仮想世界β!!

音音てすぃ

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26.ルームメイトと興奮

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 体が痛かった。
 目が覚めた時は四人が収容できる小さな一室の簡易なベッドの上。

「お目覚めですか?」
「訓練中に倒れて……運ばれた、みたいな?」
「推測通りです」

 時計は四時を示している。
 他に三人が寝ている。

「倫理委員会の人達は十七時で業務、訓練等を終えています。オトメはやり過ぎです」
「あぁ、悪夢みたいだったぜ……って……ん?」

 枕元に服が置いてある。

「これって……制服?」
「そうですね、『倫理委員会戦闘対応制服(藍と深翡翠)』です」

 薄暗い部屋で確認した二色、青色と緑色、ツルギさんの服の色と僕の服の色の共存を感じた。間違いなく僕の服だ。

「藍と深翡翠……かっこいいな……」

 早速着用しようとすると、背中を叩かれた。

「うわっ!」

 脅かされた。

「わぁあ!」

 反射で体が飛び上がり、ベッドの上に転がった。

「だ、誰?」
「ルームメイトじゃ。お前が昨日から俺らのブラザーのオトメってやつだな?」
「うん、そう。オトメです」

『カワセミ』Green
相対レベル52(回避補正:30)
・武器:白打(耐久性LV.2、黒、刀)
・防具:綿のシャツ(クソザコ耐久)
・アクセサリ:翡翠の首飾り(不明)
他スキャンを実行していません。

 黒い緑の色の髪。制服を脱いでいるのだろう、Tシャツ一枚と下は制服同色のハーフパンツ。また上半身は筋肉質で日々の訓練の賜物だとわかる。

「お前PE持ちなんだろ?名前当ててくれよ」
「……カワセミ?」
「おぉ!アタリじゃ!ホントに凄いなPEとやらは!」
「なんか、鳥みたいですね」
「おう、鳥にちなんでつけてくれたらしいが……記憶はほとんどないぜ。はっはっは!」
「楽観的ですね……」
「つかお前、訓練あとに風呂入ったのか?って思うくらいにさっぱりしてんな!やっぱ風呂入ったのか?失神しながらとは強者じゃい」

 確かに汗にまみれた体とは思えないくらい体が爽やかだ。
 誰かが僕に水でもかけたのだろうか?
 まさか……な。

「カワセミ、五月蠅いぞ。まだ起床時間じゃない」

 するともう一人起きた。その人は右手でメガネを展開してスタイリッシュに掛ける。

『サイケン』Green
相対レベル60(回避補正:54)
・武器:白打(耐久性LV.2、黒、刀)
・防具:綿のシャツ(綺麗で丈夫)
・アクセサリ:メガネ(チタン製、度が弱い)
他スキャンを実行していません。

 少し長い黒髪、細い四肢と良いコントラストの厚い胴体がカッコイイ。
 眼鏡のレンズを見るかぎり、目が悪いというわけではないようだ。
 背丈が大きくてうらやましい。

「サイケン、新入りのオトメだ挨拶アイサツ!」
「……俺はサイケン、よろしく俺らの最終兵器」
「よ、よろしく」
「そういえばカワセミ、お前オトメが18歳だって知ってたか?お前より歳上だぞ」
「……げっマジかよ俺16なんだけど。オトメさんタメ口きいてごめんなさい!」
「き、気にしなくていいよ、僕もタメ口の方が楽さ」
「まぁ20の俺と16のカワセミがタメなんだ、良いだろう。勿論俺のことをサイケンで呼び捨てで構わない」
「わかった、サイケン、よろしく」

 僕が握手を試みるが、サイケンはそれを無視したのか、もう一人の方向へ向かう。

「スルー!?」
「あぁ、気にすんなオトメ、アイツ照れ臭いだけだから。メガネとか似合わないんだぜ?ツルギさんの真似らしいけど」
「カワセミ何か言ったか?」
「別に」

 サイケンが眠っている四人目を起こす。

「起きてんだろ?」
「バレた?」
「当たり前だ。うるさかったか?」
「まぁね」

『ガラス・エグチ・サイキッカー』Green
相対レベル50(回避補正:22)
・武器:白打(耐久性LV.1、黒、刀)
・防具:綿のシャツ(何かのキャラクターの絵)
・アクセサリ:魔制御環(魔力を抑える:ステージ2)

 まず名前が長い。
 小柄で第一印象だと女性と間違えてしまうかも。
 主色の黒髪を後ろで結んでいて、左のもみあげから広範囲で白髪シロカミが侵食している。

「16歳です」

 あらかじめキョウスケが教えてくれた。

「名前長いね」
「ぼ、ボクの名前わかるの?」

 目に緊張が感じられた。どうしたんだろう。

「ガ……」
「言わないで……!」

 急に制された。彼にとってのアイデンティティなのか、何かの理由があるだろう。ここは言わないでおこう。

「う、うん言わないよ!」
「すごいな、ガラスの名前がわかるのか」

 サイケンの反応からすると、カワセミとサイケンはガラスくんの名前がわからないのかな?

「俺らガラスの名前ガラスまでしか知らねぇんだよな。つーかガラスって硝子かよってな!」
「それを言うならお前もカワセミって翡翠かよって言われるよ。ボクだけじゃないよ」

 カワセミに食いついたガラスは僕の方を向き直した。

「まず名前言わなくてありがとう。ボクはガラスで呼んでね。カワセミと同い年だけどタメでいいよね?」
「ああもちろん、よろしくガラス、僕はオトメ。目はキョウスケね」
「ナゼ私まで紹介を?」
「きっとまた独り言が多くなるだろ?」

 僕の一言に三人が目を開く。

「わ、分かった……目を名前で呼ぶのには抵抗があるが……(PEってすごいな)」
「よろしくなキョウスケ!」
「よろしくキョウスケ」

「そういえばルームメイトって言ってたけど……」
「あぁ、カワセミが出しゃばったやつだな。俺ら四人はルーム210のメンバー、他に部屋は二百部屋はあるかな、その中の一つ。オトメは訓練中の気絶で連れてこられたから地理がわからないかもしれないから俺らについてくるといい。つーかツルギさんは説明しなかったのか?」

 僕は首を横に振る。

「あの人も散々適当だな。戦うこと以外がガバなんだよな」
「出た出た、サイケンのツルギさん知ってるぜアピール。大した接点ないくせに」
「なっ……!いや、大体間違ってないはずだぞ!」
「ムキになってんじゃー!」
「ガラスくん、二人はあんな感じ?」
「うん、やっぱり仲いいよね」

「(ゴホン!)俺らはルームメイトだ、だからこの四人の事は四人の責任となる」
「連帯責任ってやつじゃい」
「どういうこと?」
「今俺らは見た目ではわからないだろうが、とても気が重い」
「僕が新人だから?」
「……今はまだ五時にすらなってないが、起床時間六時になれば俺らの活動が始まる」
「あぁ僕が一日のスケジュールを知らないからって……」
「違うんじゃオトメ」
「まぁ朝まで時間はあるだろう……練習だな」
「な、何の?」

 三人は声を揃える。それは僕の心に圧力を加えるものだった。

「ベッドメイキングだ」
「ベッドメイキングじゃい」
「ベッドメイキングだよ」
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