429 / 1,049
第5章
429話 おおっ、女神様!
しおりを挟む
深夜に一度目覚めた俺はリン(?)を抱きしめながら再び眠りについた。
「……ん? ここはどこだ?」
目が覚めると、見知らぬ場所に立っていた。
辺り一面、真っ白な空間が広がっている。
「こんにちは」
背後から声をかけられたので振り向くと、そこには1人の女性が立っていた。
白いワンピースを着た美しい女性だ。
年齢はひと桁、もしくは10代から20代、または30代から40代といったところだろうか。
……ん、あれ?
おかしいな?
俺にはこの女性が何歳ぐらいなのか、これ以上絞ることができない。
「初めまして。私は女神です」
「おおっ、女神様!」
女神様……魔法やスキルなどというゲーム風の異世界にとばされた時点で、そういう存在もいるだろうとは思っていた。
さほどの動揺はない。
「それで、俺はどうしてここに?」
「あなたは死にました」
……ああ、なるほど。
俺は風邪が治りかけのタイミングで、高熱を出してそのまま死んだようだ。
「――というのは嘘ですが。まぁ近いですね。あなたは死にかかっています」
「それはなぜ? やはり、シルヴィの『絶対零度』を受けてひいた風邪のせいか?」
「シルヴィ? ああ、あの雌個体のことですか。いえ、それ自体は直接関係ありません」
女神様がそう言う。
”雌個体”とはずいぶんな言い様だが、確かに女神様からすれば人間の一人ひとりなんてそんなものだろう。
「では、『毒蛇団』に毒でも盛られたのか?」
この俺――コウタ・エウロス男爵は、ウルゴ陛下から指令を受けて『毒蛇団』を掃討する予定だ。
その情報はもちろん奴らにも入っているはず。
奴らがただ黙って待っているだけとは思えない。
町から逃げ出すか、一時的に活動を縮小して一般人に紛れるか、あるいは俺の暗殺を狙ってくるか。
町から逃げ出すならば、俺にとっては楽だ。
一時的に活動を縮小して一般人に紛れるのであれば、俺たち『悠久の風』の総力をあげて捜査してあぶり出すつもりだった。
暗殺に対しても最大限に警戒しており、『錬金術師』エメラダ、『料理名人』リン、茶犬族として嗅覚に優れるユヅキ、暗殺対策の知識を持っている貴族令嬢ローズや元盗賊のグレイスなどが対策を講じていた。
それをすり抜けてくるほどの暗殺者が潜んでいたのならば、俺が殺されてしまうこともあり得る。
「毒蛇団? ああ、あの木っ端な集団ですか。いえ、今のあなたはそこらの猛毒程度では死にませんよ。もちろん、病でもね」
「そうなのか?」
「はい。あなたはそれなりにたくさんのジョブを取得していますし。そこらの人間にあなたをどうこうすることはできません」
「おお!」
どうやら、俺は思った以上に強くなりすぎてしまったらしい。
だが、それならばそれで1つの疑問が生まれる。
「ならば、俺が死にかけているという原因は?」
「あなたが取得した特殊上級ジョブ――『英雄』の副作用です」
女神様は、表情を変えずに淡々と告げたのだった。
「……ん? ここはどこだ?」
目が覚めると、見知らぬ場所に立っていた。
辺り一面、真っ白な空間が広がっている。
「こんにちは」
背後から声をかけられたので振り向くと、そこには1人の女性が立っていた。
白いワンピースを着た美しい女性だ。
年齢はひと桁、もしくは10代から20代、または30代から40代といったところだろうか。
……ん、あれ?
おかしいな?
俺にはこの女性が何歳ぐらいなのか、これ以上絞ることができない。
「初めまして。私は女神です」
「おおっ、女神様!」
女神様……魔法やスキルなどというゲーム風の異世界にとばされた時点で、そういう存在もいるだろうとは思っていた。
さほどの動揺はない。
「それで、俺はどうしてここに?」
「あなたは死にました」
……ああ、なるほど。
俺は風邪が治りかけのタイミングで、高熱を出してそのまま死んだようだ。
「――というのは嘘ですが。まぁ近いですね。あなたは死にかかっています」
「それはなぜ? やはり、シルヴィの『絶対零度』を受けてひいた風邪のせいか?」
「シルヴィ? ああ、あの雌個体のことですか。いえ、それ自体は直接関係ありません」
女神様がそう言う。
”雌個体”とはずいぶんな言い様だが、確かに女神様からすれば人間の一人ひとりなんてそんなものだろう。
「では、『毒蛇団』に毒でも盛られたのか?」
この俺――コウタ・エウロス男爵は、ウルゴ陛下から指令を受けて『毒蛇団』を掃討する予定だ。
その情報はもちろん奴らにも入っているはず。
奴らがただ黙って待っているだけとは思えない。
町から逃げ出すか、一時的に活動を縮小して一般人に紛れるか、あるいは俺の暗殺を狙ってくるか。
町から逃げ出すならば、俺にとっては楽だ。
一時的に活動を縮小して一般人に紛れるのであれば、俺たち『悠久の風』の総力をあげて捜査してあぶり出すつもりだった。
暗殺に対しても最大限に警戒しており、『錬金術師』エメラダ、『料理名人』リン、茶犬族として嗅覚に優れるユヅキ、暗殺対策の知識を持っている貴族令嬢ローズや元盗賊のグレイスなどが対策を講じていた。
それをすり抜けてくるほどの暗殺者が潜んでいたのならば、俺が殺されてしまうこともあり得る。
「毒蛇団? ああ、あの木っ端な集団ですか。いえ、今のあなたはそこらの猛毒程度では死にませんよ。もちろん、病でもね」
「そうなのか?」
「はい。あなたはそれなりにたくさんのジョブを取得していますし。そこらの人間にあなたをどうこうすることはできません」
「おお!」
どうやら、俺は思った以上に強くなりすぎてしまったらしい。
だが、それならばそれで1つの疑問が生まれる。
「ならば、俺が死にかけているという原因は?」
「あなたが取得した特殊上級ジョブ――『英雄』の副作用です」
女神様は、表情を変えずに淡々と告げたのだった。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
1,049
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる