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澪ちゃんがやってきた(というか逃げてきた)
その2
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『聖女』として召喚されて、一ヶ月くらい経ってからかな……。
それまで私を含む勇者パーティの人達は、最小限のレベルは上げてそれから城の外へ行こうと決めていて、私もこの国の魔法を扱える人達に教えてもらいながらレベルを上げていたの。
うん、国の歴史や召喚された理由とかも教えてもらった。
テレビもないし、スマホも使えないでしょ?
それにトイレや風呂とかも現代日本とは全然違ってるし、食事もジャンクフードとか嗜好品とか娯楽に慣れちゃった私達にはしんどくて「帰りたい」と泣き出す人もでてきたの。
……私も帰りたいと思っていたけど、勇者パーティとして召喚されたし、田舎に住んでたから不自由に慣れていたんだと思う。
他の人達より耐性はあったんだ。
それに、そういうの素直に出すのって駄目かなって思ってた。
だって、国民の期待ってあるじゃない?
一応、能力は召喚された私達の方が高いようだし、そんな私達が国を救う前に泣き言言っちゃいけない、って思ったの。
そんな状況だから、王様も勇者として呼ばれた人も躍起になって次々に召喚しちゃって今、勇者パーティは合計で十四人いるの。
ごめん、実里ちゃんいれて十五人。
すごい人数だよね。
その中でやる気のある人だけパーティ編成して、レベルを上げていたんだけど、色々問題が出てきちゃって……
うーん、もう、色々!
「帰りたい!」って泣く人達で集まって、召喚できる人達を囲って「元の世界に戻せ」て文句言って、とうとう暴力沙汰になって部屋に監禁されてるし。
「国を救うために選ばれし者」ということにつけあがって我儘放題の人もいるし。
うん、そうそう。あの大剣の人!
やる気があるのかどうか分からないけど、一応レベルを上げることはやっていたよ。
他のやる気あるメンバーと一緒に。
そんなメンバーの中にも「さっさと国を救おう! そしてさっさと帰りたい!」という人達もいて。
……うん、私もその中の一人。
だって、「レベル上げてから!」って、いつまで経っても外へ出ようとしないんだもの。あの勇者の人。
勇者の名前?
『ミナトって呼んでくれ』って言ってたよ。
お城の人達は「勇者様」って呼んでた。
私を含む何人かは「もう出立しよう」ってミナトさんに言ったんだけど「まだ早い」って、なかなか「うん」て言わないの。
そのうち、ミナトさんを見限って数人、城から出て行った。
そうしたらうるさいのがいなくなったって、ミナトさんとミナトさんについてる人が好き勝手するようになっちゃって。
レベル上げるのもさぼって、城の中で贅沢三昧。
「酒池肉林」うん! そうそう!
国王もオロオロするだけで止めようとしないし。
何人か城の人達が、ミナトさん達を諫めようとしたら返り討ちにあっちゃって……
――私?
……うん、その……。実はここに召喚されてからすぐに、王太子のエルバート様から告白されてお付き合いしてて……
――そ、そんなに驚かないで!は、恥ずかしい!
そういう事情で、私はなかなか城から出ること躊躇って。
――どうして今、城から出てきたのって?
……………………エルバート様に三股かけられてた。
しかも、ミナトさんに下げ渡そうとした。
何が「君が色仕掛けで勇者殿のやる気を起こさせてくれ」よ……
ハーレム状態の奴に、私がいっても無駄じゃん。
ショックで部屋に閉じこもっていたら、ミナトさんがやってきて「ハーレムの一員に加えてやる」って馬鹿いってるから、ひっぱたいて城から出てきたの。
それまで私を含む勇者パーティの人達は、最小限のレベルは上げてそれから城の外へ行こうと決めていて、私もこの国の魔法を扱える人達に教えてもらいながらレベルを上げていたの。
うん、国の歴史や召喚された理由とかも教えてもらった。
テレビもないし、スマホも使えないでしょ?
それにトイレや風呂とかも現代日本とは全然違ってるし、食事もジャンクフードとか嗜好品とか娯楽に慣れちゃった私達にはしんどくて「帰りたい」と泣き出す人もでてきたの。
……私も帰りたいと思っていたけど、勇者パーティとして召喚されたし、田舎に住んでたから不自由に慣れていたんだと思う。
他の人達より耐性はあったんだ。
それに、そういうの素直に出すのって駄目かなって思ってた。
だって、国民の期待ってあるじゃない?
一応、能力は召喚された私達の方が高いようだし、そんな私達が国を救う前に泣き言言っちゃいけない、って思ったの。
そんな状況だから、王様も勇者として呼ばれた人も躍起になって次々に召喚しちゃって今、勇者パーティは合計で十四人いるの。
ごめん、実里ちゃんいれて十五人。
すごい人数だよね。
その中でやる気のある人だけパーティ編成して、レベルを上げていたんだけど、色々問題が出てきちゃって……
うーん、もう、色々!
「帰りたい!」って泣く人達で集まって、召喚できる人達を囲って「元の世界に戻せ」て文句言って、とうとう暴力沙汰になって部屋に監禁されてるし。
「国を救うために選ばれし者」ということにつけあがって我儘放題の人もいるし。
うん、そうそう。あの大剣の人!
やる気があるのかどうか分からないけど、一応レベルを上げることはやっていたよ。
他のやる気あるメンバーと一緒に。
そんなメンバーの中にも「さっさと国を救おう! そしてさっさと帰りたい!」という人達もいて。
……うん、私もその中の一人。
だって、「レベル上げてから!」って、いつまで経っても外へ出ようとしないんだもの。あの勇者の人。
勇者の名前?
『ミナトって呼んでくれ』って言ってたよ。
お城の人達は「勇者様」って呼んでた。
私を含む何人かは「もう出立しよう」ってミナトさんに言ったんだけど「まだ早い」って、なかなか「うん」て言わないの。
そのうち、ミナトさんを見限って数人、城から出て行った。
そうしたらうるさいのがいなくなったって、ミナトさんとミナトさんについてる人が好き勝手するようになっちゃって。
レベル上げるのもさぼって、城の中で贅沢三昧。
「酒池肉林」うん! そうそう!
国王もオロオロするだけで止めようとしないし。
何人か城の人達が、ミナトさん達を諫めようとしたら返り討ちにあっちゃって……
――私?
……うん、その……。実はここに召喚されてからすぐに、王太子のエルバート様から告白されてお付き合いしてて……
――そ、そんなに驚かないで!は、恥ずかしい!
そういう事情で、私はなかなか城から出ること躊躇って。
――どうして今、城から出てきたのって?
……………………エルバート様に三股かけられてた。
しかも、ミナトさんに下げ渡そうとした。
何が「君が色仕掛けで勇者殿のやる気を起こさせてくれ」よ……
ハーレム状態の奴に、私がいっても無駄じゃん。
ショックで部屋に閉じこもっていたら、ミナトさんがやってきて「ハーレムの一員に加えてやる」って馬鹿いってるから、ひっぱたいて城から出てきたの。
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