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彼の名前はクリス
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彼の名前はクリス。
もしかしたら人種的にはハイブリッドなのかもしれないが名前がカタカナなのでは無く、栗栖《くりす》という苗字の日本人だと聞いている。
よく知っているでは無いかと言われそうだが、クリスはとにかく目に付く学生なのだ。
まるで構内にいる間中パレードの巡行でも行なっているのでは無いかと疑うくらいによく見かける。
その為か、クリスの事を知らない学生はいないのでは無いかと思えるくらい有名だった。アイドルとも言える。
詳しくは知らないが、学生会の役員をしたりするような精力的に学生生活を楽しんでいるタイプだと思う。
しかもアイドルと言うのは比喩じゃ無い。
学祭のミスコンと合わせて行われたメンズの人気投票で断トツ、堂々の優勝を飾ってからは公式(?)のファンクラブが立ち上がったり、ブロマイド風の生写真が売り出されたり、嘘みたいだがクリスの顔が印刷されたうちわを持った女子が出待ち入り待ちをしていたりする。
あんな容姿で生まれてくると人生が変わるんだろうな…なんて有り得ない酒池肉林を妄想するくらい顔もスタイルもいいのだが、あちこちで飛び交っている情報はかなり怪しく現実味がない。
例えば、クリスは某富豪の一人息子で家は塔のある豪邸だとか、飼い犬専用の部屋があるとか、自家用飛行機があるとか、芸能界からスカウトされているとか、何とかかんとか。
ハーフだとかクォーターだという噂だけはもしかしたら本当なのかもしれないが成否の怪しい情報が派手に飛び交う様は正に偶像《アイドル》と言えた。
そんな人がどうして、地味なボッチに構ってくるのかわからない。
クリスが声を掛けて来るようになったのは、突然知らない人から本を渡され学生サロンにいるクリスに持っていって欲しいと頼まれてからだ。
「何故俺が?」と聞き返したのは当然なのだが、最後まで言い切る前に「頼む」と言い残して立ち去られてしまった。
学生サロンなんて入った事も無いし、入ろうと思った事も無いからどうすべきか悩んだ。
サロンと呼ばれる学生用のフリースペースは目立つ系学生の溜まり場なのである。
仲間に入りたいと熱望する一般学生も多いかもしれないが、雑多なコミュニケーションを苦手とするボッチ系の学生にとっては近寄りたく無いと熱望する場所でもある。
しかし、受け取ってしまった本は手元にある。
「知的財産法判例集II」とタイトルの付いた本には多数の付箋や使い込んだような形跡がある為、捨てて良い物には見えなかった。
とても……かなり……物凄く嫌だったが仕方無しに普段なら近寄りもしない根明の集まる学生サロンに向かった。
もしかしたら人種的にはハイブリッドなのかもしれないが名前がカタカナなのでは無く、栗栖《くりす》という苗字の日本人だと聞いている。
よく知っているでは無いかと言われそうだが、クリスはとにかく目に付く学生なのだ。
まるで構内にいる間中パレードの巡行でも行なっているのでは無いかと疑うくらいによく見かける。
その為か、クリスの事を知らない学生はいないのでは無いかと思えるくらい有名だった。アイドルとも言える。
詳しくは知らないが、学生会の役員をしたりするような精力的に学生生活を楽しんでいるタイプだと思う。
しかもアイドルと言うのは比喩じゃ無い。
学祭のミスコンと合わせて行われたメンズの人気投票で断トツ、堂々の優勝を飾ってからは公式(?)のファンクラブが立ち上がったり、ブロマイド風の生写真が売り出されたり、嘘みたいだがクリスの顔が印刷されたうちわを持った女子が出待ち入り待ちをしていたりする。
あんな容姿で生まれてくると人生が変わるんだろうな…なんて有り得ない酒池肉林を妄想するくらい顔もスタイルもいいのだが、あちこちで飛び交っている情報はかなり怪しく現実味がない。
例えば、クリスは某富豪の一人息子で家は塔のある豪邸だとか、飼い犬専用の部屋があるとか、自家用飛行機があるとか、芸能界からスカウトされているとか、何とかかんとか。
ハーフだとかクォーターだという噂だけはもしかしたら本当なのかもしれないが成否の怪しい情報が派手に飛び交う様は正に偶像《アイドル》と言えた。
そんな人がどうして、地味なボッチに構ってくるのかわからない。
クリスが声を掛けて来るようになったのは、突然知らない人から本を渡され学生サロンにいるクリスに持っていって欲しいと頼まれてからだ。
「何故俺が?」と聞き返したのは当然なのだが、最後まで言い切る前に「頼む」と言い残して立ち去られてしまった。
学生サロンなんて入った事も無いし、入ろうと思った事も無いからどうすべきか悩んだ。
サロンと呼ばれる学生用のフリースペースは目立つ系学生の溜まり場なのである。
仲間に入りたいと熱望する一般学生も多いかもしれないが、雑多なコミュニケーションを苦手とするボッチ系の学生にとっては近寄りたく無いと熱望する場所でもある。
しかし、受け取ってしまった本は手元にある。
「知的財産法判例集II」とタイトルの付いた本には多数の付箋や使い込んだような形跡がある為、捨てて良い物には見えなかった。
とても……かなり……物凄く嫌だったが仕方無しに普段なら近寄りもしない根明の集まる学生サロンに向かった。
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