10 / 34
澪ちゃんがやってきた(というか逃げてきた)
その4
しおりを挟む
「……こんなデブスとソウルメイトって、気を悪くしたらごめんね」
そうなんだよね。澪ちゃんは清純派美少女。
まるで誰にも触れられたことのない一輪の真っ白な花のような雰囲気で「聖女」です。と言われて納得のお姿。
対して私は――お察しの通り。
『こんなデブス、勇者パーティの一員じゃない』と切り捨てられるほどの容姿。
「久しぶりに同い年の女の子と喋って、ちょっと調子づいちゃったかな……」
普段、こんな卑屈にならない私だけど、やっぱり異世界トリップでここの世界の生活に疲れちゃってるのかな?
しかも「ソウルメイト」って私は一体何者なんだ。不思議系か。引くだろ。
しょぼんとしてしまう。
そうでもないと思っていたけど、召喚されて「デブス」ということだけで追い出されたことに結構傷ついていたんだ、私。
――いきなり澪ちゃんに、がし、っと両手をつかまれ、びっくりする。
「実里ちゃん! 自分で自分を見下しちゃ駄目だよ! 実里ちゃんは可愛いよ! ソウルメイト万歳だよ!」
「澪ちゃん……」
「私、実里ちゃんがソウルメイトだったらすごく嬉しいよ! だって本当にこんなに話が弾むのって初めてだし、それに一緒にいると落ち着くっていうか、ホッとするの――これって異世界補正で気の合う人が分かったってやつなのかな? って思う!」
「み、澪ちゃーーーーーーん!優しい!」
私、ぼろ泣き。
澪ちゃんもぼろ泣き。
「実里ちゃんは可愛いって! それに久しぶりにあったら痩せたからビックリしたんだよ。街で名前を呼ばれて最初分からなかったもん」
「……痩せた? 私?」
涙が引っ込みました。
「痩せたよ? 鏡、ない?」
「あるけど」
毎日鏡見てますけど、そんなに痩せたかな?
「試しに制服きてみたら? それで分かるよ」
疑う私に澪ちゃんはそう勧めてきて、さっそく召喚時にきていた制服を出して着てみる。
……マジでした。
「マジか……っ! えっ? スカートゆるゆる! ほら! 手を二本入れてもぐるぐる回るよ!」
訳の分からない説明でハイテンションな私。
「気付かなかった?」
「いや~、少しは細くなったかな? とは思ってたけど、ここまでだったとは……毎日動き回ってチャリで国中漕ぐと違うねー」
私感激してる中、澪ちゃん、
「チャリで国中って……実里ちゃんのチャリって一体……」
と冷や汗を掻いている。
「そうか、最近力ついたなーって思ったのも、筋肉ついたからか!」
軽々ミルクタンク二つ持てるのも、ビールジョッキ八本一度に余裕なのも、七面鳥の丸焼き一人で持っていけるのも――筋肉のおかげ!
「私も力仕事すれば、通常より早く鍛えられるのかな……?」
と澪ちゃんが考え込んでる。
それからすぐに「あっ!」と顔を上げた。
「実里ちゃん、眼鏡!」
私の眼鏡を指す。
「う、うん? そう、乱視だから」
そう、ゲームとかラインとかアニメとかマンガとか好き放題に心の赴くままに趣味に没頭したら、あっという間に視力がね……
父と母には「受験勉強で」と言って眼鏡を購入してもらいましたが……
「治癒の力で治るよ」
「ほ、本当?」
「だって私もコンタクトだったから。こっちきてコンタクトの替えなんてないでしょう?悩んで、試しに自分の目に治癒をかけてみたの。そしたら、視力よくなったんだよ」
と澪ちゃん。
やってみなよ、というので眼鏡を外して早速、両目に手を当てる。
「なんて言えばいいかな?」
「『視力回復』でいけた」
「では……『視力回復』!」
ほわっと温かい波動が目に入ってきて「フォッ」と、ちょっとビクッとする私。
波動がおさまって目からそっと手を離し、目の前でジーッと私を見ている澪ちゃんを見つめ返す。
眼鏡外した時、ぼんやりしていた視界がはっきりしている!
澪ちゃんも眼鏡なしでよく見える!
「すっごい! めちゃクリア! 世界がはっきり見える!」
「でしょ? 視力も回復するでしょ?」
「ふぁあ……回復能力万能じゃん」
「手の荒れとか、そばかすとか肌荒れもいけるんだよ」
「ぅおっ、それは夢の美容医療」
「もしかしたら難病も治療できちゃう?」
「うーん……やったことないから分からないけど、できそうだよね」
この能力、自分の世界へ帰っても使えるのかな?
「こっちで目覚めた力って、帰っても使えるのかな?」
「駄目みたい。また閉じちゃうって聞いた」
と澪ちゃんも残念そうに話してくれる。
うん、残念だー。
「これが帰ってきても使えるなら、私ら『カリスマ美容員』なのに~」
「それどころか『奇跡の医師』とかいわれちゃうよ~」
「ガッカリー」
二人して溜息ついて、あまりに息がピッタリだったのがおかしくて笑い合った。
そうなんだよね。澪ちゃんは清純派美少女。
まるで誰にも触れられたことのない一輪の真っ白な花のような雰囲気で「聖女」です。と言われて納得のお姿。
対して私は――お察しの通り。
『こんなデブス、勇者パーティの一員じゃない』と切り捨てられるほどの容姿。
「久しぶりに同い年の女の子と喋って、ちょっと調子づいちゃったかな……」
普段、こんな卑屈にならない私だけど、やっぱり異世界トリップでここの世界の生活に疲れちゃってるのかな?
しかも「ソウルメイト」って私は一体何者なんだ。不思議系か。引くだろ。
しょぼんとしてしまう。
そうでもないと思っていたけど、召喚されて「デブス」ということだけで追い出されたことに結構傷ついていたんだ、私。
――いきなり澪ちゃんに、がし、っと両手をつかまれ、びっくりする。
「実里ちゃん! 自分で自分を見下しちゃ駄目だよ! 実里ちゃんは可愛いよ! ソウルメイト万歳だよ!」
「澪ちゃん……」
「私、実里ちゃんがソウルメイトだったらすごく嬉しいよ! だって本当にこんなに話が弾むのって初めてだし、それに一緒にいると落ち着くっていうか、ホッとするの――これって異世界補正で気の合う人が分かったってやつなのかな? って思う!」
「み、澪ちゃーーーーーーん!優しい!」
私、ぼろ泣き。
澪ちゃんもぼろ泣き。
「実里ちゃんは可愛いって! それに久しぶりにあったら痩せたからビックリしたんだよ。街で名前を呼ばれて最初分からなかったもん」
「……痩せた? 私?」
涙が引っ込みました。
「痩せたよ? 鏡、ない?」
「あるけど」
毎日鏡見てますけど、そんなに痩せたかな?
「試しに制服きてみたら? それで分かるよ」
疑う私に澪ちゃんはそう勧めてきて、さっそく召喚時にきていた制服を出して着てみる。
……マジでした。
「マジか……っ! えっ? スカートゆるゆる! ほら! 手を二本入れてもぐるぐる回るよ!」
訳の分からない説明でハイテンションな私。
「気付かなかった?」
「いや~、少しは細くなったかな? とは思ってたけど、ここまでだったとは……毎日動き回ってチャリで国中漕ぐと違うねー」
私感激してる中、澪ちゃん、
「チャリで国中って……実里ちゃんのチャリって一体……」
と冷や汗を掻いている。
「そうか、最近力ついたなーって思ったのも、筋肉ついたからか!」
軽々ミルクタンク二つ持てるのも、ビールジョッキ八本一度に余裕なのも、七面鳥の丸焼き一人で持っていけるのも――筋肉のおかげ!
「私も力仕事すれば、通常より早く鍛えられるのかな……?」
と澪ちゃんが考え込んでる。
それからすぐに「あっ!」と顔を上げた。
「実里ちゃん、眼鏡!」
私の眼鏡を指す。
「う、うん? そう、乱視だから」
そう、ゲームとかラインとかアニメとかマンガとか好き放題に心の赴くままに趣味に没頭したら、あっという間に視力がね……
父と母には「受験勉強で」と言って眼鏡を購入してもらいましたが……
「治癒の力で治るよ」
「ほ、本当?」
「だって私もコンタクトだったから。こっちきてコンタクトの替えなんてないでしょう?悩んで、試しに自分の目に治癒をかけてみたの。そしたら、視力よくなったんだよ」
と澪ちゃん。
やってみなよ、というので眼鏡を外して早速、両目に手を当てる。
「なんて言えばいいかな?」
「『視力回復』でいけた」
「では……『視力回復』!」
ほわっと温かい波動が目に入ってきて「フォッ」と、ちょっとビクッとする私。
波動がおさまって目からそっと手を離し、目の前でジーッと私を見ている澪ちゃんを見つめ返す。
眼鏡外した時、ぼんやりしていた視界がはっきりしている!
澪ちゃんも眼鏡なしでよく見える!
「すっごい! めちゃクリア! 世界がはっきり見える!」
「でしょ? 視力も回復するでしょ?」
「ふぁあ……回復能力万能じゃん」
「手の荒れとか、そばかすとか肌荒れもいけるんだよ」
「ぅおっ、それは夢の美容医療」
「もしかしたら難病も治療できちゃう?」
「うーん……やったことないから分からないけど、できそうだよね」
この能力、自分の世界へ帰っても使えるのかな?
「こっちで目覚めた力って、帰っても使えるのかな?」
「駄目みたい。また閉じちゃうって聞いた」
と澪ちゃんも残念そうに話してくれる。
うん、残念だー。
「これが帰ってきても使えるなら、私ら『カリスマ美容員』なのに~」
「それどころか『奇跡の医師』とかいわれちゃうよ~」
「ガッカリー」
二人して溜息ついて、あまりに息がピッタリだったのがおかしくて笑い合った。
0
あなたにおすすめの小説
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる