うちの店長レイプ犯!?

貝鳴みづす

文字の大きさ
上 下
39 / 78
第三章『新と結衣』

第二十話「十年の恋」

しおりを挟む
 それから僕は、人が変わったように勉強した。
 父の言葉に歯向かうことなく、敷かれたレールを走ってみせた。
 それが一番結衣を幸せにできる方法だと思ったから。
 
 大学を卒業し、父の会社で働く頃には、一人の人間として認められていた。
 仕事に追われる日々、たまにある長期休暇で、結衣に会いに行くこともできなくはない。
 父にもそれくらい許されるほど、信頼を得ていた。
 ――でも。はやる気持ちを抑え、僕は我慢した。
 ちゃんと迎えに行けるまでは。
 胸を張って結衣を抱きしめれるようになるまでは。
 そう思いながら、毎日をこなしていた。

 二十五歳になった年。
 父の経営する会社はいくつもあるが、そのうちの一つを任された。
 父の助けもなく、自分一人でやっていくのだ。
 文字通り、自立したと言っていいだろう。
 長い時間をかけてここまで来た、僕はやっと、結衣に会いに行こうと決意した。

 結衣の居場所は市松に調べさせた。
 社会に出てから、ずっと僕を支えてくれた彼女だ、細かい事は聞かず、すぐ調べてくれた。

 市松が持ってきた情報によると、彼女は高校を卒業してから、上京してきていることがわかった。
 まさか、こんなに近くにいたなんて。
 手の届く場所にいた彼女に、思わず胸が躍る。

 勤務先であるという会社の近くに行くと、結衣はすぐに見つかった。僕が二十五歳だから、彼女は二十歳といった所だろうか。
 大人になっても、子供みたいに小さな彼女は、庇護欲を掻き立てられるような可愛さだった。

 今すぐにでも声をかけたかったが、それは止めておいた。
 結衣にはこのとき、付き合っている男がいたのだ。
 ――はっきり言って、この展開は予想していた。
 結婚の約束をしたとき、彼女は小学生だった。
 十年も前の約束なんて、はっきりと覚えている訳もない。僕と違い、彼女にとっては些細な記憶なのだから。
 見知らぬ男に向け、笑みを浮かべる彼女を見てそう思った。

「新様。相手の男を始末するなら、ご命令下さい」
 市松はなんの躊躇ためらいもなく、そう言った。
 僕は笑みを作ってから、首を横に振った。
「いつも言っているけど、そうやってすぐ暴力に訴えるのはやめようね」
 彼女はいつも、僕の為ならなんでもすると言ってのける。本当になんでもするので、僕としては結構、いやかなり困っているのだが。
「僕は……結衣が幸せならそれでいいから」
「私がよくないのです。大体、新様の方が、彼女を幸せに出来ると思うのですが」
 全く納得のいっていない市松が、帰りの道中ずっと文句を言っていた。

 とにかく、こうして僕の十年に及ぶ恋は終わりを迎えたのだ。
 ――と、思っていたのだが。
 三年後。
 残暑を迎え、夏が終わろうかという時期だった。
 市松と仕事の話をしながら、取引先の会社まで向かっていた。

 少し蒸し暑さが残る夜、大きな橋の前を通りかかったとき。
「新様」
 珍しく、動揺した市松が声を出した。
 彼女が見ていた方に振り向くと、そこには結衣がいた。

 なにか思いつめているような。この世の終わりのような。
 そんな表情で、橋の上から水面を覗いていた。
 と思った瞬間、彼女の姿が消える。
「え?」
 もしかして、飛び降りた……?
 さっきまで結衣がいた空間を見て、最悪の展開を想像する。
 なんだか現実感がなく、一瞬時が止まったような気がした。

 我に返り、急いで橋の方へ向かう。
「結衣!」
「新様、私が行きます」
 市松はそう言うや否や、欄干を軽々と飛び越え、そのまま川へ飛び降りていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

性欲の強すぎるヤクザに捕まった話

古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。 どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。 「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」 「たまには惣菜パンも悪くねぇ」 ……嘘でしょ。 2019/11/4 33話+2話で本編完結 2021/1/15 書籍出版されました 2021/1/22 続き頑張ります 半分くらいR18な話なので予告はしません。 強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。 誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。 当然の事ながら、この話はフィクションです。

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

完結【R―18】様々な情事 短編集

秋刀魚妹子
恋愛
 本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。  タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。  好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。  基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。  同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。  ※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。  ※ 更新は不定期です。  それでは、楽しんで頂けたら幸いです。

ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~

taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。 お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥ えっちめシーンの話には♥マークを付けています。 ミックスド★バスの第5弾です。

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

処理中です...