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嵐の中の惨劇✨✨✨

対決✨✨

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 一同は、手分けして御前の首探しを始めた。

 だが、ようとして首の行方はわからない。
 その間に、信乃介は全裸の美女の怪我の様子を診ていた。
 俺が浴衣を脱ぎ、それで全裸の女人《オンナ》の肌を隠した。

「もう良い!  コイツを吊るし上げろ!!
 無理矢理にでもコイツから真相を聞き出すんだ! 美鬼ミキを吊るし上げて訊けェ……」
 やはり将宗は美鬼ミキを疑っているようだ。
 縛り上げて無理やりにでも口を開かせるつもりなのだろう。

「よせェ……。この美鬼ミキと云うくノ一は、相当頭がキレる。
 明らかに自分が不利になるような状況に身を置くとは思えない」
 なおも信乃介は裸の美女を庇った。

「フフゥン、そんなことは知るか。美鬼コイツ、たっぷりと身体に訊くまでだ」
 将宗もニヤリと嗤い、引く様子はない。もちろん、このまま放置するワケにはいかない。頭目としての面子メンツもあるだろう。

「失神して無抵抗な彼女を吊るし上げるつもりか」
「関係あるか!  退けェー!  退かぬならお主から血祭りに上げるぞォ!」
 将宗もこのまま引くわけにはいかない。

「フフゥン、面白い。どうしても無理やり彼女を縛《つか》まえるなら俺が相手をしよう」
 だが信乃介も立ち上がり臨戦態勢だ。
 
「ぬうぅ……、なにィ!」一瞬にして辺りは殺気だった。

「無抵抗な女人を吊るし上げると云うならこの俺……、信長の末裔、織田信乃介が相手をしよう!!」
「な、信長の末裔だと……!」
 周りの土蜘蛛衆も驚いたようだ。

「鳴かぬなら裁いてくれようホトトギス!
 天に代わりて、主らの悪事を!!」
 まるで歌舞伎役者のように信乃介が大見栄を切った。
「ぬうゥ……」敵も圧倒されひるんだ。

「ええェい、構わぬ。コイツから先に始末しろォ!
 邪鬼ジャキィ、コイツをやってしまえェ!!」
 将宗は背後に控えていた頬傷の男に顎で指示を送った。

 周りにいる手下がスッと静かに左右へ別れていく。その中から妖気を放って、ひとりの男が現れた。
 一瞬にして室内に殺気が漲った。

「ぬうぅ、ヤツだ!」
 湯治場で見た怪しい頬傷の男だ。
 わざわざ頭目が信乃介の相手に呼び寄せたのだ。おそらくこの連中の中では最も手強てごわいだろう。

「フフ、信長の末裔か……。酒の肴には上物だなァ」
 ギラギラと妖しく眼を光らせて邪鬼が剣を抜いた。楽しくて仕方がないと云った様子だ。

「フフゥン、邪鬼か、羅刹か知らないが、この鬼斬り丸で退治してくれよう」
 さすが天下の信長の末裔、信乃介だ。

 どんなに屈強な邪鬼が相手でも、まったく臆する様子は見えない。
 周りは土蜘蛛衆ばかりで圧倒的に不利な状況だ。
 
 たとえ邪鬼に勝っても敵の土蜘蛛衆から一斉に攻撃されれば、さすがの信乃介も危ないかもしれない。

 俺は、このまましっぽを巻いて一目散に逃げ出したい気持ちだ。かつての俺なら、信乃介を見捨てて逃げていたかもしれない。だが今は違う。
 これでも俺は平家の末裔だ。
 怖いからと云って、敵に後ろは見せられない。

 眼光鋭く二人の剣豪が対峙した。
 一瞬にして鳥肌が立ってきた。
 見ているだけでも武者震いがしてくる。

「ゴックン……」
 一同は固唾を飲んで見守っていた。

 その刹那、夜空を斬り裂くような目映まばゆい閃光が疾走はしった。









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