117 / 121
112.四日目開始
しおりを挟む
四日目。飛空艇内部。
「エイルちゃん、その……大丈夫なの?」
「ん?ええぇ!大丈夫ですよ!文字通り弾避けにでもなんでもなりますとも!」
訓練の結果、アリエ隊にエイルが参加している。
キリカは腰に帯刀している白打を見た。やる気は分かるし、前線に出たい気持ちもわかる。出来れば後方支援に当たってほしかった。持ち前の魔力を生かしたレーダーとか色々あるじゃん。
エイルを弱いと思っているわけではないが、どうしても死んでしまうのではないかと思ってしまう。
「た、弾避けはやめようね?」
「心配ご無用です。ツルギさんにしごかれておりますので」
キリカが横眼でツルギを見た。
「疑う目で見るな。エイルは強いぞ。オトメよりよっぽどな」
「へぇ」
本当に心配無用だった。魔力総量も上がっているのだろう。
知らないうちに成長してんだなぁ。
「一度に10隻の投入だ。約30分で着く、増援は1時間置きに到着する。作戦終了後、10隻しかないこの船で帰る。人数制限もある。二往復させてやるぞ」
キリカには、ツルギが本質的に死ぬなと言っているのが分かった。
二往復させてやるよ。
「カワセミに二往復はキツイだろうな」
「どして?」
「吐くんだ」
「うぇ。そりゃ可哀想だ」
キリカ、サイケン、カリンの順で並び、一人分の席を空けている。カエデが座っている。
サイケンがいつまでもカワセミとガラスのことを引きずっていた。カリンが同情した。
正面にはエイル、アリエ、ミセット、セツナの順で並んでいる。
「セツナって、二本使うの?」
アリエがセツナの腰にある二本の刀を見ていた。
「使えるものは何でも使おうと思って」
「つ、ツルギさんみたいだね……」
「師匠ぉ……いつまで拗ねてるんです?貴女の方が付き合い上ですって。あぁもう泣かないで」
「だって最近喋ってないもん!」
再度キリカがツルギを横目で見た。そっぽ向かれた。
「ステルスモードに移行します」
SEに通達が入る。浮遊感が伝わってくる。
一度目はスイセンドウ、二度目は再生湖から帰るとき。
四度目で最後にしよう。
10隻の小型飛空艇が北へ発進した。
ーーーーーー
廃ビルの中で一番高い建物の上で遠くを眺めていた。
西側、つまりはライヴ本拠地、マルエルの庭園。数百人規模の軍隊がやってくる。飛空艇、車、乗り物は何でも使っていた。
やる気が伝わってくる。全勢力投入って感じかな。
パララミローでかなり人が死んでいる、1000人は用意できなかったのだろう。
私は庭園に残らずに、温情をかけるように廃ビル群に来たのだ。決戦の誘いに乗らないわけがない。向こうもメリットしかないのだから。
ライヴの方が早く到着するだろう。ECFはきっと飛空艇で突っ込んでくる。来ても一回に、二から三百人程度。そう戦力的にはライヴに軍配が上がる。あのデカ物も来るだろう。
「噂をすればかな?」
キョウスケの正面と左右に黒い金属の塊、ビヨンドが現れた。
三機だ。二機も増えている。これはECFが不利だ。きっと先行してきたのだろう。
おやおや、三機同時にかかれば私を殺せると思っているのかな?
