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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます

13:訪問者

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 イデアルを連れて食堂を出ていったシュロムを見送り、僕はアグノスとティグレを連れて談話室へと向かう。

 談話室に入ると、シュロムと何を話すかと相談している二人の姿が微笑ましい。

 その姿を見ていると昨日の昼の事は夢だったのではないかと思ってしまうほどだった。

「ティグレ、アグノス。待たせたな」

 しばらく談話室で過ごしていると、シュロムが一人で戻ってきた。おそらく、イデアルは自室で自身の婚約について考えているのかもしれない。

「父上!」
「父上ー!」

 シュロムの登場に絨毯に座っていた二人が立ち上がって駆けていく。

 シュロムの両手を二人で一つづつ掴みながら、シュロムを見上げる姿は、どちらも父親と子供のように見えた。

「ディロス。少し庭を散策してくる」
「ディロス! 行ってくるな!」
「父様! 行ってきます!」
「いってらっしゃい」

 庭で過ごすと決めた三人を見送り、少し体から力を抜く。

 一応ね。子供の前だからどんな時でも気が張ってるんだよね。

 王族でもあるからだらしのない姿見せられないし……。

 シュロムの前では、ずいぶん不甲斐ない姿とか見せちゃってるけどね。

 一人だけの空間にちょっとだけリラックスしていたら、談話室の扉が叩かれた。

 あ、もう戻ってきたのかな?

 戻ってくるには早いと思いながらも姿勢を正していれば、外から聞こえてきたのはイデアルの声だった。

「ディロス様、少しよろしいですか?」
「イデアル? いいよ。おいで」

 さっきの今でここにくるとは思わず少し驚きながらもモリーに扉を開けるよう頼めば、イデアルが静かに入ってきて長椅子に座る僕の隣へと腰かけた。

 ……珍しい。いつもは、アグノスとティグレに譲って隣には座ってこない事の方が多いのに。

「どうしたの?」
「その……父上から、婚約者の話を聞きまして……ディロス様も同席のうえ、茶会をすると……。……お聞きでしたか?」

 ぽつぽつと話す言葉はやはりイデアル自身の婚約の事だった。
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