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第5章

368話 ギルドマスターへ報告

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 翌朝。
 俺たち『悠久の風』は、冒険者ギルドを訪れた。

「よう。セリア、朝から頑張ってるな」

「おはようございますにゃ。私が把握している範囲で、ギルドマスターに正式な報告をしていたのですにゃ」

 受付嬢のセリアに声をかける。

「そっか。それはありがたいな。とりあえず俺たちも来てみたが、何かするべきことはあるか?」

「もちろんありますにゃ。奥でギルドマスターがお待ちですにゃ」

「わかった。ありがとう」

「いえいえ。これが仕事なのですにゃ」

「それもそうか」

 俺は苦笑しつつ、セリアとともにギルドの奥へと向かう。

「よく来たな。待っていたぞ」

 部屋に入ると、ギルドマスターが出迎えてくれた。

「ああ。今回は大変な目にあったよ。結果は最良のものを得られたが……」

 迷宮内では必要にかられて、『結界魔法使い』や『水魔法使い』のジョブを取得した。
 魔物との連戦、ダンジョンコアの破壊やミッション報酬により、『悠久の風』全員のジョブが大幅にレベルアップした。
 隠し部屋の金銀財宝の回収に成功した上、俺が男爵位を授かることにもなった。

「そのようだな。聞いた話では、陛下にも謁見されたとか。お前さんは優秀な奴だとは思っていたが、ここまでとはな」

「たまたま運が良かっただけさ。それより、早速だが詳細を報告していこうか」

 俺は経緯を話し始める。
 最初は、エルカ迷宮の5階層をコツコツと攻略していたこと。
 うっかり強制転移のトラップに引っかかり、迷宮の深層に転移させられたこと。
 それから頑張って迷宮を逆走し、5階層まで戻ってきたこと。
 コアルームへの転移魔法陣を発見し、コアルームへの侵入に成功したこと。
 ダンジョンコアを無事に破壊したことなどだ。

「……というわけだ」

「なるほどな。それで、男爵位を授与されたと」

「そういうことだ。陛下と直接話す機会もあったし、断るのは無理だった」

「はははっ。だろうなぁ。しかし、陛下と話すなんて凄いじゃないか」

「俺も驚いたよ……。でも、さすがは一国を束ねている人だ。凄まじいオーラを放っていたな……」

「そりゃそうだろ。あの方は、この国で最も偉大な方だ。……まぁ、それは置いておいてだ。まずは、今回の件について感謝させてくれ。本当に助かった」

 ギルドマスターが深く頭を下げる。
 迷宮管理における最終責任者は、もちろん国王陛下だ。
 その下に発生地の領主がいて、さらにその下に各冒険者ギルドのギルドマスターがいるイメージである。

 迷宮は、ある程度の資源を生む。
 産業が発達していない地域では、あえて討伐を推奨しないこともある。

 しかし基本的には、討伐に向けて攻略が進められるものだ。
 迷宮を放置しておくとスタンピードが発生するリスクがあるからな。
 エルカ迷宮の攻略具合はボチボチ程度で停滞気味だったらしい。

「気にしないでくれ。迷宮の討伐は全冒険者の目標であり、夢でもある。俺たちも好きでやったことだし」

 俺はとりあえずそう言っておく。
 もっと恩に着せてもいいが、既に十分な結果を得ている以上、欲張りすぎるのもな。

 金銀財宝を手に入れ、男爵位を得た俺が次に求めるものは何か。
 最終目標はもちろん『世界滅亡の危機の回避』なのだが、その前段階としてやるべきことはいろいろある。
 その中で、冒険者ギルドへ俺が求めることは……。
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