23 / 34
君がいる今 21話
しおりを挟む
―つとむー
クラスの準備が終わり、ここ最近は漫画研究部に一人、南さんたちが来ないか待っている。
アキラくんがもしかしたら、南さん衣装のデザイン修正のために漫研に資料を見に来るかもって言っていた。
誰も来ない暇な時間にヴァンパイアや魔界のキャラがもとになった作品を漁っていた。
僕は、アキラくんから過去のことについて分かったことをすべて聞いた。
人と関わるのが苦手な僕は、この世界はめんどくさいなと思っていたけど、話を聞いて、魔界もめんどくさそうな気がした。
魔界なんてまだまだ知らないことだらけなような気がする。
だから、ヴァンパイアや魔界のキャラがもとになった作品に何か手掛かりがあるかもしれないと思い、休みで開いてないはずの部室を開けてもらっている。
それよりも南さん家にいたあの猫が話せることが一番驚いた。
魔界から来た猫か…
その猫が人間に変身とかできたら面白そうだな。
…ん?あれは…
ドアの向こうから誰か中を覗いている。
「美稀!やっぱりつとむくんいるよ!」
「南さん?」
「よかった~つとむくんがいて」
そこには、南さんと美稀さんがいた。
どうやら、アキラくんの言っていた通り漫研にある資料などを見て、文化祭の衣装の修正をしたいらしい。
ほんとに来るとは驚いた。
文化祭の日、3組には、新太と行く予定だ。
これはアキラくんからの頼みの一つである。
新太一人だと絶対に行かないから、誘っておいてくれって…
まぁ、別に新太と回るのは苦じゃないけど、新太と僕の関係を知らない人からしてみたらなんて思うか…
新太と僕は、学校でも話すけど、やっぱりキャラが違いすぎる。
アキラくんとの組み合わせも変だ。
アキラくんの新太も「陽」で、僕は「陰」って感じ。
「ねぇ、見てみて!美稀!!」
「何?」
「ガイアーの本があるよ!」
「ほんとだ!」
ガイアー…?少し前にやっていた特撮ヒーロー作品の本だ。
「南さん、最近の作品なのによく知ってますね。」
「あ、うん…」
「葛城くん、南ってこう見えて特撮ヒーロー好きなんだよ!」
「ちょっ!勝手にばらさないでよ~」
「別にいいじゃん!自分だって、このジャンルに対しての偏見がないようにしたいって言ってたじゃん!」
「そうだけど…」
僕は驚いた。
南さんが特撮ヒーローが好きだってことに。
でも、それは偏見を持っての驚きではない。
僕も特撮ヒーローが好きだ。
この学校には、僕しか好きだという人はいないと思ってた。
だから、他にもいると知って、嬉しい気持ちでいっぱいだ。
同士ならもしかして…
「南さん、僕も特撮ヒーローが好きなんです。」
「え!ほんと!?」
「はい、世代より少し前のヒーローも見たりしてます。」
「じゃあ、私より詳しいね!」
「そうかもです…」
南さんすごく嬉しそう。
満面の笑みで僕の方を見ている。
改めて話すとすごく表情豊かだな。
「葛城くん聞いたら驚くよ~南ね、俳優さん目的で見始めたんだよ~」
「美稀!また余計な事…」
「いいじゃないですか。俳優目的でも、その後しっかりとハマってくれてるんですから。」
「つとむくん…」
失礼だったかな?
そんな気持ちもありつつ、僕は南さんがいい人だと分かって安心した。
世の中には、役者目的で見て、しっかりとハマらずその作品だけという人たちが多い。
これは、特撮ヒーローに限ったことではない。
僕はそんな人たちが嫌いだ。
南さんはそんな人たちとは違う…そう感じた。
「あのね、つとむくん!!私、実写版を俳優さん目的で見る人気嫌いするタイプなの」
「南さんも?」
「うん、だから私の場合は、俳優さん目的じゃなくて、俳優さんきっかけなの!」
「きっかけ?」
「元々、小さい頃は少女アニメよりもお兄ちゃんと特撮ヒーローを見る方が楽しかったから、ずっと見てなかった特撮ヒーローに好きな俳優さんが出てたって知って、再ハマり的な…」
「そうだったんですね」
昔好きだったか…
だいたい、皆「この歳で??」って言って、もう見なくなるんだけどな。
さっき、「偏見をないように」って言ってたけど、やっぱり年齢のことかな。
南さんのことだから、「女子だから」とか「俳優目的なんじゃ??」っていう問題も抱えてそう。
「本見つけたよ!教室に戻ろう!!」
「えーもっとここにいたい~!!」
「ダメ!!」
「え~」
この部室を気に入ってくれたみたいで、南さんはすごく帰りたくなさそうに駄々をこねている。
「またいつでも来てください。部員以外も大歓迎なので…」
「ほんと!?ありがとう!」
また満面の笑みを浮かべている。
こういう可愛らしいところが、新太の心を掴んだんだな。
ん?あれ?何か忘れている気が…
そうだ!アキラくんが「最近いろいろあったから、もし南ちゃんが来たら、休ませてあげて」って言っていた。
どうにかして、ここに残らせて、作業に向かわないようにしないと…
「最後に聞いてもいいですか?」
「いいよ?」
「南さんが好きな俳優さんって誰なんですか?」
「話聞く??」
やっぱり、話に食いついてきた。
目がさっきよりもキラキラしている。
「話し出したらキリないじゃん!帰るよ!」
美稀さんは、南さんの腕を引っ張って行こうとしている。
「ヤダ!!少しだけだからお願い!!」
「少しだけならいいじゃないですか。たまには、休みも大事です!」
「葛城くんまで…なら分かった。少しだけだからね」
「やったー!!」
南さんは喜び、ここにある本棚に向かった。
ここにありそうって思うってことは、最近の作品に出てた人か。
まず、特撮ヒーローにハマるきっかけとなった人について話してくれた。
ハマった後、その俳優さんよりも「推し」という存在になった俳優さんがいるらしい。
「私が今一番好きなのは、この来海翼くん!!可愛いもかっこいいも兼ね備えていて、演技も上手で、最高なんだ~」
「あ~この人ですか。結構やっている役のキャラ好きですし、僕もこの人の演技は好きです。ですが、ちょっと新太と傾向が違いますね。」
「新太くん??もしかして、私が新太くんのこと好きだって知ってるの!?」
しまった。僕が南さんの気持ち知ってるってこと、南さんは知らなかったんだった。
「そんなの分かるに決まってるでしょ!!アキラにもすぐバレたんだから!!」
美稀さんにそう言われ、ほっぺをぷくーっとさせる南さん。
あぁ、新太がこの姿もそうだけど今日の美波さんの姿を見たら、どんな反応をするのか見てみたいものだ。
なんだかんだ言って、鈍感なだけで、南さんの話するときの新太って、恋してるな~って感じがして、羨ましくなる。
「ほら、そんな顔しないで、もう紹介終わったんだし、教室に戻るよ!」
「はーい!つとむくん、バイバイ!」
「は、はい!」
2人は教室に戻っていった。
南さんが休めたのかは不安だけど、楽しそうでなにより。
新太と2人で行く文化祭の日が勝負になりそう。
何の勝負かはわからないけど。
兎に角、アキラくんの役に立つ…いや親友の新太の恋を実らせるんだ。
クラスの準備が終わり、ここ最近は漫画研究部に一人、南さんたちが来ないか待っている。
アキラくんがもしかしたら、南さん衣装のデザイン修正のために漫研に資料を見に来るかもって言っていた。
誰も来ない暇な時間にヴァンパイアや魔界のキャラがもとになった作品を漁っていた。
僕は、アキラくんから過去のことについて分かったことをすべて聞いた。
人と関わるのが苦手な僕は、この世界はめんどくさいなと思っていたけど、話を聞いて、魔界もめんどくさそうな気がした。
魔界なんてまだまだ知らないことだらけなような気がする。
だから、ヴァンパイアや魔界のキャラがもとになった作品に何か手掛かりがあるかもしれないと思い、休みで開いてないはずの部室を開けてもらっている。
それよりも南さん家にいたあの猫が話せることが一番驚いた。
魔界から来た猫か…
その猫が人間に変身とかできたら面白そうだな。
…ん?あれは…
ドアの向こうから誰か中を覗いている。
「美稀!やっぱりつとむくんいるよ!」
「南さん?」
「よかった~つとむくんがいて」
そこには、南さんと美稀さんがいた。
どうやら、アキラくんの言っていた通り漫研にある資料などを見て、文化祭の衣装の修正をしたいらしい。
ほんとに来るとは驚いた。
文化祭の日、3組には、新太と行く予定だ。
これはアキラくんからの頼みの一つである。
新太一人だと絶対に行かないから、誘っておいてくれって…
まぁ、別に新太と回るのは苦じゃないけど、新太と僕の関係を知らない人からしてみたらなんて思うか…
新太と僕は、学校でも話すけど、やっぱりキャラが違いすぎる。
アキラくんとの組み合わせも変だ。
アキラくんの新太も「陽」で、僕は「陰」って感じ。
「ねぇ、見てみて!美稀!!」
「何?」
「ガイアーの本があるよ!」
「ほんとだ!」
ガイアー…?少し前にやっていた特撮ヒーロー作品の本だ。
「南さん、最近の作品なのによく知ってますね。」
「あ、うん…」
「葛城くん、南ってこう見えて特撮ヒーロー好きなんだよ!」
「ちょっ!勝手にばらさないでよ~」
「別にいいじゃん!自分だって、このジャンルに対しての偏見がないようにしたいって言ってたじゃん!」
「そうだけど…」
僕は驚いた。
南さんが特撮ヒーローが好きだってことに。
でも、それは偏見を持っての驚きではない。
僕も特撮ヒーローが好きだ。
この学校には、僕しか好きだという人はいないと思ってた。
だから、他にもいると知って、嬉しい気持ちでいっぱいだ。
同士ならもしかして…
「南さん、僕も特撮ヒーローが好きなんです。」
「え!ほんと!?」
「はい、世代より少し前のヒーローも見たりしてます。」
「じゃあ、私より詳しいね!」
「そうかもです…」
南さんすごく嬉しそう。
満面の笑みで僕の方を見ている。
改めて話すとすごく表情豊かだな。
「葛城くん聞いたら驚くよ~南ね、俳優さん目的で見始めたんだよ~」
「美稀!また余計な事…」
「いいじゃないですか。俳優目的でも、その後しっかりとハマってくれてるんですから。」
「つとむくん…」
失礼だったかな?
そんな気持ちもありつつ、僕は南さんがいい人だと分かって安心した。
世の中には、役者目的で見て、しっかりとハマらずその作品だけという人たちが多い。
これは、特撮ヒーローに限ったことではない。
僕はそんな人たちが嫌いだ。
南さんはそんな人たちとは違う…そう感じた。
「あのね、つとむくん!!私、実写版を俳優さん目的で見る人気嫌いするタイプなの」
「南さんも?」
「うん、だから私の場合は、俳優さん目的じゃなくて、俳優さんきっかけなの!」
「きっかけ?」
「元々、小さい頃は少女アニメよりもお兄ちゃんと特撮ヒーローを見る方が楽しかったから、ずっと見てなかった特撮ヒーローに好きな俳優さんが出てたって知って、再ハマり的な…」
「そうだったんですね」
昔好きだったか…
だいたい、皆「この歳で??」って言って、もう見なくなるんだけどな。
さっき、「偏見をないように」って言ってたけど、やっぱり年齢のことかな。
南さんのことだから、「女子だから」とか「俳優目的なんじゃ??」っていう問題も抱えてそう。
「本見つけたよ!教室に戻ろう!!」
「えーもっとここにいたい~!!」
「ダメ!!」
「え~」
この部室を気に入ってくれたみたいで、南さんはすごく帰りたくなさそうに駄々をこねている。
「またいつでも来てください。部員以外も大歓迎なので…」
「ほんと!?ありがとう!」
また満面の笑みを浮かべている。
こういう可愛らしいところが、新太の心を掴んだんだな。
ん?あれ?何か忘れている気が…
そうだ!アキラくんが「最近いろいろあったから、もし南ちゃんが来たら、休ませてあげて」って言っていた。
どうにかして、ここに残らせて、作業に向かわないようにしないと…
「最後に聞いてもいいですか?」
「いいよ?」
「南さんが好きな俳優さんって誰なんですか?」
「話聞く??」
やっぱり、話に食いついてきた。
目がさっきよりもキラキラしている。
「話し出したらキリないじゃん!帰るよ!」
美稀さんは、南さんの腕を引っ張って行こうとしている。
「ヤダ!!少しだけだからお願い!!」
「少しだけならいいじゃないですか。たまには、休みも大事です!」
「葛城くんまで…なら分かった。少しだけだからね」
「やったー!!」
南さんは喜び、ここにある本棚に向かった。
ここにありそうって思うってことは、最近の作品に出てた人か。
まず、特撮ヒーローにハマるきっかけとなった人について話してくれた。
ハマった後、その俳優さんよりも「推し」という存在になった俳優さんがいるらしい。
「私が今一番好きなのは、この来海翼くん!!可愛いもかっこいいも兼ね備えていて、演技も上手で、最高なんだ~」
「あ~この人ですか。結構やっている役のキャラ好きですし、僕もこの人の演技は好きです。ですが、ちょっと新太と傾向が違いますね。」
「新太くん??もしかして、私が新太くんのこと好きだって知ってるの!?」
しまった。僕が南さんの気持ち知ってるってこと、南さんは知らなかったんだった。
「そんなの分かるに決まってるでしょ!!アキラにもすぐバレたんだから!!」
美稀さんにそう言われ、ほっぺをぷくーっとさせる南さん。
あぁ、新太がこの姿もそうだけど今日の美波さんの姿を見たら、どんな反応をするのか見てみたいものだ。
なんだかんだ言って、鈍感なだけで、南さんの話するときの新太って、恋してるな~って感じがして、羨ましくなる。
「ほら、そんな顔しないで、もう紹介終わったんだし、教室に戻るよ!」
「はーい!つとむくん、バイバイ!」
「は、はい!」
2人は教室に戻っていった。
南さんが休めたのかは不安だけど、楽しそうでなにより。
新太と2人で行く文化祭の日が勝負になりそう。
何の勝負かはわからないけど。
兎に角、アキラくんの役に立つ…いや親友の新太の恋を実らせるんだ。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる