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77話

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 突然の事態に、とにかく先を急いだ。
 馬車は引けないものの、王都に近付くにつれ、馬が走れるくらいには積雪量が減っている。なのでリュカの後ろに俺、ノエルの後ろにニナでそれぞれ乗馬し、オロバスはシンディを抱えて飛んだ。ミランダとカミラとベネットは、俺の触手で持ち上げておく。

「……確かに速いけど、緊急事態でないとやられたくない運び方だね。触手なのにきちんと座ってるって、どうなんだい? 荷物みたいに腹に巻かれる方が、まだ恥ずかしくなさそうだよ」
「わかる! 私も前にされた時、ちょっと恥ずかしかったもん。気遣ってくれるのは嬉しいんだけど、その気遣いがくすぐったいというか」
「? 仲間を俵みたいに運ぶわけにはいかないだろう。あと腹にとんでもない負担が掛かるぞ」
「ミランダよ、こういう時は堂々した態度でふんぞり返っておけば良いのじゃ。悪いことは何もしておらんのだからな」
「ザガンさん、スカートが翻らないように押さえてくれていて、とても助かります。ありがとうございます」
「ミランダちゃーん、恥ずかしいなら私と代わるー?」
「そっちはもっと無理だよ!」

 ベネットからの礼に頷いていると、シンディの声が降ってきた。彼女はオロバスに抱きかかえられているだけでなく、落ちないよう彼の首に腕を回している。あれをミランダがやるのは、確かにハードルが高そうだ。

 雪原を駆ける馬達。世界の全てには魔素が宿っており、もちろん彼らにも魔力がある。ゆえに馬達は身体強化を使用し、人間2人を乗せても平常通りのスピードで、雪を巻き上げていく。手綱を握っているリュカとノエルのコントロールも、見事なものだ。

 どんどん王都に近付いていき、周囲が暗くなっていく。ゲームでも上空に魔瘴の広がるスチルがあったが、まさか王都全体を覆うほどの量だとは思わなかった。
 だが納得もしている。この国は、神ソレイユの負の怨念が溢れているのだ。なので魔瘴が集めやすくなっている。むしろあれだけ変換しても、怨念はあまり消化されていないかもしれない。

 しばらくして外壁が見えてきた。約200kmという長さで王都を囲っている外壁だが、建国当時はもっと狭かったそうだ。土属性達によって外側に移動させたり増築したりして、5000年掛けて現在の長さになったという歴史がある。

 雪の除去された道になり、ポツポツと家が建っている景色に変わった。外壁の外に住んでいるのは、王都に危険が及ばないよう常にモンスターを狩っている猛者達。もちろん、きちんと国から出されている仕事である。

 王都、第12外門前。2ヶ月前から今回の襲撃を知らされているからか、慌てて外に出てくるような民はいない。衛兵しかおらず、静かなものだ。

 リュカはノエルに合図すると、速度を落としていき、敬礼して待っていた彼らの前で馬を止めた。

「ただいま、通らせてもらうね」
「おかえりなさい、リュカ殿下!」
「殿下、報告いたします。現在闇組織の襲撃により、王都の至るところでモンスターが出現しております。王城付近の魔導師団から、ドラゴンと戦闘中という報告まで入りました」
「このまま王城にお帰りになるのですよね。殿下、どうかお気を付けください」
「ありがとう、君達も気を付けて」
「お気遣い感謝いたします。御武運を!」
「御武運を!」

 その言葉に頷いたリュカは、再び馬を走らせる。

 あの衛兵達、すごいな。俺の黒髪はリュカに隠れて見えなかっただろうが、触手で持ち上げている友人達や、飛んでいるオロバスは明らかに見えていた。どう考えても突っ込みどころ満載な光景なのに、動揺しないとは素晴らしい。もしかしたら王子を前にしての緊張や、ドラゴン出現などの緊急事態で、それどころではなかっただけかもしれないけれど。

 ……ドラゴンか。そういえばゲームでは邪神戦前に何回か強制戦闘があったが、対ドラゴン戦も含まれていたように思う。第9都市とは違い、1体のみ。それでももし実際に鉢合わせたら、それだけクラージュ達のところへ着くのが遅くなる。しかし周囲への被害を考えると、無視も出来無い。

 さらに不安が募るものの、とにかく先を急ぐしかない。

 外門を通り抜けて数分後には、頭上に魔瘴が差しかかった。まだ午後1時過ぎだというのに、あたりは夜のように闇に包まれている。闇属性には戦いやすい環境だ。召喚されるモンスターが全て闇属性だとしたら、王都に住んでいる人々は、苦戦を強いられるかもしれない。

 その予測が的中したのは、外門を通過して約15分後のこと。前方にモンスターの群れを発見したが、戦闘している騎士達が押されていた。
 この辺は雪に覆われた田畑が多く、民家が少ないからか、あまり人数が配置されなかったらしい。10人しかいないのに、モンスターはBランク以上が約100体以上いる。闇組織の者が、この近くで召喚を使ったか。

 加勢する時間は惜しい。だが死ぬかもしれない者達が近くにいるのに、助けないなどという選択肢は、ありえない。

「リュカ」
「うん、助けよう」

 リュカから窺ってくる気配を感じたので応えると、すぐに馬を減速させた。そちらに杖を向け、魔法を放つ。

「ダークブラスト」
「エクスプロージョン!」

 カミラも同じく上級魔法を放ち、着弾すると、いくつもの爆発が起こった。数体が消滅し、素材に変わっていく。
 友人達を地面に下ろしてから、俺もリュカの後ろから降りた。我先にと駆けていくミランダ、彼女を追い越して剣技を繰り出していくニナ。そしてリュカとノエルが、馬に乗ったままモンスターの群れに突っ込んでいく。

「ソレイユの騎士達よ、諦めるな! 民を守る為に生きろ! 生きる為に剣を振るえ!」
「リュカ殿下!?」
「殿下! おぉ、……おおおお!!」

 突然の助太刀に唖然としていた彼らだったが、リュカの鼓舞を聞くと、雄叫びを上げながらモンスターに攻撃していった。その直前にベネットがバフを掛けたからか、着実に倒していく。士気が上がりすぎて無茶している者もいるようだが、怪我をしてもベネットやシンディがすぐに治すので安心だ。

「ライトニング!」

 それにしても、リュカは随分強くなったな。いつの間にかAランクモンスターを、上級魔法1発で仕留めるようになっている。対象の頭上から雷を落とすライトニングは、周囲への被害も最小限なので、使い勝手が良さそうだ。

 しばらくすれば討伐が完了し、騎士達は歓喜した。圧倒的な数の違いに心が折れ掛けていたのだから、生きている喜びはひとしおだろう。中には涙を流している者までいる。

 そんな彼らだったが、リュカが声をかければ、一斉に並んで敬礼した。そして助けてもらった礼を告げてくる。それに対し、言葉を返すリュカ。

「君達が無事で良かったよ。あれだけの敵を前にして、よく耐えてくれていた」
「リュカ殿下……。勿体無いお言葉、ありがとうございます」

 頭を下げる彼らに、リュカは大きく頷いた。後ろ姿なので表情は見えないものの、きっと王子らしく凛々しくしているだろう。

 とにかく一難去ったので次に進むかと思ったが、馬を降りていたノエルが、リュカに声をかけた。

「リュカ殿下、ここで少し休憩されませんか? 先を急がなければならないのは承知ですが、万全を期す為にも、昼食は取っておくべきです。王城まで、まだ距離がありますから」
「そうだね……。ザガン、シンディ! 食事休憩挟んで良いかな?」
「まだ邪神の姿が見えないので、俺は構わないが」

 ただしシンディの気持ちはわからないので、そちらを窺う。すると彼女はニコリと微笑んだ。

「もちろん良いわぁ。ベネットちゃん、すぐに用意出来るのよね?」
「はい、たくさん作り置きしてありますから、すぐに出せます」
「それなら、みんなでご飯にしましょう」

