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⌘1章 雲母の水底 《きららのみなぞこ》
18.水の波紋
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しばらくすると、仔犬のような子供達が窓辺に集まってきた。
皆、飴の色素で口のまわりや舌がぎょっとする程に赤や緑色になっている。
彼らの感性によるりんご飴を食べた感想を興奮しながら感激を口々に話して、礼を言った。
「子供にとったら、でっかいリンゴ丸ごと入ってる飴なんていいアトラクションだもんな」
五位鷺が笑った。
いつもは小憎らしい妹弟子や弟弟子も年なりに見えて、十一は更に驚いた。
少年がずいっと食べかけのりんご飴を見せた。
「十一、ありがとう。これすごいよ」
蛍石と五位鷺の息子の銀星だ。
女皇帝の愛し子、総家令の件の子、と宮廷では陰に言われている。
女皇帝が、正統な后妃との子供達を全て退けて、次の皇帝にと望んでいるのだ。
当然、噂にも反感にもなる。
しかし、今、彼に思うのは、将来への不安や、それに打ち勝つ強さを願う気持ちより、聡明さ、思慮深さにはっとする。
何よりその子供らしさに、ちゃんと育っているのだなと感動すらするのだ。
これは、王族や家令の子供にはあまり無いものだ。
もしかしたら、蛍石も五位鷺も自分も、本来こうであったかもしれない等と十一はふと思う。
きっと五位鷺も同じように感じたのではないだろうか。
だからこそ、自分では無い何か、などと言う家令として禁忌のような事を考えたのではないか。
さらに言えば、春北斗は産まれっ放しで自由に育っている。
これはきっと残雪の子供時代もこうだったのだろうと思うと可笑しい。
「・・・これは小太子。お楽しかったなら何よりでしょう」
銀星を抱き上げると、小さな太子は十一の口に飴をつっこんだ。
口の中で飴が派手に弾けて驚いた。
「な、なんですか、これは?!爆発した!火薬じゃあるまいし、こんなもんを人間が食べていいわけないでしょう?!どういう事だ、これは?!」
弾けるってこの事か、と十一は、やっと理解した。
「面白いでしょ?高圧で炭酸ガスを閉じ込めて作るの。口の中で溶けると中の二酸化炭素が弾ける仕組み」
残雪が、蛍石と春北斗と共に窓越しに姿を現して言った。
蛍石が慌てる十一を見て大笑いしていた。
「春、見てよ!あのコウモリ、おかしいったら!」
蛍石は春北斗が窓を乗り越えて部屋に入ろうとするのを手伝ってやり、五位鷺に抱き上げさせた。
「どれどれ。おー、すごい。春、口ん中が真緑になってるな」
それが堪らなく楽しいのだと春北斗が言った。
春北斗が足をばたつかせたのに十一が駆け寄った。
「ああ、全く、離宮とは言え行儀が悪い。靴を脱ぎなさい」
「靴なんて履いてないもん」
言われて見れば子供達も、残雪も蛍石までもが裸足だ。
「どうせまとめて丸洗いするもの」
残雪は洗濯物のように言う。
「靴を履きなさい。足の怪我は大事になる可能性がある。怪我でもすれば、蓮角を呼んで破傷風の注射をしなくてはいけないよ」
小さな怪我が命取りになる事だってある。
注射は嫌だ、と子供達が抗議の声を上げた。
「ねえ、嫌ねえ。こうるさいわねぇ、十一は」
蛍石が煩わしそうにむくれた。
蜂鳥と駒鳥も現れ、女皇帝に同意して兄弟子の十一がいかに性格が悪いか、ある事ない事吹聴している始末。
全くこの有様では、こいつら宮廷になど戻れそうにないと十一はため息をついた。
かわいそうに。
夜も更けたベッドで、残雪がため息をついた。
大人の手のひらくらいの大きさの花鶏の胸の火傷痕を思い出す。
まだ体の小さい幼児には大変な怪我だ。
特に火傷は、体に対して表面積が広いほど生死に関わる。
「・・・痛かったでしょうね」
