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73.援軍の一撃
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あのユニークスキルは、僕のどの手段を以ても防御できないだろう。
エフェクトシールドならどうだろうか?
魔力反射が付いている、もしかしたら……いや、剣が切断されては攻撃もできない。
「黙ってるなら、こっちからいくよ!」
「(来るか!)こいこい」
見たことのない剣、キリカは武器を媒体にして青の剣閃を使っていたのではないか?
「久しぶりにアドバイスですオトメ」
キョウスケの声が聞こえた頃、キリカの剣撃は目の前だった。
息遣い、攻撃予測で避け切る。
近距離で見て分かったことは、不定形の剣は危ない。
そう、暴れるから。
「あの青の剣閃は、キリカの魔力をとても非効率的に放出し、形作っているものです。どうやらヒエンから得たナゾの力で魔力が再生しているようですが、長くはもたないでしょうけど」
「そうだな、そもそもキリカはエーテル場が軟弱なんだ。いくらヒエンの能力を受け継いでも……」
万物の切断、唯一斬れなかったのはゴールドグリップのみだ。あの仕掛けは一体?
「流石PEのオトメ君、見事。今の私は長期戦が出来ない、だから!」
「おいおい!」
「さらなる魔力放出を確認しました、回避は困難……」
キリカの剣が5倍にも膨張し、周囲の空間を歪めた。
だが、たちまち空間を巻き戻す力も感じた。
「避け……切って!」
振り下ろされる剣閃。
嘗て戦ったTTゴブリンを思い出したが、あのモンスターが用いた剣より巨大、城を切り裂くだろう。
エフェクトシールドは……?忘れた!
というか時間が……!
「(逃げ道は!)」
「フックショット」
「(オッケー!)」
イノセントを左手に、フックショットを右手に装備、キリカの足元近くに射出し、ワイヤーを巻き取る。
きっとキリカには明るすぎて見えないはず。
視界をよぎるエネルギーの塊に髪を少し切られながら回避成功。
フックショット巻き取り後、体をキリカの後ろに張り付くように着地。
その時には青い剣が白い絨毯を切断していた。
「(随分と汚してしまった)ここまでだキリカ、少し頭を冷やそう……時間はまだいっぱいあるさ」
イノセントブレイザーを発動した僕は、キリカに向けて放つ。
両断されたキリカは至って爽やかに振り向いたのだった。
面食らった、ドキッっとした、余計に力が入るような、綺麗に切り裂くつもりだったのに。
「やっぱりオトメ君、避けると……思ってたよ……」
「いや、やっぱり僕にはキョウスケがいないといけなかった、それだけだ……多分」
キリカは気持ちよさそうに眠りについた。
やるだけやってこれかよ。めんどくさいことしてくれたねぇ。別に構いませんけど。
「オトメ、ありがとう、礼を言うぞ」
「カエデ!歩けるか?」
「あぁ、先ほど元気に退散したからな、だが、もう一戦は勘弁してもらいたいものだな……ははは……はぁ……」
「ははは、そうだね……じゃあ後処理しますか!」
僕がキリカを担ぎ上げた。
力が抜けて、少し重く感じる。
それでよかった、ようやく取り戻したのだから。
「とりあえず私たちの勝利でいいな」
「長いようで短かった闘いも終わりだ、キリカを連れて行こう、僕が背負うからカエデは……」
勝利の気に酔っていた。
耳から聞こえる相棒の声すら忘れ気味で、相変わらずだったが、カエデが表情を怖くさせたころから、耳に集中した。
「オトメ、伝達、からの推奨行動、キリカを連れて、玉座からの退避、ECFの高密度エネルギーの塊が飛んできます」
一瞬の無音。ECF?
「オトメ!キリカを連れて走れ!今なら間に合う!クリアは私がどうにかしよう!オトメも人が死ぬのは見たくないだろ!」
「……は?ECF?」
カエデの声が聞こえていなかった。
どうしてここにECFが?
「パターン検知、ツルギの……」
「ツルギさん?」
足は止まった。
思考は止まった。
「『迅雷』きます」
「オトメ!いいか!逃げるか退避、急げ!」
後ろで固いものが割れる音がした。
振り向いた先、クリアが呟いた。
きっと僕にしか聞こえなかったかもしれない。
「わたし……い……から……逃げなさい」
「想定、あと10秒」
キョウスケの告げが入る、それでも目の前のクリアを見逃してもいいのか?
いくら僕らにとって敵のようなものであったとしても、もう抵抗もでっきないじゃないか。
だったら、ケンカの後の仲直りのような風潮で、どうにか?
「グッ!ふ」
「遅い!……悪いなクソッタレ王……」
カエデが僕とキリカの体を掴み、外に走った。
その時、ようやく正気になり、自分が遅かったことによって、仲間までも犠牲にするところだった。
「間に合え……!」
「残り2秒」
「クソッ……え?」
カエデの頭上を飛んで行った何か、竜のような尾は、巨大で、見覚えがあった。
動けるはずがない、だって彼女はカエデが先ほど殺したようなものだったのに。
「マグナ!何を……」
正面の扉から玉座に向かうマグナ、手に持つのは大戦斧インデックスリーパー。
あれでクリアをどうしようと?
「放出」
「来た……万死の一撃だ!」
僕も見た、天の灰のような空を割り、外の風景と接続する。
そこから伸びる雷のような柱、いや、あれは剣だった。
使用者はツルギさんだった。
ECFが助けに来たと感極まると同時に、死の絶望を感じていた。
「間に合え!」
カエデはできるだけ距離を取ろうと走る。
僕とキリカで重いはずなのに、必死に走った。
僕はカエデの上で惨めにカッコ悪く見ていた、雷剣『迅雷』あれは人に使っていいものなのか。
玉座に伸び、貫く直前、一つの大戦斧が宙を駆けた。
「おいっ!」
思わず声が出たのは僕、カエデに掴まれていて、離れるには時間がかかりそうだった。
「暴れるな!」
迅雷と大戦斧がぶつかる。
直後に大爆発、手榴弾の比ではなかった。
巨大爆弾の爆発だった。
衝撃が顔を撫でた時、迅雷は姿を消し、全てが終わった。
結局僕らは今回も人殺しだった。
そうだった。
目的は果たした、だが、これで良かったのだろうか。
エフェクトシールドならどうだろうか?
魔力反射が付いている、もしかしたら……いや、剣が切断されては攻撃もできない。
「黙ってるなら、こっちからいくよ!」
「(来るか!)こいこい」
見たことのない剣、キリカは武器を媒体にして青の剣閃を使っていたのではないか?
「久しぶりにアドバイスですオトメ」
キョウスケの声が聞こえた頃、キリカの剣撃は目の前だった。
息遣い、攻撃予測で避け切る。
近距離で見て分かったことは、不定形の剣は危ない。
そう、暴れるから。
「あの青の剣閃は、キリカの魔力をとても非効率的に放出し、形作っているものです。どうやらヒエンから得たナゾの力で魔力が再生しているようですが、長くはもたないでしょうけど」
「そうだな、そもそもキリカはエーテル場が軟弱なんだ。いくらヒエンの能力を受け継いでも……」
万物の切断、唯一斬れなかったのはゴールドグリップのみだ。あの仕掛けは一体?
「流石PEのオトメ君、見事。今の私は長期戦が出来ない、だから!」
「おいおい!」
「さらなる魔力放出を確認しました、回避は困難……」
キリカの剣が5倍にも膨張し、周囲の空間を歪めた。
だが、たちまち空間を巻き戻す力も感じた。
「避け……切って!」
振り下ろされる剣閃。
嘗て戦ったTTゴブリンを思い出したが、あのモンスターが用いた剣より巨大、城を切り裂くだろう。
エフェクトシールドは……?忘れた!
というか時間が……!
「(逃げ道は!)」
「フックショット」
「(オッケー!)」
イノセントを左手に、フックショットを右手に装備、キリカの足元近くに射出し、ワイヤーを巻き取る。
きっとキリカには明るすぎて見えないはず。
視界をよぎるエネルギーの塊に髪を少し切られながら回避成功。
フックショット巻き取り後、体をキリカの後ろに張り付くように着地。
その時には青い剣が白い絨毯を切断していた。
「(随分と汚してしまった)ここまでだキリカ、少し頭を冷やそう……時間はまだいっぱいあるさ」
イノセントブレイザーを発動した僕は、キリカに向けて放つ。
両断されたキリカは至って爽やかに振り向いたのだった。
面食らった、ドキッっとした、余計に力が入るような、綺麗に切り裂くつもりだったのに。
「やっぱりオトメ君、避けると……思ってたよ……」
「いや、やっぱり僕にはキョウスケがいないといけなかった、それだけだ……多分」
キリカは気持ちよさそうに眠りについた。
やるだけやってこれかよ。めんどくさいことしてくれたねぇ。別に構いませんけど。
「オトメ、ありがとう、礼を言うぞ」
「カエデ!歩けるか?」
「あぁ、先ほど元気に退散したからな、だが、もう一戦は勘弁してもらいたいものだな……ははは……はぁ……」
「ははは、そうだね……じゃあ後処理しますか!」
僕がキリカを担ぎ上げた。
力が抜けて、少し重く感じる。
それでよかった、ようやく取り戻したのだから。
「とりあえず私たちの勝利でいいな」
「長いようで短かった闘いも終わりだ、キリカを連れて行こう、僕が背負うからカエデは……」
勝利の気に酔っていた。
耳から聞こえる相棒の声すら忘れ気味で、相変わらずだったが、カエデが表情を怖くさせたころから、耳に集中した。
「オトメ、伝達、からの推奨行動、キリカを連れて、玉座からの退避、ECFの高密度エネルギーの塊が飛んできます」
一瞬の無音。ECF?
「オトメ!キリカを連れて走れ!今なら間に合う!クリアは私がどうにかしよう!オトメも人が死ぬのは見たくないだろ!」
「……は?ECF?」
カエデの声が聞こえていなかった。
どうしてここにECFが?
「パターン検知、ツルギの……」
「ツルギさん?」
足は止まった。
思考は止まった。
「『迅雷』きます」
「オトメ!いいか!逃げるか退避、急げ!」
後ろで固いものが割れる音がした。
振り向いた先、クリアが呟いた。
きっと僕にしか聞こえなかったかもしれない。
「わたし……い……から……逃げなさい」
「想定、あと10秒」
キョウスケの告げが入る、それでも目の前のクリアを見逃してもいいのか?
いくら僕らにとって敵のようなものであったとしても、もう抵抗もでっきないじゃないか。
だったら、ケンカの後の仲直りのような風潮で、どうにか?
「グッ!ふ」
「遅い!……悪いなクソッタレ王……」
カエデが僕とキリカの体を掴み、外に走った。
その時、ようやく正気になり、自分が遅かったことによって、仲間までも犠牲にするところだった。
「間に合え……!」
「残り2秒」
「クソッ……え?」
カエデの頭上を飛んで行った何か、竜のような尾は、巨大で、見覚えがあった。
動けるはずがない、だって彼女はカエデが先ほど殺したようなものだったのに。
「マグナ!何を……」
正面の扉から玉座に向かうマグナ、手に持つのは大戦斧インデックスリーパー。
あれでクリアをどうしようと?
「放出」
「来た……万死の一撃だ!」
僕も見た、天の灰のような空を割り、外の風景と接続する。
そこから伸びる雷のような柱、いや、あれは剣だった。
使用者はツルギさんだった。
ECFが助けに来たと感極まると同時に、死の絶望を感じていた。
「間に合え!」
カエデはできるだけ距離を取ろうと走る。
僕とキリカで重いはずなのに、必死に走った。
僕はカエデの上で惨めにカッコ悪く見ていた、雷剣『迅雷』あれは人に使っていいものなのか。
玉座に伸び、貫く直前、一つの大戦斧が宙を駆けた。
「おいっ!」
思わず声が出たのは僕、カエデに掴まれていて、離れるには時間がかかりそうだった。
「暴れるな!」
迅雷と大戦斧がぶつかる。
直後に大爆発、手榴弾の比ではなかった。
巨大爆弾の爆発だった。
衝撃が顔を撫でた時、迅雷は姿を消し、全てが終わった。
結局僕らは今回も人殺しだった。
そうだった。
目的は果たした、だが、これで良かったのだろうか。
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