白いタイツに包まれたありのままの自分でいたい

第1章

プロローグ

恵子は明るさを持ちつつも少し控えめな中学2年生の女の子です。
春休みが終わり、4月から日本のS市にあるS女子学院中学校に通うことになりました。
S女子学院はS市の郊外に位置し、約700人の生徒が学ぶ小規模な中高一貫校です。
この学校は、凛とした品のある女子生徒たちで知られ、成績も非常に優秀で、地元では高く評価される名門校です。
最寄りの駅から学校まで徒歩約10分、住宅街の中に位置しており、5分歩けば緑豊かな田園風景や草原が広がっています。
恵子の家もS市内にあり、学校まで歩いて50分の距離があります。
恵子は自然を愛しているため、歩いて通学することを選びました。

学校から5分ほど歩くと国道に出て、その先で住宅街が途切れます。
そこからは約15分ほど田園風景の中を歩きます。
その途中には清流で知られる川が流れ、橋を渡るのに約5分かかります。
橋を渡ると、恵子のお気に入りのハンバーガーショップが現れます。

その場所を右に曲がり市道に入ると、恵子が住む地区に入ります。
この地区は清流に沿った市道を中心にしており、家や田畑、野原が広がっています。
そしてその両サイドには小高い丘の森が立ち並んでいます。
恵子の家は、この地区の奥に位置しています。

ハンバーガーショップから約10分ほど歩くと、恵子が頻繁に利用する食品店や文具雑貨店、ベーカリーカフェや本屋が点在しています。
その近くには、子供たちが遊ぶ公園もあります。
この公園は、小学生や幼稚園児だけでなく、この地域のお母さんたちも利用する場所で、緑に囲まれた散歩道が整備されています。
恵子もこの公園が大変気に入っています。

公園を左に進むと、左右に分かれる道があり、左は神社と祭りの会場となる広場、右は山へ続く道になっています。
その山を約40分ほど進むと、清流とは異なる川の滝が現れます。
この滝は高さ約10mあり、滝つぼは天然のプールとして夏に子供たちが泳ぐ場所になっています。
滝の先にも道は続いていますが、あまり人々は訪れません。

先ほどの公園を通り過ぎ、まっすぐ5分ほど歩くと、S女子学院の付属幼稚園が見えてきます。
この幼稚園は、約60人の園児が通う小さな女の子たちだけの幼稚園で、恵子もここで卒園生として過ごしました。
3月には、久しぶりにこの幼稚園を訪れ、園長先生やかつての担任の先生たちと再会しました。
先生方は、恵子の成長をとても喜んでくれました。

その先、さらに約10分進むと、恵子の家が姿を現します。
この家の近くには、先ほどの幼稚園の畑や遊び場があり、園児たちの明るい声が時折耳に入ってきます。
道はまだ続いていますが、ここから先は県境の山地に進む道で、人や車の姿はほとんど見当たりません。
恵子の家は、庭や畑が広がる2階建ての住居で、小さなプールや屋上のバルコニーもあります。
ここからは周囲の素晴らしい景色を一望することができます。

恵子は、幼少期から幼稚園を卒業するまでこの家で暮らしました。
しかし、小学校に入学する際に母と共に海外へ移住し、中学1年生までの間をそこで過ごしました。
そして、日本で一人暮らしをすることを希望し、3月に単身で帰国しました。
この地域の住人たちは、恵子が海外にいた間も変わらず彼女のことを覚えており、子供たちは「恵子ちゃん、また一緒に遊ぼう！」と声をかけ、大人たちは「恵子ちゃん、お帰り。一人での生活は大変だろうけれど、何かあったらいつでも言ってね」と温かい言葉をかけてくれました。
そのおかげで、恵子は新しい生活を安心してスタートさせることができました。