「ああ、かわいそうに。泣かないで、雪」
蛍石が忌々しそうに口を開いた。
「皇后がやったの?それとも女官?」
調べさせて罰するべきねと女皇帝は総家令と目配せをし合ったが、残雪が首を振った。
「・・・言ってしまえば、悪いのは、結局、周りの人間全員よ。その中に、私達もきっといるわ」
残雪が呟いた。
あの幼子の胸の傷を見た時、さっと血の気が引いた。
花鶏は、自分達のこの暮らしを得るための犠牲者ではないか。
「雪のせいじゃないわ」
蛍石は慌てて残雪の頬を撫でた。
「・・・私が、貴女の夫や子から妻や母を奪ったのは間違いないわ」
その罪深さに身がすくむ。
蛍石は困ったように首を傾げた。
残雪がどうしてそこまで気にやむのかがわからない。
育った環境、与えられた役割。その中で振る舞った結果。
ただ、それだけではないか。
きっと、お互いに共感しづらいものを挟んで対峙して戸惑っている。
きっと、自分も残雪も少しづつ間違っていて、少しずつ正しいのだ。
そこまで考えられるようになっただけでも、蛍石は変わったのだ。
今までは、感じもしなかった。
残雪と出会ってからは、悲しむから、対処していただけ。
彼女の抱えるものが何なのかまだ理解した事はない。
いつかこのもどかしい違和感は解消されるのだろうか。
それともこの違和感ゆえに、別離という未来がやってくるのだろうか。
蛍石の戸惑いを察して、残雪が恋人と夫を抱きしめた。
「愛しているわ、大好きよ。貴方達が大好きよ。おチビちゃん達の事も、大好き」
でもいつか、これは終わる。
このままこうしてずっと自分たちだけ楽園のような生活はできないだろう。
それがわかるのが悲しいのだと残雪は言った。
その時は多分、決して穏やなものではないだろう。
だって、私は、我々はこんなに幸せで、こんなに罪深い。
違和感は不安となり罪悪感となり、雨粒が落ちた水面の波紋のように広がっていく。
五位鷺ごいさぎもまた戸惑っていた。
残雪ざんせつの苦悩は、自分達の立場の環境の差だとしたら、お互い異文化のようなもの。
歩み寄る事は出来ても、本質から理解する事は出来ないものなのかもしれない。
いや、歩み寄るどころか、残雪を丸呑みにして来たのは自分達側だ。
罪悪感を感じながら、五位鷺は残雪の頬に唇を寄せた。
「雪がなんでそう思うのかはわからないけれど。我々は雪に愛される方が大事。この暮らしを守りたい。続けたい。その為にはなんでもする。初めて誰かの伴侶となり、親になったのだから」
それは蛍石が驚くほどの、精一杯の彼の本音だった。
いつも本音を見せない腹黒さは彼の利点でもあり欠点でもあるから。
「雪、気に病まないで良いのよ。どうせこの男は地獄行き。私もそう。でもね、雪は違うんだから。そのままでいればいい」
残雪が慌てて涙を拭いた。
「駄目よ!なら私も行く」
それこそ駄目だと蛍石と五位鷺が叫んだ。
そこから、いかに地獄とは凄惨な場所なんだから考え直せというような説得が始まった。
やっぱりそういうのって本当にあるの?という残雪の問いはかき消されてしまった。
その騒ぎに、隣の子供部屋で寝ていた銀星と春北斗、蜂鳥と駒鳥と花鶏も起きてしまったようだ。
銀星と春北斗がドアからひょっこり顔を出した。
「・・・ああ、うるさくしてしまったね。ごめん」
五位鷺が近づくと、春北斗が飛びついて、何か小声で囁いた。
「・・・腹が減ってしまったか・・・」
五位鷺が困ったように振り返ると残雪が笑った。
「いいわ。どうせすぐはまだ寝れないでしょう。お夜食パーティーにしましょうよ」
子供達は歓声を上げて、リビングに向かった。
「ねぇ、雪?この間、ご実家から頂いたシャンパンね。あれ開けるのはどうかしら」
「いいアイディアですね。クリスマスのフルーツケーキの残りもまだあったよね」
