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第5章

428話 もうお嫁にいけませんよぉ

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 リン(?)に口移しで病人食を食べさせてもらった。
 心なしか、体調が良くなってきた気がする。

「ありがとう。おかげで、だいぶ良くなったよ」

「そ、そうですかぁ……。それは良かったですぅ……。」

 リンはどこか上の空だ。
 暗くて顔はよく見えないが、顔が赤くなっているような雰囲気だ。

「どうかしたのか? さっきから様子がおかしいぞ」

「えっとぉ……。実はキスをしたのは初めてだったのでぇ。うう、もうお嫁にいけませんよぉ……」

「ん? リンは俺と何度もキスをしてきただろ?」

「だから、ワタシはお姉ちゃんじゃ――」

「まぁ、細かいことはいいけどな。お嫁にいけないなら、俺がもらってやるから安心しろ」

 俺はエウロス男爵家の初代当主だ。
 第一夫人は、アイゼンシュタイン子爵家の令嬢であるローズになるだろう。
 第二夫人は未定だが、本人が望むのであればティータかな?
 エルフの里アルフヘイムの有力氏族の出身だし。

 第三夫人以降はまったくの未定だ。
 残っているのはほぼ全員が平民なので、序列はさほど気にしないでもいいだろう。
 あるいは、非公式の妾とするのもありか?
 さすがに全員を正式に娶っては、跡継ぎ問題がややこしくなるかもしれないからな。
 まぁどちらにせよ、リンやその子どもを養うぐらい、俺にとっては何の問題もなくできることだ。
 西の荒野を無事に開拓できれば、その広大さ次第では分家も認められるかもしれないし。

「ふえっ!?」

「それにしても、こんなに可愛い女の子だったなんて知らなかったよ。男勝りなお前も魅力的だが、こうして乙女チックなお前も可愛いな」

「あのぉ……えっとぉ……。ええとぉ……」

「好きだよ」

「ひゃううぅぅぅぅ……」

 リンは顔を真っ赤にして俯いてしまった。
 どうやら、俺の告白が効いたようだ。
 これで、彼女は完全に俺のものになっただろう。
 まぁ元々、彼女の大切なところは全て味わい尽くしていたけどな。

「さて、少し眠くなってきた。もう少し眠ることにする。その間、そばについていてくれないか?」

「は、はいぃ……」

 俺はリンを抱きしめながら、再び眠りにつくことにした。
 彼女の体温が俺に伝わってくる。

(……ん? リン、髪を伸ばしているのか?)

 彼女は金髪のショートカットだったはずだ。
 しかし俺の目の前の少女は、肩にかかる程度のセミロングヘアになっている。
 そのせいで、幼さが若干増したように感じる。
 そう言えば、口調も何だか違うな?

「……」

「どうしましたかぁ? コウタさまぁ」

「いや、何でもない。それじゃあ、寝ようか」

「はいぃ」

 こうして、俺はリンを抱きしめながら眠りについたのだった。
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