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君がいる今 20話
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―アキラー
まさか、おばあちゃんと南ちゃんのお母さん、そしてあの猫が繋がっていたなんて…
しかも、おばあちゃんには
「お前のせいでかずよがぁぁ!!」
って未来がわかっていたなんて…
でもこれでおばあちゃんが殺された年、毎回最後かのように別れを告げていた事のつじつまが合う。
悪魔は、生まれつき何かしらの能力を持っている。俺は、持っていた能力をおじいちゃんの魔力によって取られた。
俺の考えが正しければ、おばあちゃんは予知能力を持っていたんだろう。
「大丈夫?はいこれ、どっちにする?」
聖菜さんたちの話を聞いた後、みんなに少しだけ一人にしてくれと言っておいた。
聖菜さんと一緒に病院内に行ったはずの南ちゃんは、オレンジジュースとリンゴジュースを持ってベンチに戻ってきた。
「じゃあ、オレンジジュース」
「はい!」
「ありがとう。聖菜さんは?」
「車がこっちにあるから、様子見てからみかんと帰るって。遅くなりそうだから、二人で先に帰っててって言われた。」
「そっか。なら、飛んで帰る?」
「やだよ、それなら一人で帰る!」
南ちゃんは、顔を膨らませてそう言った。
「そうなるよねー」
結局、二人バスで帰ることにした。
結構な時間だから、俺的に女の子をこんな時間に一人で帰らせたくない。
それに、そんなことしたら、みなとさんに怒られそうだし。
でも、この理由は、自分への言い訳なんだと思う。
まだ気持ちはハッキリしないけど、なんとなくそんな気がする。
バスの中、南ちゃんと二人隣同士…
いつもなら、チャラ男全開なキャラで女子と話せるけど、さすがに今の俺には無理だ。
こんなこと考えたら、あの世にいるおばあちゃんに叱られそうだけど、未来を予知できてたのに、あんな未来が来たのは、やっぱり俺のせいだ。
俺が、生まれなければ、俺がおばあちゃんっ子にならなければ…
「トマトジュースのほうがよかった?」
「えっ?」
「ずっとオレンジジュースの缶を持った手を見てるから。あ、それとも缶捨てる場所見つからなかったから、気にしてる?」
「ごめん、さっきのこと考えてただけ。オレンジジュース好きだから、全然気にしなくていいよ」
「そう?」
「うん」
「ならいいけど」
なんか、この空気を変えないとなと思う。
こんなことで南ちゃんに心配かけたくない。
けど…
「あっ!そういえば、手紙は読んだの?」
「まだ読んでないけど…」
「じゃあ、一緒に読もうよ!」
もしかして、気を遣わせてしまった?
「今、アキラくん気を遣わせてしまったとか思ったでしょ!!」
「なんでそれを…」
「えーまさか当たってたのー?ほんとアキラくんって悪魔っぽくもヴァンパイアっぽくもないよねもっともっとイジワルで、性格が悪いのかと思ってた!」
「何その偏見!」
「あはは。ただのイメージだよ~言っとくけど、別に気を遣ってるとかじゃなくて、いつものお礼だからね!!アキラくんみたいなチャラ男、どんな優しい心の持ち主でもお断り!!もしも、新太くんと一緒になれたら、もうアキラくんとは必要最低限話さないから!」
「いいよー別に!」
「じゃあ、約束ね!」
「うん、約束」
新太と一緒になれたら…か。
新太に南ちゃんへの気持ちがあることは分かってる。
だから、簡単そうだけど、一人は、自分に自信がなく、もう一人はまだ自分の気持ちに気づいていない。
南ちゃんが新太に告白するのも、新太が南ちゃんに告白するのもどちらも同じくらい難しい。
新太の親友のつとむを今まで以上に頼るしかない。
俺たちはいつもの公園で手紙を読むことにした。
南ちゃんが手紙に悲しいことが書いてあったら読めなくなるからって、俺の代わりに読んでくれるそうだ。
南ちゃんみたいにそこまで考えすぎるタイプじゃないのになぁ。
「読むよ、いい?」
「うん」
「アキラへ。
この手紙が読まれているってことは、聖菜の娘の片思い相手がアキラに似ているんだね。
勇さんの魔力に負けずにしっかりと生き続けるんだよ。
くれぐれもあの事を忘れないように。
おばあちゃんより」
「意外と短かったね。最後の「あの事」って何だろう?」
「さぁ。心当たりないな…」
「そっか…なんかすっきりしないね」
南ちゃんの返事で突然何かのスイッチがオンになった。
「別に子ウサギちゃんは、すっきりしなくてもいいでしょ」
「なっ!子ウサギって何よ!!」
「ほら、文化祭のやつ南ちゃんウサギでしょ?で、南ちゃん小さいから、子ウサギちゃん!!おっ!俺センスいい~今度から女子みんな子猫ちゃんって呼ぶのやめて、その子に合わせた名前言おうかな~」
俺が悪ふざけで言ったら、少し離れているところにいる南ちゃんが近づいてきた。
「あーそうですね!!アキラくんはセンスがよろしいことで!!でも、小さいは余計です~!!もう帰る!!」
「一人で?送っていくよ!」
「知っての通り近くだからいい!!」
言いたいことを言った南ちゃんは帰っていった。
ところが突然、公園の入り口まで行ったところで立ち止まって、こっちを振り返った。
「いつもの調子に戻ってよかったね!!じゃーね!」
「ありがとう」と返す間もなく走っていった。
少しでも本調子に戻れたのは、南ちゃんのおかげだから、礼を言いたかったな。
本当は手紙にあった「あの事」に心当たりがある。
俺が南ちゃんを好きになっていけないということだろう。
しっかり覚えているさ。
南ちゃんのことを好きになってしまったら、恋を実らせても意味がない。
だから、いつものように振る舞った。
だから、絶対に好きになってはいけない。
それだけは絶対に…
まさか、おばあちゃんと南ちゃんのお母さん、そしてあの猫が繋がっていたなんて…
しかも、おばあちゃんには
「お前のせいでかずよがぁぁ!!」
って未来がわかっていたなんて…
でもこれでおばあちゃんが殺された年、毎回最後かのように別れを告げていた事のつじつまが合う。
悪魔は、生まれつき何かしらの能力を持っている。俺は、持っていた能力をおじいちゃんの魔力によって取られた。
俺の考えが正しければ、おばあちゃんは予知能力を持っていたんだろう。
「大丈夫?はいこれ、どっちにする?」
聖菜さんたちの話を聞いた後、みんなに少しだけ一人にしてくれと言っておいた。
聖菜さんと一緒に病院内に行ったはずの南ちゃんは、オレンジジュースとリンゴジュースを持ってベンチに戻ってきた。
「じゃあ、オレンジジュース」
「はい!」
「ありがとう。聖菜さんは?」
「車がこっちにあるから、様子見てからみかんと帰るって。遅くなりそうだから、二人で先に帰っててって言われた。」
「そっか。なら、飛んで帰る?」
「やだよ、それなら一人で帰る!」
南ちゃんは、顔を膨らませてそう言った。
「そうなるよねー」
結局、二人バスで帰ることにした。
結構な時間だから、俺的に女の子をこんな時間に一人で帰らせたくない。
それに、そんなことしたら、みなとさんに怒られそうだし。
でも、この理由は、自分への言い訳なんだと思う。
まだ気持ちはハッキリしないけど、なんとなくそんな気がする。
バスの中、南ちゃんと二人隣同士…
いつもなら、チャラ男全開なキャラで女子と話せるけど、さすがに今の俺には無理だ。
こんなこと考えたら、あの世にいるおばあちゃんに叱られそうだけど、未来を予知できてたのに、あんな未来が来たのは、やっぱり俺のせいだ。
俺が、生まれなければ、俺がおばあちゃんっ子にならなければ…
「トマトジュースのほうがよかった?」
「えっ?」
「ずっとオレンジジュースの缶を持った手を見てるから。あ、それとも缶捨てる場所見つからなかったから、気にしてる?」
「ごめん、さっきのこと考えてただけ。オレンジジュース好きだから、全然気にしなくていいよ」
「そう?」
「うん」
「ならいいけど」
なんか、この空気を変えないとなと思う。
こんなことで南ちゃんに心配かけたくない。
けど…
「あっ!そういえば、手紙は読んだの?」
「まだ読んでないけど…」
「じゃあ、一緒に読もうよ!」
もしかして、気を遣わせてしまった?
「今、アキラくん気を遣わせてしまったとか思ったでしょ!!」
「なんでそれを…」
「えーまさか当たってたのー?ほんとアキラくんって悪魔っぽくもヴァンパイアっぽくもないよねもっともっとイジワルで、性格が悪いのかと思ってた!」
「何その偏見!」
「あはは。ただのイメージだよ~言っとくけど、別に気を遣ってるとかじゃなくて、いつものお礼だからね!!アキラくんみたいなチャラ男、どんな優しい心の持ち主でもお断り!!もしも、新太くんと一緒になれたら、もうアキラくんとは必要最低限話さないから!」
「いいよー別に!」
「じゃあ、約束ね!」
「うん、約束」
新太と一緒になれたら…か。
新太に南ちゃんへの気持ちがあることは分かってる。
だから、簡単そうだけど、一人は、自分に自信がなく、もう一人はまだ自分の気持ちに気づいていない。
南ちゃんが新太に告白するのも、新太が南ちゃんに告白するのもどちらも同じくらい難しい。
新太の親友のつとむを今まで以上に頼るしかない。
俺たちはいつもの公園で手紙を読むことにした。
南ちゃんが手紙に悲しいことが書いてあったら読めなくなるからって、俺の代わりに読んでくれるそうだ。
南ちゃんみたいにそこまで考えすぎるタイプじゃないのになぁ。
「読むよ、いい?」
「うん」
「アキラへ。
この手紙が読まれているってことは、聖菜の娘の片思い相手がアキラに似ているんだね。
勇さんの魔力に負けずにしっかりと生き続けるんだよ。
くれぐれもあの事を忘れないように。
おばあちゃんより」
「意外と短かったね。最後の「あの事」って何だろう?」
「さぁ。心当たりないな…」
「そっか…なんかすっきりしないね」
南ちゃんの返事で突然何かのスイッチがオンになった。
「別に子ウサギちゃんは、すっきりしなくてもいいでしょ」
「なっ!子ウサギって何よ!!」
「ほら、文化祭のやつ南ちゃんウサギでしょ?で、南ちゃん小さいから、子ウサギちゃん!!おっ!俺センスいい~今度から女子みんな子猫ちゃんって呼ぶのやめて、その子に合わせた名前言おうかな~」
俺が悪ふざけで言ったら、少し離れているところにいる南ちゃんが近づいてきた。
「あーそうですね!!アキラくんはセンスがよろしいことで!!でも、小さいは余計です~!!もう帰る!!」
「一人で?送っていくよ!」
「知っての通り近くだからいい!!」
言いたいことを言った南ちゃんは帰っていった。
ところが突然、公園の入り口まで行ったところで立ち止まって、こっちを振り返った。
「いつもの調子に戻ってよかったね!!じゃーね!」
「ありがとう」と返す間もなく走っていった。
少しでも本調子に戻れたのは、南ちゃんのおかげだから、礼を言いたかったな。
本当は手紙にあった「あの事」に心当たりがある。
俺が南ちゃんを好きになっていけないということだろう。
しっかり覚えているさ。
南ちゃんのことを好きになってしまったら、恋を実らせても意味がない。
だから、いつものように振る舞った。
だから、絶対に好きになってはいけない。
それだけは絶対に…
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