 というわけで食事休憩に。騎士達も食べずに戦っていたそうだが、さすがにリュカと共に食事するのは気後れするのか、素材を拾っているから気にしないでほしいと進言された。なのでテーブルセットは、いつも通り2つ出す。
 そこにベネットが、大鍋や釜を置いてきた。金具で止められていた蓋を開けられた瞬間、香ってきたのは、カレーのスパイシーな匂い。

 美味そうな匂いに脳が刺激されたのか、ぐうぅぅと腹が鳴った。緊急事態であろうと、空腹は覚えるのだな。いつの間にか馬から降りたリュカが隣にいて、可愛いと囁かれながら頭にキスされたが、いつもなので大人しく受け入れておく。

 ちなみに馬は、すでにオロバスが面倒を見てくれていた。悪魔はほとんど食事を必要としないらしく、この数日間で彼が何かを食べている姿は、一度も目にしていない。

 カレーをよそったり水筒からお茶を注いだりと、友人達が手際良く準備して、食事の挨拶を交わす。

「ん、おいしい~! やっぱカレーおいしい!」
「はぁー……、胃に染みる美味しさだよ」
「お野菜もお肉も、柔らかくて良いわねぇ」
「ほんに美味い。さすがはベネットじゃ」
「ふふ、ありがとうございます」

 本当に美味い。美味くて言葉も出ないまま、ぱくぱくもぐもぐ食べていく。まぁ彼女とは目が合ったし、頭を下げたら嬉しそうに微笑まれたので、感想は伝わっているだろう。

 そうして食事に集中していたが、ふと違和感に気付いた。微かに、オロバス以外の闇属性の気配を感じたのだ。オロバスも気付いたらしく、馬から離れてレイピアに手を掛けていた。だが闇属性は闇に潜むのが得意であり、かつ頭上の魔瘴による魔力の影響のせいか、場所が把握出来無い。どこにいる?

「……ザガン?」

 スプーンを置いて立ち上がると、リュカが見上げてきた。それには答えず、異変が起こっていないか注意深く周囲を見渡す。まだ何も……いや、少し離れた場所で騎士達が食事しようとしている、その奥の地面に、大きな魔瘴が出現していないか?
 反射的にそちらに向かうが、当然のように先にモンスターが召喚されてしまう。

 暗黒魔人。長身3mほどの、Sランクモンスター。その気配に騎士達が気付き、剣を抜こうとするが、相手はSランクである。彼らの反応よりも速く、大剣が振り下ろされた。
 クソッ、間に合わな――……は?

 目を疑った。何故なら、ドウンッ!! と、横に暗黒魔人が吹っ飛んだからだ。そのまま魔素が飛散していき、消滅する。……どうしてそうなった?

 驚きながらも、倒した人物へと視線を向ける。
 そこにいたのは、長身の筋骨隆々な男だった。攻撃を仕掛けるまで彼の気配は感知出来無かったし、しかも拳を下ろしたところを見るに、どうやらブン殴って消滅させたらしい。Sランクモンスターを、拳1発とは。

 男は近くで固まっている騎士達を無視し、オロバスの方へと歩いていく。

「ようオロバス、久しぶりだな! 美味そうな匂いがしてきて、つい家から出てきちまった。ほら、あそこが俺んちだ」
「最近見掛けないと思ったら、こんなところで農業していたんですね。ところで話す前に、向こうに逃げている闇属性の人間を捕まえてきてくれませんか? 壊さないよう、丁重にお願いします」
「ん? おお、了解した」

 男は身体を反転させて足に力を入れたかと思えば、横に勢いよく跳んだ。雪が舞って見えなくなってしまったものの、代わりに闇属性の気配が大きくなる。あんな超スピードで迫られるのは、怖いよな。とりあえず解決しそうなので、急いでカレーを食べてしまおう。

 俺がテーブルに戻ると、立ち上がっていたリュカ達も再び椅子に腰掛けた。そして皆で、食事を再開させる。

「すごかったですね、あの方の攻撃。すごい強さでした」
「うん。彼、たぶん人間じゃないね」

 そうだな。あの圧倒的なパワー、もしやドラゴンだろうか。

 数分で無事完食し、席を立ったタイミングで男も戻ってきた。捕らえた闇属性は、肩に担いでいる。……腹への負担は大丈夫か?

 男はオロバスと合流すると、2人でこちらにやってきた。

「あ、もう食い終わってるのか。俺のぶんは残ってるか?」
「ベネットさん、もし残っていれば、彼にもカレーを食べさせてあげてください」
「はい、残っていますよ。すぐに注ぎますね」
「悪いなお嬢ちゃん、恩に着るぜ。オロバス、この人間はどうする?」
「リュカ殿下、空いている椅子に座らせても?」
「良いよ、使って」
「ありがとうございます。ではここに下ろしてください。逃げる気力は残っていないようなので、拘束の必要は無いでしょう」

 男は椅子に闇組織の者を下ろすと、ベネットからカレーを受け取り、すぐさま食べ始める。

 捕まってぐったりしている闇属性は、年若い女性だった。フードから覗いている髪は、濃くもなく薄くもない、ごく普通の紫。戦闘員ではないが……。

「あらかじめ魔瘴を集めておけば、召喚に使用する魔力はそれほど必要とせず、彼女くらいの魔力でも100体以上のモンスターが召喚可能だった。つまり闇組織の何百人という人員が、王都の至るところでモンスターを召喚している。そうだな?」

 問いかけてみると、彼女は戸惑いながらも頷いた。どうやらクラージュは、全力で王都を潰しにきているらしい。いや当然か。それだけの憎悪と、揺るがない決意があるからこそ、ここまで俺と対立してきているのだ。

「王都の民は避難しているから大丈夫だと思うけど、ここのように手薄のところを襲撃されていたら、騎士達が危ないね」
「ああ。だが逆に、彼女のように捕らえられてしまった場合、ほとんどの者はその場で殺されるだろう。闇属性に対する差別は、まだ少ししか消えていないから」

 第12都市で出会った女性は、闇属性の子を産んでも大切にしていた。だがそれはあくまでも、彼女が赤子の母親だったからだ。見ず知らずの闇属性、しかも現在襲撃してきている敵を、捕縛するだけに留めてくれる騎士達がどれだけいるか。数百年に渡る確執が、そう簡単に消えるはずがない。

「全員を助けたいが、俺達は先を急がねばならない。……この手で救えるものは、ほんの一握りだけだ。この手の届く範囲だけ」

 俺達がすべき最重要事項は、クラージュのところへ行き、暴走する女神を止めること。そうしなければ王城が破壊され、避難している国民にまで被害が及んでしまう。王都が壊滅する。だから心が痛んだとしても、割り切るしかない。

 胸で燻ぶる感情から意識を逸らそうと空の魔瘴を見つめると、手を取られた。リュカだ。いつの間にか、拳を強く握っていたらしい。優しく撫でられるまま掌を広げれば、微笑まれたあと、ちゅっと額にキスされた。そしてオロバスへと視線を向ける。

「ねぇオロバス。そこの彼に、警備の手薄なところのモンスターを倒してもらいながら、闇組織の者達を保護してもらうことは可能かな」
「可能ですね。……貴方、カレー美味しかったですよね?」

 声を掛けられた男は、すでにカレーを食べ終え、茶を飲んでいた。コップを置くと、ひょいと片眉を動かしてくる。

「おいおいオロバス、これは人間同士の縄張り争いなんだから、俺達はあくまでも傍観者であるべきだろう? まぁどちらかに加担しろってんじゃなく、どちらも助けてほしいみてぇだから、引き受けるけどな。カレーも美味かったし」
「ありがとう、助かるよ」
「ただしそこの兄ちゃんが言っていたが、俺でも助けられる数はたかが知れてる。それで? 王都でモンスター召喚している人間は、あと何人いる?」

 男が、闇属性の女性へと目を向けた。あまりにも強い視線にビクッと肩を硬直させた彼女だったが、見られ続けられるのも怖いらしく、数秒後には口を開く。

「……400人、くらいです」
「そうだよなぁ、王都を襲撃するんだから、それくらいいるよな。さて、王都は広い。よって条件がある。他の連中にも助けを求めるから、そいつらにも美味いもんを食わせてほしい」
「…………あっ、僕ですか」

 片付けをしていたベネットが、声をかけられていることに気付いて、顔を上げた。うんうんと頷く男。

「俺達ドラゴンは、美味いもんを食うのを趣向としている。それが楽しく長く生きる秘訣だからな。お嬢ちゃんのカレーは美味いうえに、愛情たっぷりだ。これは今のうちに皆にも食わせてやらんと、あとで俺がボコられる。王都だけでも30体はいるんだ、針のむしろだぜ。なぁお嬢ちゃん、俺を助けてくれないか?」

 やはりドラゴンだったのか。そして王都だけで30体もいると。悪魔や他種族も合わせると、果たしてどれくらいのモンスターが王都に……王国に潜んでいるのだろう。

 いやそれよりも、ベネットだ。ベネットは以前、ドラゴンも街に潜んでいるかもしれないと告げた時、酷く脅えた。しかもこのドラゴン、擬態しているのが筋骨隆々なオッサンである。外見だけなら、ベネットの苦手なタイプ。大丈夫だろうか。

 だがその心配は杞憂だったらしく、彼女は凛々しい顔付きで頷いた。

「僕で良ければ、連れて行ってください。それと、僕からも要求します。彼女や保護する闇属性の方々を、絶対に安全な場所で匿ってください」
「良いぜ。王都にある孤児院のうち5ヶ所は、魔物の溜まり場になっている。そこに連れてきゃ、危害を加えられることも、逆に逃げることも出来ん。ってことで、決まりだな」

 男は座っていた女性を持ち上げると、軽々と片腕で支えた。彼女が悲鳴を上げている間に、ベネットは俺達と相対する。

「リュカさん、ザガンさん。お2人の憂いは、今後メイドとして貴方がたに仕える、僕が引き受けます。こんな僕を傍に置きたいと願ってくださった、その信頼に応えてみせます。ですから安心して、前に進んでください」

 両手でスカートを摘み、頭を下げるベネット。初めて出会ってからしばらくは気弱で頼りなかったのに、いつの間にかこんなにも強く、頼もしくなっていたのだな。

「ありがとう、ベネット。任せたよ」
「ベネット、任せた」
「はい、任されました」

 頭を上げた彼女は、ニコリと可愛らしく微笑んだ。そして振り向けば、すぐさま男の片腕に抱えられ、持ち上げられる。

「ベネットちゃん、気を付けてね」
「ベネットの料理なら、誰でも骨抜きに出来ますよ!」
「うむ。自信を持って頑張ってくるんじゃぞ」
「でも自分を守ることが最優先だからね、無理すんじゃないよ」
「そうそう、危なくなったら全力で逃げてね!」
「はい。皆さん、いってきます!」

 いってらっしゃい! と手を振る友人達に、随分視線の高くなったベネットが、振り返してくる。
 男は先程のように全速力で走るのかと思いきや、バッと翼を広げると地面を蹴り、空へと飛んでいった。翼の色は赤。ファイアドラゴンか。

「彼らに任せておけば大丈夫でしょう。ドラゴンは思念伝達が使えますし、ドラゴン同士でなら離れていても通じるそうですから、すぐに他の方々も動いてくれます。彼らにとって人間は愛玩の対象ですので、手荒な真似も絶対にしないと断言出来ます」

 思念伝達。SSSランクともなると、便利なスキルを持っているようだ。そういえば女神テールも、思念伝達を使っていた。
 ともかく叡知あるドラゴンなら人間より明らかに有能だし、オロバスが断言するほどなら、本当に心配無用なのだろう。

 俺達も出発しようと、出したままのテーブルセットを片付け、乗馬した。騎士達が近くにいようと構わず触手でミランダとカミラを持ち上げ、オロバスも翼を広げるとシンディを抱えて浮遊する。

 そうして戸惑っている騎士達に見送られながら、再び王城に向けて馬を走らせた。

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