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妻について カナメ視点 R
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彼女を初めて見た時、まさかこんな場所で女性が独りで地面に座り込んでいるとは思わず、存在自体を疑って失礼な発言をしてしまった。
だが彼女はそんな私に怒りもせず戸惑うような、伺うような、遠慮がちな視線をよこした。
(…なんて可愛いんだ)
女性といえばいつも自信に満ち溢れ男を従わすのが当然で、少しでも不満があれば男なら幼子のうちしかしないような癇癪を起こすのが普通であるのに、彼女は不機嫌にもなっていなかった。
それどころか仔犬のように人を伺う可愛らしい仕草に心臓を撃ち抜かれてしまった。
そして次に感じたのは彼女の夫達への怒り。
どうしてこんな所に女性が独りでいるのか。
女神の眷属である精霊の棲む泉は全て神殿が管轄する領地となっており、選ばれた人間しか入れず入山記録も残るとはいえあまりに不用心だ。
そんな情けなくも無礼な夫達など捨てればいい。
そして私と結婚してほしい。
これが27年間生きてきた私の初めての恋だった。
私は幼い頃から容姿も成績も良く、当然のように首席で王立学園に入った。
女性の少ないこの世界で若いうちに女性と出会える唯一と言っていい場所だ。
父達は私なら必ず女性と結婚出来るだろうと喜んでくれた。
初めて会った母以外の女性達は、正直非常に煩かった。
命を生み出す尊き存在に対し、こんな風に考えてしまうこと自体罪深い事だとは分かっているが、落ち着きもなくキャーキャーと騒ぎ立て、男達をおもちゃのように振り回す様はまるで幼い弟達のようだ。
そして学園での私は女性達に非常にモテた。
沢山の女性達がお試しの関係を通り越して「夫の一人にしてあげてもよろしくてよ」と言う求婚の常套句で私を求めた。
だが私はどの女性にも心を動かされる事は無かった。
女性と結婚出来るだけでも、なんなら一度お相手頂くだけでも有り難い世の中で私は誰とも結婚したいと思えなかった。
そこで私は女性達が私を巡り争うのを逆手に取り、誰かのものになって他の女性を悲しませたくないとの言い訳で婚姻を断り続けた。
断り続ける中で、泣かれ、喚かれ、叩かれ、こんなに好きなのに断るなんて酷い男だと、相手を傷付けて申し訳ないと思わないのかと詰られる事も何度もあった。
けれど愛情も無いのに求められたからと結婚するのは、相手に対しても失礼だろう。
それに男にとって愛する相手は妻ひとりだか、女性は何人もの男を愛せるのだ。
私ひとりとの恋が叶わぬくらい構わないじゃないか。
私の心はいつしか冷え切っていた。
そしてリコと出会い、今まで結婚しなかった自分を褒め称えたい気分だった。
そしてこの世界でリコに初めて会ったのが私であった事を女神様と精霊に感謝した。
リコ。愛しい人。
初めて握った手は小さく暖かかった。
滑らかな白い肌も大きくて優しげな目も好ましかった。
小柄な人だったので渡した服に着替えた彼女が女神様のように豊かな胸だった事に驚いた。
(こんなに見た目も何もかも理想通りなひとがいるなんて…)
見た目が重要なわけではないし、女性は全て美しく比べてはいけない存在なのだが…リコより美しく可愛い女性はこの世に存在しないのではと思ってしまう。
「リコ。愛してる」
「ん…私も…愛してる」
照れてはにかんだ笑顔が可愛い。
話す度に、いやリコを見つめる度に愛が募ってゆく。
ひとを愛する事がこんなに幸せだとは思わなかった。
「ん…ちゅ…はぁ…」
リコの甘い唇。
甘い声にいつだって我を忘れそうになる。
豊かで柔らかな胸をやわやわと揉むと、ぷっくりと主張してくる可愛い果実。
口に含むと甘い気がしてくるから不思議だ。
吸い付きながらちろちろと先端を舐めると声がもっと甘くなる。
「ん…ああ…」
敏感なリコの身体は、女性らしい曲線を描く腰のくびれをなぞるだけでピクピクと可愛い反応をする。
どこもかしこも柔らかで触り心地のいい肌を撫でているだけで自身が痛いほどに勃ちあがる。
どんな女性に求められても、ここまで熱く滾った事は一度も無かった。
それがほんの少しの触れ合いでこうなってしまうとは…。
「あっ…気持ちいい…」
恥ずかしそうに、控えめに。それでも悦びを素直に伝えてくれる姿にどうしようもない愛しさが募ってゆく。
リコと一つになった時。あまりの愛しさにすぐに達しそうになってしまい、内心焦った。
こちらの成績も優秀だった私がセックスで焦るなんて…。
恋とは人を愚かにしてしまうのだな。
でもそれは悪くない…いや、とても幸せな心地だった。
「あっイく…ああっ~っっ」
達する度にきゅうきゅうと甘く締め付ける隘路はたっぷりと蜜を湛えてぬるぬると気持ち良く、すぐにでも射精してしまいそうなほどだった。
腰が蕩けそうなほどの悦楽と愛しさとで、何度抱いても抱き足りなかった。
どこまでも愚かになった私は、贈り者の事を聞きつけたユウキの来訪を渋っていた。
ああ…考えてはいけない。
リコは私だけのものだ。リコの全ては私の…!