「シャンパンもケーキもあるわよ。フルーツゼリーやハムやパテもお出ししましょうか?」
パーティーだ!と子供達よりも嬉しそうにして蛍石と五位鷺が残雪の腕を取った。
皆、飴の色素で口のまわりや舌がぎょっとする程に赤や緑色になっている。
彼らの感性によるりんご飴を食べた感想を興奮しながら感激を口々に話して、礼を言った。
「子供にとったら、でっかいリンゴ丸ごと入ってる飴なんていいアトラクションだもんな」
五位鷺が笑った。
いつもは小憎らしい妹弟子や弟弟子も年なりに見えて、十一は更に驚いた。
少年がずいっと食べかけのりんご飴を見せた。
「十一、ありがとう。これすごいよ」
蛍石と五位鷺の息子の銀星だ。
女皇帝の愛し子、総家令の件の子、と宮廷では陰に言われている。
女皇帝が、正統な后妃との子供達を全て退けて、次の皇帝にと望んでいるのだ。
当然、噂にも反感にもなる。
しかし、今、彼に思うのは、将来への不安や、それに打ち勝つ強さを願う気持ちより、聡明さ、思慮深さにはっとする。
何よりその子供らしさに、ちゃんと育っているのだなと感動すらするのだ。
これは、王族や家令の子供にはあまり無いものだ。
もしかしたら、蛍石も五位鷺も自分も、本来こうであったかもしれない等と十一はふと思う。
きっと五位鷺も同じように感じたのではないだろうか。
だからこそ、自分では無い何か、などと言う家令として禁忌のような事を考えたのではないか。
さらに言えば、春北斗は産まれっ放しで自由に育っている。
これはきっと残雪の子供時代もこうだったのだろうと思うと可笑しい。
「・・・これは小太子。お楽しかったなら何よりでしょう」
銀星を抱き上げると、小さな太子は十一の口に飴をつっこんだ。
口の中で飴が派手に弾けて驚いた。
「な、なんですか、これは?!爆発した!火薬じゃあるまいし、こんなもんを人間が食べていいわけないでしょう?!どういう事だ、これは?!」
弾けるってこの事か、と十一は、やっと理解した。
「面白いでしょ?高圧で炭酸ガスを閉じ込めて作るの。口の中で溶けると中の二酸化炭素が弾ける仕組み」
残雪が、蛍石と春北斗と共に窓越しに姿を現して言った。
蛍石が慌てる十一を見て大笑いしていた。
「春、見てよ!あのコウモリ、おかしいったら!」
蛍石は春北斗が窓を乗り越えて部屋に入ろうとするのを手伝ってやり、五位鷺に抱き上げさせた。
「どれどれ。おー、すごい。春、口ん中が真緑になってるな」
それが堪らなく楽しいのだと春北斗が言った。
春北斗が足をばたつかせたのに十一が駆け寄った。
「ああ、全く、離宮とは言え行儀が悪い。靴を脱ぎなさい」
「靴なんて履いてないもん」
言われて見れば子供達も、残雪も蛍石までもが裸足だ。
「どうせまとめて丸洗いするもの」
残雪は洗濯物のように言う。
「靴を履きなさい。足の怪我は大事になる可能性がある。怪我でもすれば、蓮角を呼んで破傷風の注射をしなくてはいけないよ」
小さな怪我が命取りになる事だってある。
注射は嫌だ、と子供達が抗議の声を上げた。
「ねえ、嫌ねえ。こうるさいわねぇ、十一は」
蛍石が煩わしそうにむくれた。
蜂鳥と駒鳥も現れ、女皇帝に同意して兄弟子の十一がいかに性格が悪いか、ある事ない事吹聴している始末。
全くこの有様では、こいつら宮廷になど戻れそうにないと十一はため息をついた。
かわいそうに。
夜も更けたベッドで、残雪がため息をついた。
大人の手のひらくらいの大きさの花鶏の胸の火傷痕を思い出す。
まだ体の小さい幼児には大変な怪我だ。
特に火傷は、体に対して表面積が広いほど生死に関わる。
「・・・痛かったでしょうね」
「ああ、かわいそうに。泣かないで、雪」
蛍石が忌々しそうに口を開いた。
「皇后がやったの?それとも女官?」
調べさせて罰するべきねと女皇帝は総家令と目配せをし合ったが、残雪が首を振った。
