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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます
12:いつもとはちょっと違う朝食終わり
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朝一の団欒を過ごしたら、みんなで朝食に向かう。
家族で過ごすようになって、各離宮から集められた料理人達が切磋琢磨し、各々の探究心から導きだした料理は、毎日違うものが出てきて美味しい。
子供達がお気に入りのものは、お昼やおやつの定番になるし、シュロムのお気に入りのものは、朝や夜に出る事が多い。
僕の好みの物は、その時々の食事に出てくるからそこも配慮されている。
今まで当たり前に享受してきたけど……これも、側妃としての立場だからこその扱いだし……ひっそりと暮らすというのは、高慢だったかもしれない。
自分自身の自惚れを改めて反省しつつ、それはそれとして料理を楽しむ。
せっかく美味しく作ってくれたのに楽しまずに食べる事は失礼だと思うからね。
料理人達に感謝しつつ朝食を終え、シュロムがイデアルへと声をかける。
「イデアル。少し話しがしたい。俺の私室まで来てくれ」
「? わかりました」
シュロムの言葉に首を傾げたイデアルだったが、素直に頷くと食卓から立ち上がる。
「父上、俺も一緒に行きたいです!」
イデアルと同じく立ち上がったシュロムにティグレが手を上げる。
「悪いがティグレ。これはイデアルとの大事な話なんだ。夕食の席では話せると思うから待っていてくれないか」
「……はい、わかりました」
シュロムに優しく断られたティグレが少しだけしょんぼりとした顔をする。
仲間はずれのような気分になったのだろう。
「ねぇ、シュロム。イデアルとの話が終わったら、ティグレとも少し時間を取ってあげたら?」
「ああ、そうだな」
それとなく、ティグレにも時間を取って上げるように促せば、シュロムも笑みを浮かべて承諾してくれる。
「それで許してくれないかティグレ」
「っ! はい!」
シュロムの言葉にティグレが嬉しそうに笑い頷いてくれた事にホッとした。
「父上ー、アグノスはー? アグノスも、一緒に遊びたい……です」
シュロム達親子のやり取りを見ていたアグノスは、羨ましそうに首を傾げ、シュロムを見つめる。
そして、それを見たティグレがシュロムが声を発する前に口を開いた。
「父上! アグノスも俺と一緒に父上と過ごしてもいいですか!」
「お前とアグノスが構わないならいいぞ。アグノスは、どうしたい?」
ティグレの提案を受け入れつつも、アグノスへと尋ねてくれるシュロムの優しさに顔が綻ぶ。
王子である実子の二人と比べたら王としての対応の差こそあれど、父親としできうる限り対等に扱おうとしてくれる姿が嬉しい。
「父上と兄様いっしょでいいの!? うれしー……うれしいです!」
シュロムとティグレの二人と過ごせる事に喜ぶアグノス。
最近は、あまり使えなかった敬語をティグレの真似をしてシュロムに頑張って使っているのが微笑ましく可愛い。
僕には、今まで通りでいいと言っているから変わらないけど……やはり、少しずつ成長しているのを実感した。
家族で過ごすようになって、各離宮から集められた料理人達が切磋琢磨し、各々の探究心から導きだした料理は、毎日違うものが出てきて美味しい。
子供達がお気に入りのものは、お昼やおやつの定番になるし、シュロムのお気に入りのものは、朝や夜に出る事が多い。
僕の好みの物は、その時々の食事に出てくるからそこも配慮されている。
今まで当たり前に享受してきたけど……これも、側妃としての立場だからこその扱いだし……ひっそりと暮らすというのは、高慢だったかもしれない。
自分自身の自惚れを改めて反省しつつ、それはそれとして料理を楽しむ。
せっかく美味しく作ってくれたのに楽しまずに食べる事は失礼だと思うからね。
料理人達に感謝しつつ朝食を終え、シュロムがイデアルへと声をかける。
「イデアル。少し話しがしたい。俺の私室まで来てくれ」
「? わかりました」
シュロムの言葉に首を傾げたイデアルだったが、素直に頷くと食卓から立ち上がる。
「父上、俺も一緒に行きたいです!」
イデアルと同じく立ち上がったシュロムにティグレが手を上げる。
「悪いがティグレ。これはイデアルとの大事な話なんだ。夕食の席では話せると思うから待っていてくれないか」
「……はい、わかりました」
シュロムに優しく断られたティグレが少しだけしょんぼりとした顔をする。
仲間はずれのような気分になったのだろう。
「ねぇ、シュロム。イデアルとの話が終わったら、ティグレとも少し時間を取ってあげたら?」
「ああ、そうだな」
それとなく、ティグレにも時間を取って上げるように促せば、シュロムも笑みを浮かべて承諾してくれる。
「それで許してくれないかティグレ」
「っ! はい!」
シュロムの言葉にティグレが嬉しそうに笑い頷いてくれた事にホッとした。
「父上ー、アグノスはー? アグノスも、一緒に遊びたい……です」
シュロム達親子のやり取りを見ていたアグノスは、羨ましそうに首を傾げ、シュロムを見つめる。
そして、それを見たティグレがシュロムが声を発する前に口を開いた。
「父上! アグノスも俺と一緒に父上と過ごしてもいいですか!」
「お前とアグノスが構わないならいいぞ。アグノスは、どうしたい?」
ティグレの提案を受け入れつつも、アグノスへと尋ねてくれるシュロムの優しさに顔が綻ぶ。
王子である実子の二人と比べたら王としての対応の差こそあれど、父親としできうる限り対等に扱おうとしてくれる姿が嬉しい。
「父上と兄様いっしょでいいの!? うれしー……うれしいです!」
シュロムとティグレの二人と過ごせる事に喜ぶアグノス。
最近は、あまり使えなかった敬語をティグレの真似をしてシュロムに頑張って使っているのが微笑ましく可愛い。
僕には、今まで通りでいいと言っているから変わらないけど……やはり、少しずつ成長しているのを実感した。
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