リコが私だけを好きだと、愛していると言ってくれた。
私だけがいいと、そう言ってくれた。
それは私の心を完全に満たし、完璧に定めた。
もう一生揺らぐ事は無いだろう。
彼女の愛を独占出来るのはほんの短い期間だとは分かっている。
それでも構わない。
彼女が何人の男を愛そうとも、たとえ私への愛が冷めてしまったとしても。
リコを愛する気持ちは一生変わることはないだろう。
だが彼女はそんな私に怒りもせず戸惑うような、伺うような、遠慮がちな視線をよこした。
(…なんて可愛いんだ)
女性といえばいつも自信に満ち溢れ男を従わすのが当然で、少しでも不満があれば男なら幼子のうちしかしないような癇癪を起こすのが普通であるのに、彼女は不機嫌にもなっていなかった。
それどころか仔犬のように人を伺う可愛らしい仕草に心臓を撃ち抜かれてしまった。
そして次に感じたのは彼女の夫達への怒り。
どうしてこんな所に女性が独りでいるのか。
女神の眷属である精霊の棲む泉は全て神殿が管轄する領地となっており、選ばれた人間しか入れず入山記録も残るとはいえあまりに不用心だ。
そんな情けなくも無礼な夫達など捨てればいい。
そして私と結婚してほしい。
これが27年間生きてきた私の初めての恋だった。
私は幼い頃から容姿も成績も良く、当然のように首席で王立学園に入った。
女性の少ないこの世界で若いうちに女性と出会える唯一と言っていい場所だ。
父達は私なら必ず女性と結婚出来るだろうと喜んでくれた。
初めて会った母以外の女性達は、正直非常に煩かった。
命を生み出す尊き存在に対し、こんな風に考えてしまうこと自体罪深い事だとは分かっているが、落ち着きもなくキャーキャーと騒ぎ立て、男達をおもちゃのように振り回す様はまるで幼い弟達のようだ。
そして学園での私は女性達に非常にモテた。
沢山の女性達がお試しの関係を通り越して「夫の一人にしてあげてもよろしくてよ」と言う求婚の常套句で私を求めた。
だが私はどの女性にも心を動かされる事は無かった。
女性と結婚出来るだけでも、なんなら一度お相手頂くだけでも有り難い世の中で私は誰とも結婚したいと思えなかった。
そこで私は女性達が私を巡り争うのを逆手に取り、誰かのものになって他の女性を悲しませたくないとの言い訳で婚姻を断り続けた。
断り続ける中で、泣かれ、喚かれ、叩かれ、こんなに好きなのに断るなんて酷い男だと、相手を傷付けて申し訳ないと思わないのかと詰られる事も何度もあった。
けれど愛情も無いのに求められたからと結婚するのは、相手に対しても失礼だろう。
それに男にとって愛する相手は妻ひとりだか、女性は何人もの男を愛せるのだ。
私ひとりとの恋が叶わぬくらい構わないじゃないか。
私の心はいつしか冷え切っていた。
そしてリコと出会い、今まで結婚しなかった自分を褒め称えたい気分だった。
そしてこの世界でリコに初めて会ったのが私であった事を女神様と精霊に感謝した。
リコ。愛しい人。
初めて握った手は小さく暖かかった。
滑らかな白い肌も大きくて優しげな目も好ましかった。
小柄な人だったので渡した服に着替えた彼女が女神様のように豊かな胸だった事に驚いた。
(こんなに見た目も何もかも理想通りなひとがいるなんて…)
見た目が重要なわけではないし、女性は全て美しく比べてはいけない存在なのだが…リコより美しく可愛い女性はこの世に存在しないのではと思ってしまう。
「リコ。愛してる」
「ん…私も…愛してる」
照れてはにかんだ笑顔が可愛い。
話す度に、いやリコを見つめる度に愛が募ってゆく。
ひとを愛する事がこんなに幸せだとは思わなかった。
「ん…ちゅ…はぁ…」
リコの甘い唇。
甘い声にいつだって我を忘れそうになる。
豊かで柔らかな胸をやわやわと揉むと、ぷっくりと主張してくる可愛い果実。
口に含むと甘い気がしてくるから不思議だ。
吸い付きながらちろちろと先端を舐めると声がもっと甘くなる。
「ん…ああ…」
敏感なリコの身体は、女性らしい曲線を描く腰のくびれをなぞるだけでピクピクと可愛い反応をする。
どこもかしこも柔らかで触り心地のいい肌を撫でているだけで自身が痛いほどに勃ちあがる。
どんな女性に求められても、ここまで熱く滾った事は一度も無かった。
それがほんの少しの触れ合いでこうなってしまうとは…。
「あっ…気持ちいい…」
恥ずかしそうに、控えめに。それでも悦びを素直に伝えてくれる姿にどうしようもない愛しさが募ってゆく。
リコと一つになった時。あまりの愛しさにすぐに達しそうになってしまい、内心焦った。
こちらの成績も優秀だった私がセックスで焦るなんて…。
恋とは人を愚かにしてしまうのだな。
でもそれは悪くない…いや、とても幸せな心地だった。
「あっイく…ああっ~っっ」
達する度にきゅうきゅうと甘く締め付ける隘路はたっぷりと蜜を湛えてぬるぬると気持ち良く、すぐにでも射精してしまいそうなほどだった。
腰が蕩けそうなほどの悦楽と愛しさとで、何度抱いても抱き足りなかった。
どこまでも愚かになった私は、贈り者の事を聞きつけたユウキの来訪を渋っていた。
ああ…考えてはいけない。
リコは私だけのものだ。リコの全ては私の…!
リコが私だけを好きだと、愛していると言ってくれた。
私だけがいいと、そう言ってくれた。
それは私の心を完全に満たし、完璧に定めた。
もう一生揺らぐ事は無いだろう。
彼女の愛を独占出来るのはほんの短い期間だとは分かっている。
それでも構わない。
彼女が何人の男を愛そうとも、たとえ私への愛が冷めてしまったとしても。
リコを愛する気持ちは一生変わることはないだろう。
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