「・・・言ってしまえば、悪いのは、結局、周りの人間全員よ。その中に、私達もきっといるわ」
残雪が呟いた。
あの幼子の胸の傷を見た時、さっと血の気が引いた。
花鶏は、自分達のこの暮らしを得るための犠牲者ではないか。
「雪のせいじゃないわ」
蛍石は慌てて残雪の頬を撫でた。
「・・・私が、貴女の夫や子から妻や母を奪ったのは間違いないわ」
その罪深さに身がすくむ。
蛍石は困ったように首を傾げた。
残雪がどうしてそこまで気にやむのかがわからない。
育った環境、与えられた役割。その中で振る舞った結果。
ただ、それだけではないか。
きっと、お互いに共感しづらいものを挟んで対峙して戸惑っている。
きっと、自分も残雪も少しづつ間違っていて、少しずつ正しいのだ。
そこまで考えられるようになっただけでも、蛍石は変わったのだ。
今までは、感じもしなかった。
残雪と出会ってからは、悲しむから、対処していただけ。
彼女の抱えるものが何なのかまだ理解した事はない。
いつかこのもどかしい違和感は解消されるのだろうか。
それともこの違和感ゆえに、別離という未来がやってくるのだろうか。
蛍石の戸惑いを察して、残雪が恋人と夫を抱きしめた。
「愛しているわ、大好きよ。貴方達が大好きよ。おチビちゃん達の事も、大好き」
でもいつか、これは終わる。
このままこうしてずっと自分たちだけ楽園のような生活はできないだろう。
それがわかるのが悲しいのだと残雪は言った。
その時は多分、決して穏やなものではないだろう。
だって、私は、我々はこんなに幸せで、こんなに罪深い。
違和感は不安となり罪悪感となり、雨粒が落ちた水面の波紋のように広がっていく。
五位鷺ごいさぎもまた戸惑っていた。
残雪ざんせつの苦悩は、自分達の立場の環境の差だとしたら、お互い異文化のようなもの。
歩み寄る事は出来ても、本質から理解する事は出来ないものなのかもしれない。
いや、歩み寄るどころか、残雪を丸呑みにして来たのは自分達側だ。
罪悪感を感じながら、五位鷺は残雪の頬に唇を寄せた。
「雪がなんでそう思うのかはわからないけれど。我々は雪に愛される方が大事。この暮らしを守りたい。続けたい。その為にはなんでもする。初めて誰かの伴侶となり、親になったのだから」
それは蛍石が驚くほどの、精一杯の彼の本音だった。
いつも本音を見せない腹黒さは彼の利点でもあり欠点でもあるから。
「雪、気に病まないで良いのよ。どうせこの男は地獄行き。私もそう。でもね、雪は違うんだから。そのままでいればいい」
残雪が慌てて涙を拭いた。
「駄目よ!なら私も行く」
それこそ駄目だと蛍石と五位鷺が叫んだ。
そこから、いかに地獄とは凄惨な場所なんだから考え直せというような説得が始まった。
やっぱりそういうのって本当にあるの?という残雪の問いはかき消されてしまった。
その騒ぎに、隣の子供部屋で寝ていた銀星と春北斗、蜂鳥と駒鳥と花鶏も起きてしまったようだ。
銀星と春北斗がドアからひょっこり顔を出した。
「・・・ああ、うるさくしてしまったね。ごめん」
五位鷺が近づくと、春北斗が飛びついて、何か小声で囁いた。
「・・・腹が減ってしまったか・・・」
五位鷺が困ったように振り返ると残雪が笑った。
「いいわ。どうせすぐはまだ寝れないでしょう。お夜食パーティーにしましょうよ」
子供達は歓声を上げて、リビングに向かった。
「ねぇ、雪?この間、ご実家から頂いたシャンパンね。あれ開けるのはどうかしら」
「いいアイディアですね。クリスマスのフルーツケーキの残りもまだあったよね」
「シャンパンもケーキもあるわよ。フルーツゼリーやハムやパテもお出ししましょうか?」
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