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君がいる今 21話
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―つとむー
クラスの準備が終わり、ここ最近は漫画研究部に一人、南さんたちが来ないか待っている。
アキラくんがもしかしたら、南さん衣装のデザイン修正のために漫研に資料を見に来るかもって言っていた。
誰も来ない暇な時間にヴァンパイアや魔界のキャラがもとになった作品を漁っていた。
僕は、アキラくんから過去のことについて分かったことをすべて聞いた。
人と関わるのが苦手な僕は、この世界はめんどくさいなと思っていたけど、話を聞いて、魔界もめんどくさそうな気がした。
魔界なんてまだまだ知らないことだらけなような気がする。
だから、ヴァンパイアや魔界のキャラがもとになった作品に何か手掛かりがあるかもしれないと思い、休みで開いてないはずの部室を開けてもらっている。
それよりも南さん家にいたあの猫が話せることが一番驚いた。
魔界から来た猫か…
その猫が人間に変身とかできたら面白そうだな。
…ん?あれは…
ドアの向こうから誰か中を覗いている。
「美稀!やっぱりつとむくんいるよ!」
「南さん?」
「よかった~つとむくんがいて」
そこには、南さんと美稀さんがいた。
どうやら、アキラくんの言っていた通り漫研にある資料などを見て、文化祭の衣装の修正をしたいらしい。
ほんとに来るとは驚いた。
文化祭の日、3組には、新太と行く予定だ。
これはアキラくんからの頼みの一つである。
新太一人だと絶対に行かないから、誘っておいてくれって…
まぁ、別に新太と回るのは苦じゃないけど、新太と僕の関係を知らない人からしてみたらなんて思うか…
新太と僕は、学校でも話すけど、やっぱりキャラが違いすぎる。
アキラくんとの組み合わせも変だ。
アキラくんの新太も「陽」で、僕は「陰」って感じ。
「ねぇ、見てみて!美稀!!」
「何?」
「ガイアーの本があるよ!」
「ほんとだ!」
ガイアー…?少し前にやっていた特撮ヒーロー作品の本だ。
「南さん、最近の作品なのによく知ってますね。」
「あ、うん…」
「葛城くん、南ってこう見えて特撮ヒーロー好きなんだよ!」
「ちょっ!勝手にばらさないでよ~」
「別にいいじゃん!自分だって、このジャンルに対しての偏見がないようにしたいって言ってたじゃん!」
「そうだけど…」
僕は驚いた。
南さんが特撮ヒーローが好きだってことに。
でも、それは偏見を持っての驚きではない。
僕も特撮ヒーローが好きだ。
この学校には、僕しか好きだという人はいないと思ってた。
だから、他にもいると知って、嬉しい気持ちでいっぱいだ。
同士ならもしかして…
「南さん、僕も特撮ヒーローが好きなんです。」
「え!ほんと!?」
「はい、世代より少し前のヒーローも見たりしてます。」
「じゃあ、私より詳しいね!」
「そうかもです…」
南さんすごく嬉しそう。
満面の笑みで僕の方を見ている。
改めて話すとすごく表情豊かだな。
「葛城くん聞いたら驚くよ~南ね、俳優さん目的で見始めたんだよ~」
「美稀!また余計な事…」
「いいじゃないですか。俳優目的でも、その後しっかりとハマってくれてるんですから。」
「つとむくん…」
失礼だったかな?
そんな気持ちもありつつ、僕は南さんがいい人だと分かって安心した。
世の中には、役者目的で見て、しっかりとハマらずその作品だけという人たちが多い。
これは、特撮ヒーローに限ったことではない。
僕はそんな人たちが嫌いだ。
南さんはそんな人たちとは違う…そう感じた。
「あのね、つとむくん!!私、実写版を俳優さん目的で見る人気嫌いするタイプなの」
「南さんも?」
「うん、だから私の場合は、俳優さん目的じゃなくて、俳優さんきっかけなの!」
「きっかけ?」
「元々、小さい頃は少女アニメよりもお兄ちゃんと特撮ヒーローを見る方が楽しかったから、ずっと見てなかった特撮ヒーローに好きな俳優さんが出てたって知って、再ハマり的な…」
「そうだったんですね」
昔好きだったか…
だいたい、皆「この歳で??」って言って、もう見なくなるんだけどな。
さっき、「偏見をないように」って言ってたけど、やっぱり年齢のことかな。
南さんのことだから、「女子だから」とか「俳優目的なんじゃ??」っていう問題も抱えてそう。
「本見つけたよ!教室に戻ろう!!」
「えーもっとここにいたい~!!」
「ダメ!!」
「え~」
この部室を気に入ってくれたみたいで、南さんはすごく帰りたくなさそうに駄々をこねている。
「またいつでも来てください。部員以外も大歓迎なので…」
「ほんと!?ありがとう!」
また満面の笑みを浮かべている。
こういう可愛らしいところが、新太の心を掴んだんだな。
ん?あれ?何か忘れている気が…
そうだ!アキラくんが「最近いろいろあったから、もし南ちゃんが来たら、休ませてあげて」って言っていた。
どうにかして、ここに残らせて、作業に向かわないようにしないと…
「最後に聞いてもいいですか?」
