星に溺れるカーテンコール 〜これは愛か執着か? 今宵もきみに溺れる~

うまうま

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『6.星屑スキャンダル』

突然の黒歴史

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楽屋の机に置かれた、
差出人不明の一通の封筒。

宛名は俺、ルシファー。 

開けた瞬間、心臓が止まった――
 
目隠しされた金髪の男の、
あられもない写真が――
そこにあった。

赤い縄で縛りあげられた姿、
いかつい突起が付いた玩具や、
たまが連なった玩具でなぶられる姿。

そして……玩具で体内を
弱い電撃でいたぶられる姿――

「なんで、こんな……」  

喉が締め付けられる。
顔が熱くなったかと思えば、
一気に冷えた。

送り主は考えるまでもない。

過去、プレッシャーに負けて、
気の迷いで一度だけ
ついて行ったあの男――

"ハンター"だ。

一服盛られて撮られた、屈辱的なこの姿――

「なんで、今さら……」  

掠れた声が漏れる。
気持ち悪い、吐き気がする。
全身がざわざわして、
呼吸がうまくできない。 

そのとき楽屋の扉が、
ノックもなしに開いた。  

「ルシファー、ここにいたのか?」  

艷やかなウェーブ髪をなびかせた
シリウスだった。  

とっさに俺は写真を握りしめ、
後ろに隠す。  

「……ああ。どうしたんだよ」  

精一杯、
平静を装った声を出す。
逆に不自然だったのか、
シリウスはいぶかしげに瞬いた。  

「どうしたはお前だ……お前、真っ青だぞ」  

一歩近づいてくる。
その気遣うような視線に、
俺はさらに居心地が悪くなる。  

「⋯⋯だい、じょうぶ⋯⋯少し、具合が悪いだけ」  

そう絞り出すと、
シリウスは額に手を当てようとしてきた。 

俺が慌てて顔をそむけると
彼はふと考え込むように
眉間にしわを寄せた。  

「⋯⋯すまん、ルシ!」  

いきなり深刻そうな声を出され、 俺は息を呑む。  



「さっきもシャワー室で、お前が可愛すぎてつい激しくしてしまった。それのせいだろう?」  

――は?  
思わず写真を持ったまま、
手が止まる。  

「お前に無理させたんじゃないかと思ったが、まさか体調を崩させるほどだったとは……」  

シリウスの、
申し訳なさそうな顔を見て
俺は呆れるやら笑うやらで、
返事に詰まった。

いや、確かに、
さっきのシャワー室では……
まあ、その……激しかったけど。  

「ち、違うって」  

そう言うのがやっとだった。
何がどう違うのか
説明する余裕はない。  

シリウスは俺の顔を
じっと見つめてくる。
その目に少しでも
動揺を見抜かれたら終わりだ。

とにかく写真を隠し通さないと――

「じゃあどうしたんだ。何かあったのか?」  

優しい声が、
胸に突き刺さる。
俺はぎこちなく首を振りながら、
写真をさらに強く握りしめた。  

「だ、大丈夫だって言ってるだろ。心配性だな、シリウスは」  
「お前を心配するのは当たり前だ」  

シリウスは
小さくため息をついて、
俺の肩にそっと手を置いた。

その手のあたたかさが、
俺の罪悪感を煽る。  

「俺の家で待ってろ。残りの作業を片付けたらすぐ帰る」  

俺はさらに
胸が締め付けられた。

ひたむきな優しさが
俺へ向かえば向かうほど、
あの写真が、冷たい刃の如く
胸の中に膨れ上がる。  

けど、絶対に言えない。
写真のことも、
ハンターのことも。  

「……ありがとう。けど、今夜は自分の家で寝るよ」  

無理やり笑顔を作って返すと、 シリウスは
何か言いたげながらも
納得してくへれた。  

「わかった。⋯⋯いいか、無理しないで早めに休めよ。俺はもう少し残って作業するから」  

そう言って、
シリウスは楽屋を後にした。  

扉が閉まった瞬間、
俺は握りしめていた写真を
ゆっくりと見下ろした。

そして、
込み上げる感情に耐えきれず、
その写真を破り捨てた。  

――けど、終わりじゃない。
あの男は送りつけてくるだけで、
済むはずがない。  

俺は机に崩れるように 
座り込み、頭を抱えた。

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