。なかなか様になっているぞ。

 彼らに見送られて、リュカは再び馬を走らせた。心配ではあるが、彼女達を信頼しているからこそ、後ろは振り向かないでおく。代わりに、上にいるシンディへと声をかけた。

「すまないシンディ、何度も待たせてしまって」
「うふふ、謝らないでザガン君。先を急がないといけないからって、彼らを見捨てたら、私だって後悔するわ。それにまだ、女神リュヌは復活していない。そうでしょう?」
「ああ、急げばまだ間に合う」

 ゲームでは王都に到着した時に、邪神が復活したのだ。だから大丈夫、クラージュ達はまだ生きている。……ただこうしているうちにも、黒渦はどんどん大きくなり、上空から地上まで竜巻のように繋がってしまったけれども。

 1頭となった馬の足音を聞いているうちに周囲の建物が大きくなっていき、工業地区に移行した。普段なら働く人々で活気溢れているだろう地区が、今はシーンと静まり返っている。時々はぐれたらしい数体のモンスターと遭遇するので、止まらないままカミラが魔法で仕留めていく。

 何事もなく工業地区を抜けたかったが、そう簡単でないのも理解していた。なにせ俺達が第12都市方面から王城に向かうことは、闇組織どころか国が知っているのだ。だから人々は巻き込まれないようリュカの通るだろう道から離れた場所に避難しているはずだし、闇組織は俺達を妨害する為に、モンスター召喚してくる。

 わかっていても、前方に大量のモンスターの気配を感じて、眉が寄ってしまった。

「……とんでもない数だな」
「そうですね。1万は超えています」
「そんなにいるのか。もう止まっていられないんだが」
「ふむ。オロバス殿、人の気配はするかのう?」
「しませんね。民間人は最初から避難しているとして、騎士達も避難したのか、あるいはすでに殉死してしまったか。とにかく現状ではモンスターのみです。召喚者達の気配も、近くにはありません」
「ならば好都合、ここはわらわに任せよ」

 カミラはMPポーションを飲むと、大杖に魔力を込め始めた。杖先の魔石に、どんどん魔力が溜まっていく。

 少しすればモンスターの群れが見えてきた。まるで迫りくる壁のような光景である。個々はそれほど強くなくても、数によるプレッシャーがすごい。

「いいねぇ、血が滾るよ」

 あれに怯まないどころか戦う気満々なのが、冒険者としてのプライドを持っているミランダらしい。
 だが俺も急がなければならない状況でなかったら、きっと同様に滾っていただろう。第1ダンジョンから第12ダンジョンまで強敵相手に戦い、ここまで強くなってきた、その実力を示せる瞬間が眼前に広がっているのだから。

 リュカが馬の速度を落とした。だが向こうはすでに俺達に気付いており、召喚者の意思に逆らえないゆえ全軍がこちらに向かってくる。
 地面が揺れると、馬が負けじと力強く足踏みした。その瞬間、放たれる魔法。

「地獄の業火よ、罪を背負いし我が霊魂に応え、命あるものをことごとく燃やし尽くせ――ヘルファイア!」

 ゴゥ!! と一直線に向かっていく大規模な魔力は、氷のような美しい青だった。青い炎。それが一瞬にして敵を燃やし、葬っていく。建物は燃えずに、命だけが刈り取られていく。なんて素晴らしい精密さか。魔力操作に長けた、彼女らしい究極魔法である。

 数十秒後には、道が開けていた。周囲にはまだたくさん残っているものの、俺達が通ろうとしている道には1体もいない。

「ザガン、わらわとミランダを下ろせ。この数を放っておくわけにはいかんからな。ミランダ、わらわを守ってくれるじゃろう?」
「もちろんさ、傷1つ付けさせやしないよ!」

 言われた通り2人を下ろせば、カミラが王城へと杖を向ける。

「ゆけ、我が友よ。この切り開いた道を、無駄にするでない」

 その言葉に頷いた時には、すでにリュカが馬を走らせていた。そして開けている道を……まだ多く残っているモンスターの迫りつつある間を、颯爽と駆け抜けていく。

 後ろを追ってくる敵は俺が魔法で倒して、無事モンスターの群れを抜けられた。そのまま止まることなく、前へと進んでいく。

 あれほどの数を放っておくわけにはいかないと、カミラは言った。だが実際はあそこに残ることで、俺達を追おうとするモンスターを減らしてくれたのだ。
 危険を承知で残ってくれた2人に感謝するも、あの数を相手にして無事でいられるかどうか不安になる。それでも彼女達の強さを信じるしかない。前衛守備特化のミランダと、後衛攻撃特化のカミラ。相性の良さも抜群なので、きっと大丈夫だ。

 無言のままリュカの腰にしがみ付いていると、王城が大きくなってきた。だが焦燥感も大きくなる。とうとう黒い竜巻が消えてしまったから。

 空を見上げれば、星が瞬いている。上空を覆っていた魔瘴を全て吸われてしまった証拠であり、そのせいで膨大な魔力を感じるようになった。この圧倒的な強さ、さすがは女神と謂われる存在である。

 まだ姿は見えないものの、すぐにでも出現してきそうな重圧感だ。しかも情報通り、王城周辺にはダークドラゴンが飛んでいた。視界にいるだけでも6体。気配はもっとしている。

 ただ王城周辺にある高い建造物のあちこちには、ドラゴンと戦っている魔導騎士達の姿もあった。ドラゴン相手に怯んでおらず、剣技や魔法を放っているのが見える。ドラゴンからの攻撃も、ほとんど避けているか防いでいる。

 王城周辺に配置されているので、彼らが国師団ツートップの王都近衛騎士団や王都魔導師団だろう。あれほどの強者が揃っているなら、俺達がドラゴンと戦う必要は無いのでは?
 リュカもそう考えているようで、馬を止めようとしない。轟音が聞こえてきても、ただ前へと急ぐ。

 それでも王城の全貌が見えてきたところで、ズン……ッと、とんでもなく重い気配がした。一瞬呼吸が止まる。

『アアアアァ――――!!』

 聞こえてくる咆哮。王城奥に出現する、大量の魔瘴に飲まれた状態の女神リュヌ。そのおどろおどろしい巨体は、まさに邪神。

 ああ、復活してしまった。まだ城門にすら着いていないのに。

 急がなければならないのに、ここまで俺達を運んでくれた勇ましい馬が、恐怖に圧されてか足を止めてしまった。そのまま2歩、3歩と、後ろに後退する。すぐにリュカが首を撫でて大丈夫だと語りかけると、後退は止まってくれた。けれど走ろうとしない。

 ここからは、自分達の足で行くしかないか? 王城は近いものの、その敷地内もリュカが迷うほど広いそうなので、出来れば最後まで頑張ってほしいのだけれど。

「ブラックニードル!」

 馬から降りるべきか悩んでいたら、いきなりオロバスが魔法詠唱した。俺のブラックニードルとは違い、デカい黒針が1本、ものすごいスピードで飛んでいく。そのまま十数m先で火を吹こうとしていたドラゴンの、胴体に突き刺さり貫通していった。
 痛みに叫び悶えるドラゴン。その近くの屋根には、1人の魔導師がいた。あの者を助けたのか。……あの紅髪の男を。

 オロバスを見ればシンディを差し出されたので、触手で受け取る。すると彼は、助けた男へと向かって飛んでいった。

「こんの馬鹿ライル! 余所見してるんじゃありませんよ!」
「ああ!? テメェオロバス、帰ってきていきなり暴言吐く、なん、て……」

 オロバスに対して振り返ってきた男が、その奥にいる俺にも気付いた。そして大きく目を見開く。

 声が聞こえたわけではない。微かに唇が動いただけ。それでも、確かに呼ばれた。

 ――シエル、と。彼が俺に付けた名を。

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