「いいよ?」
「南さんが好きな俳優さんって誰なんですか?」
「話聞く??」
やっぱり、話に食いついてきた。
目がさっきよりもキラキラしている。
「話し出したらキリないじゃん!帰るよ!」
美稀さんは、南さんの腕を引っ張って行こうとしている。
「ヤダ!!少しだけだからお願い!!」
「少しだけならいいじゃないですか。たまには、休みも大事です!」
「葛城くんまで…なら分かった。少しだけだからね」
「やったー!!」
南さんは喜び、ここにある本棚に向かった。
ここにありそうって思うってことは、最近の作品に出てた人か。
まず、特撮ヒーローにハマるきっかけとなった人について話してくれた。
ハマった後、その俳優さんよりも「推し」という存在になった俳優さんがいるらしい。
「私が今一番好きなのは、この来海翼くん!!可愛いもかっこいいも兼ね備えていて、演技も上手で、最高なんだ~」
「あ~この人ですか。結構やっている役のキャラ好きですし、僕もこの人の演技は好きです。ですが、ちょっと新太と傾向が違いますね。」
「新太くん??もしかして、私が新太くんのこと好きだって知ってるの!?」
しまった。僕が南さんの気持ち知ってるってこと、南さんは知らなかったんだった。
「そんなの分かるに決まってるでしょ!!アキラにもすぐバレたんだから!!」
美稀さんにそう言われ、ほっぺをぷくーっとさせる南さん。
あぁ、新太がこの姿もそうだけど今日の美波さんの姿を見たら、どんな反応をするのか見てみたいものだ。
なんだかんだ言って、鈍感なだけで、南さんの話するときの新太って、恋してるな~って感じがして、羨ましくなる。
「ほら、そんな顔しないで、もう紹介終わったんだし、教室に戻るよ!」
「はーい!つとむくん、バイバイ!」
「は、はい!」
2人は教室に戻っていった。
南さんが休めたのかは不安だけど、楽しそうでなにより。
新太と2人で行く文化祭の日が勝負になりそう。
何の勝負かはわからないけど。
兎に角、アキラくんの役に立つ…いや親友の新太の恋を実らせるんだ。
クラスの準備が終わり、ここ最近は漫画研究部に一人、南さんたちが来ないか待っている。
アキラくんがもしかしたら、南さん衣装のデザイン修正のために漫研に資料を見に来るかもって言っていた。
誰も来ない暇な時間にヴァンパイアや魔界のキャラがもとになった作品を漁っていた。
僕は、アキラくんから過去のことについて分かったことをすべて聞いた。
人と関わるのが苦手な僕は、この世界はめんどくさいなと思っていたけど、話を聞いて、魔界もめんどくさそうな気がした。
魔界なんてまだまだ知らないことだらけなような気がする。
だから、ヴァンパイアや魔界のキャラがもとになった作品に何か手掛かりがあるかもしれないと思い、休みで開いてないはずの部室を開けてもらっている。
それよりも南さん家にいたあの猫が話せることが一番驚いた。
魔界から来た猫か…
その猫が人間に変身とかできたら面白そうだな。
…ん?あれは…
ドアの向こうから誰か中を覗いている。
「美稀!やっぱりつとむくんいるよ!」
「南さん?」
「よかった~つとむくんがいて」
そこには、南さんと美稀さんがいた。
どうやら、アキラくんの言っていた通り漫研にある資料などを見て、文化祭の衣装の修正をしたいらしい。
ほんとに来るとは驚いた。
文化祭の日、3組には、新太と行く予定だ。
これはアキラくんからの頼みの一つである。
新太一人だと絶対に行かないから、誘っておいてくれって…
まぁ、別に新太と回るのは苦じゃないけど、新太と僕の関係を知らない人からしてみたらなんて思うか…
新太と僕は、学校でも話すけど、やっぱりキャラが違いすぎる。
アキラくんとの組み合わせも変だ。
アキラくんの新太も「陽」で、僕は「陰」って感じ。
「ねぇ、見てみて!美稀!!」
「何?」
「ガイアーの本があるよ!」
「ほんとだ!」
ガイアー…?少し前にやっていた特撮ヒーロー作品の本だ。
「南さん、最近の作品なのによく知ってますね。」
「あ、うん…」
「葛城くん、南ってこう見えて特撮ヒーロー好きなんだよ!」
「ちょっ!勝手にばらさないでよ~」
「別にいいじゃん!自分だって、このジャンルに対しての偏見がないようにしたいって言ってたじゃん!」
「そうだけど…」
僕は驚いた。
南さんが特撮ヒーローが好きだってことに。
でも、それは偏見を持っての驚きではない。
僕も特撮ヒーローが好きだ。
この学校には、僕しか好きだという人はいないと思ってた。
だから、他にもいると知って、嬉しい気持ちでいっぱいだ。
同士ならもしかして…
「南さん、僕も特撮ヒーローが好きなんです。」
「え!ほんと!?」
「はい、世代より少し前のヒーローも見たりしてます。」
「じゃあ、私より詳しいね!」
「そうかもです…」
南さんすごく嬉しそう。
満面の笑みで僕の方を見ている。
改めて話すとすごく表情豊かだな。
「葛城くん聞いたら驚くよ~南ね、俳優さん目的で見始めたんだよ~」
「美稀!また余計な事…」
「いいじゃないですか。俳優目的でも、その後しっかりとハマってくれてるんですから。」
「つとむくん…」
失礼だったかな?
そんな気持ちもありつつ、僕は南さんがいい人だと分かって安心した。
世の中には、役者目的で見て、しっかりとハマらずその作品だけという人たちが多い。
これは、特撮ヒーローに限ったことではない。
僕はそんな人たちが嫌いだ。
南さんはそんな人たちとは違う…そう感じた。
「あのね、つとむくん!!私、実写版を俳優さん目的で見る人気嫌いするタイプなの」
「南さんも?」
「うん、だから私の場合は、俳優さん目的じゃなくて、俳優さんきっかけなの!」
「きっかけ?」
「元々、小さい頃は少女アニメよりもお兄ちゃんと特撮ヒーローを見る方が楽しかったから、ずっと見てなかった特撮ヒーローに好きな俳優さんが出てたって知って、再ハマり的な…」
「そうだったんですね」
昔好きだったか…
だいたい、皆「この歳で??」って言って、もう見なくなるんだけどな。
さっき、「偏見をないように」って言ってたけど、やっぱり年齢のことかな。
南さんのことだから、「女子だから」とか「俳優目的なんじゃ??」っていう問題も抱えてそう。
「本見つけたよ!教室に戻ろう!!」
「えーもっとここにいたい~!!」
「ダメ!!」
「え~」
この部室を気に入ってくれたみたいで、南さんはすごく帰りたくなさそうに駄々をこねている。
「またいつでも来てください。部員以外も大歓迎なので…」
「ほんと!?ありがとう!」
また満面の笑みを浮かべている。
こういう可愛らしいところが、新太の心を掴んだんだな。
ん?あれ?何か忘れている気が…
そうだ!アキラくんが「最近いろいろあったから、もし南ちゃんが来たら、休ませてあげて」って言っていた。
どうにかして、ここに残らせて、作業に向かわないようにしないと…
「最後に聞いてもいいですか?」
「いいよ?」
「南さんが好きな俳優さんって誰なんですか?」
「話聞く??」
やっぱり、話に食いついてきた。
目がさっきよりもキラキラしている。
「話し出したらキリないじゃん!帰るよ!」
美稀さんは、南さんの腕を引っ張って行こうとしている。
「ヤダ!!少しだけだからお願い!!」
「少しだけならいいじゃないですか。たまには、休みも大事です!」
「葛城くんまで…なら分かった。少しだけだからね」
「やったー!!」
南さんは喜び、ここにある本棚に向かった。
ここにありそうって思うってことは、最近の作品に出てた人か。
まず、特撮ヒーローにハマるきっかけとなった人について話してくれた。
ハマった後、その俳優さんよりも「推し」という存在になった俳優さんがいるらしい。
「私が今一番好きなのは、この来海翼くん!!可愛いもかっこいいも兼ね備えていて、演技も上手で、最高なんだ~」
「あ~この人ですか。結構やっている役のキャラ好きですし、僕もこの人の演技は好きです。ですが、ちょっと新太と傾向が違いますね。」
「新太くん??もしかして、私が新太くんのこと好きだって知ってるの!?」
しまった。僕が南さんの気持ち知ってるってこと、南さんは知らなかったんだった。
「そんなの分かるに決まってるでしょ!!アキラにもすぐバレたんだから!!」
美稀さんにそう言われ、ほっぺをぷくーっとさせる南さん。
あぁ、新太がこの姿もそうだけど今日の美波さんの姿を見たら、どんな反応をするのか見てみたいものだ。
なんだかんだ言って、鈍感なだけで、南さんの話するときの新太って、恋してるな~って感じがして、羨ましくなる。
「ほら、そんな顔しないで、もう紹介終わったんだし、教室に戻るよ!」
「はーい!つとむくん、バイバイ!」
「は、はい!」
2人は教室に戻っていった。
南さんが休めたのかは不安だけど、楽しそうでなにより。
新太と2人で行く文化祭の日が勝負になりそう。
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