ブースター音が聞こえる。
三機同時にショットガンを構えた。
爆発音が聞こえた時、キョウスケの体が粉々になった。
ビルの屋上に硝煙と肉の臭いが漂った。それを私は確かめる。
「ふー……!」
全力で呼吸する。体は1秒で再生した。
第二波が来る。左右のビヨンドが高出力ブレードを突き刺してくる。
脳が焼ける。肉が焼ける。指先が黒焦げで残った。
「むー、かなり痛い」
この攻撃も1秒で復活した。
正面のビヨンドがライフルを発砲した。
手から骨の盾を作り出して防ぐが、当然のように防御力が足りずに頭がはじけた。
「ハッ……!」
またしても1秒で復活。
真面目に攻撃しよう。
ライフルの銃口が向く。攻撃予測はとっくに見えている。足さばきのみで全て回避していく。
風圧で体が吹き飛ぶ。浮遊した所をショットガンで砕かれた。血がビヨンドにかかった。
キョウスケはその地点で再生し、手から剣を作り出し、脳天から真下に突き刺した。
「防御力が足りないよ」
「……あ」
内部から声が聞こえた。ビヨンドが落下していく。絶命しただろう。
離脱するように兜割・天を発動し、後方のビヨンドに斬りかかった。空中でヒット。コックピット内部を両断した。大きな隙間から血がはじけた。そして当然のように腕が飛んで行った。
「うーん、ECF有利にしちゃったな」
三機目の内部から声がうっすら聞こえた。
キョウスケは浮いている。屋上に戻りたい。攻撃するなら今だ。だがビヨンドは逃走した。
「怖気づいてしまったか、おかげで安全に着地できたが……バランスはちょうどいい」
キョウスケがフックショットで屋上に着地、その時下から二つ音がした。ビヨンドが着地したようだ。この高度から落ちたのだもう動けないだろう。
もっと強い人間が来てほしい。
「そう、サタン、お前に来てほしいのだ」
ーーーーーー
「先行したビヨンド、二機、破壊されました!サタンさん!」
「そうか、殺して再生を繰り返せと言ったのだが……ふむ、奴の方が一歩以上上手か」
進軍しているライヴの先頭、サタンが全員に告げた。
「D9は俺が仕留める。今から指定する3班のみついてこい。屋上の倫理委員を掃討する。残りは地上をやれ」
サタンにメッセージが届いた。
「あ?お前は地上だろヒノキ」
『屋上はいいよ。俺が地上で一番先頭、でいいよね』
「いいぞ。全員は殺すなよ。特にツルギ」
『了解、じゃあキリカは俺がもらう』
ライヴ到着まで残り20分。
ECF到着まで残り25分となった。
「エイルちゃん、その……大丈夫なの?」
「ん?ええぇ!大丈夫ですよ!文字通り弾避けにでもなんでもなりますとも!」
訓練の結果、アリエ隊にエイルが参加している。
キリカは腰に帯刀している白打を見た。やる気は分かるし、前線に出たい気持ちもわかる。出来れば後方支援に当たってほしかった。持ち前の魔力を生かしたレーダーとか色々あるじゃん。
エイルを弱いと思っているわけではないが、どうしても死んでしまうのではないかと思ってしまう。
「た、弾避けはやめようね?」
「心配ご無用です。ツルギさんにしごかれておりますので」
キリカが横眼でツルギを見た。
「疑う目で見るな。エイルは強いぞ。オトメよりよっぽどな」
「へぇ」
本当に心配無用だった。魔力総量も上がっているのだろう。
知らないうちに成長してんだなぁ。
「一度に10隻の投入だ。約30分で着く、増援は1時間置きに到着する。作戦終了後、10隻しかないこの船で帰る。人数制限もある。二往復させてやるぞ」
キリカには、ツルギが本質的に死ぬなと言っているのが分かった。
二往復させてやるよ。
「カワセミに二往復はキツイだろうな」
「どして?」
「吐くんだ」
「うぇ。そりゃ可哀想だ」
キリカ、サイケン、カリンの順で並び、一人分の席を空けている。カエデが座っている。
サイケンがいつまでもカワセミとガラスのことを引きずっていた。カリンが同情した。
正面にはエイル、アリエ、ミセット、セツナの順で並んでいる。
「セツナって、二本使うの?」
アリエがセツナの腰にある二本の刀を見ていた。
「使えるものは何でも使おうと思って」
「つ、ツルギさんみたいだね……」
「師匠ぉ……いつまで拗ねてるんです?貴女の方が付き合い上ですって。あぁもう泣かないで」
「だって最近喋ってないもん!」
再度キリカがツルギを横目で見た。そっぽ向かれた。
「ステルスモードに移行します」
SEに通達が入る。浮遊感が伝わってくる。
一度目はスイセンドウ、二度目は再生湖から帰るとき。
四度目で最後にしよう。
10隻の小型飛空艇が北へ発進した。
ーーーーーー
廃ビルの中で一番高い建物の上で遠くを眺めていた。
西側、つまりはライヴ本拠地、マルエルの庭園。数百人規模の軍隊がやってくる。飛空艇、車、乗り物は何でも使っていた。
やる気が伝わってくる。全勢力投入って感じかな。
パララミローでかなり人が死んでいる、1000人は用意できなかったのだろう。
私は庭園に残らずに、温情をかけるように廃ビル群に来たのだ。決戦の誘いに乗らないわけがない。向こうもメリットしかないのだから。
ライヴの方が早く到着するだろう。ECFはきっと飛空艇で突っ込んでくる。来ても一回に、二から三百人程度。そう戦力的にはライヴに軍配が上がる。あのデカ物も来るだろう。
「噂をすればかな?」
キョウスケの正面と左右に黒い金属の塊、ビヨンドが現れた。
三機だ。二機も増えている。これはECFが不利だ。きっと先行してきたのだろう。
おやおや、三機同時にかかれば私を殺せると思っているのかな?
ブースター音が聞こえる。
三機同時にショットガンを構えた。
爆発音が聞こえた時、キョウスケの体が粉々になった。
ビルの屋上に硝煙と肉の臭いが漂った。それを私は確かめる。
「ふー……!」
全力で呼吸する。体は1秒で再生した。
第二波が来る。左右のビヨンドが高出力ブレードを突き刺してくる。
脳が焼ける。肉が焼ける。指先が黒焦げで残った。
「むー、かなり痛い」
この攻撃も1秒で復活した。
正面のビヨンドがライフルを発砲した。
手から骨の盾を作り出して防ぐが、当然のように防御力が足りずに頭がはじけた。
「ハッ……!」
またしても1秒で復活。
真面目に攻撃しよう。
ライフルの銃口が向く。攻撃予測はとっくに見えている。足さばきのみで全て回避していく。
風圧で体が吹き飛ぶ。浮遊した所をショットガンで砕かれた。血がビヨンドにかかった。
キョウスケはその地点で再生し、手から剣を作り出し、脳天から真下に突き刺した。
「防御力が足りないよ」
「……あ」
内部から声が聞こえた。ビヨンドが落下していく。絶命しただろう。
離脱するように兜割・天を発動し、後方のビヨンドに斬りかかった。空中でヒット。コックピット内部を両断した。大きな隙間から血がはじけた。そして当然のように腕が飛んで行った。
「うーん、ECF有利にしちゃったな」
三機目の内部から声がうっすら聞こえた。
キョウスケは浮いている。屋上に戻りたい。攻撃するなら今だ。だがビヨンドは逃走した。
「怖気づいてしまったか、おかげで安全に着地できたが……バランスはちょうどいい」
キョウスケがフックショットで屋上に着地、その時下から二つ音がした。ビヨンドが着地したようだ。この高度から落ちたのだもう動けないだろう。
もっと強い人間が来てほしい。
「そう、サタン、お前に来てほしいのだ」
ーーーーーー
「先行したビヨンド、二機、破壊されました!サタンさん!」
「そうか、殺して再生を繰り返せと言ったのだが……ふむ、奴の方が一歩以上上手か」
進軍しているライヴの先頭、サタンが全員に告げた。
「D9は俺が仕留める。今から指定する3班のみついてこい。屋上の倫理委員を掃討する。残りは地上をやれ」
サタンにメッセージが届いた。
「あ?お前は地上だろヒノキ」
『屋上はいいよ。俺が地上で一番先頭、でいいよね』
「いいぞ。全員は殺すなよ。特にツルギ」
『了解、じゃあキリカは俺がもらう』
ライヴ到着まで残り20分。
ECF到着まで残り25分となった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる