お願いだから噛んで欲しい!

そらうみ

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友人にひかれている俺

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俺は今、放課後の教室で机に項垂れていた。
いつものように、教室には俺とりょうしかいない。

亮は先ほどから、項垂れる俺には気にもせず、俺の前の席で勉強をしている。
俺は顔を上げずに話し出した。

「アルファが…いない」

亮からの返事はなく、ノートに書き付ける音だけが聞こえる。
俺は構わずに話し続けた。

「色々な運動部の部活見学に行ったんだ。アルファって部活で活躍してるかなと思って…。
それぞれの部活で、その競技が上手いやつは沢山いたけど、正直誰がアルファなのか分からなかった…」

亮は黙々と勉強を続けている。
俺は顔を上げ、亮の背中に向かって真剣に話す。

「俺…もうダメかもしれない…この前も、男に襲われている夢まで見てしまった」

そこで亮の動きがピタッと止まり、振り返って俺を見た。
その表情に驚きもなく、真剣に俺を見ていた。

れん…それ、俺に話す?」

「俺の遺言。俺は最後まで希望を捨てなかった」

「もう終わろうとしてるな。
そんな夢の内容を暴露するほど、蓮が追い詰められていることが分かった。
蓮が部活見学するって事は、もちろん男子の部活だよな?
蓮は…男のアルファを探しているのか」

亮は手にしていたシャーペンを置き、体全体を俺に向けた。そして、両手を俺の肩に置く。

亮は今までに無いほど真剣な顔をしていた。俺も思わず真剣に見つめ返す。
すると、ゆっくりと亮が話始めた。

「蓮…テスト一週間前だけど、勉強してる?」

「…テスト一週間前で勉強する奴っているの?」

「普段から勉強して、テスト前にテスト範囲を復習する」

「俺テスト勉強って、一夜漬けしかした事ない」

「…蓮、まずは勉強しよう。テストが終わってからアルファの事は考えよう。
俺も一緒に考えるからさ」

そう言って、亮はぽんぽんと俺の肩を叩く。

そうだな。悩んでいても仕方がない。まずは学業に励もう。
その後で、アルファについて考えたらいいか。

俺は亮に微笑んだ。

「そうだな。テストに向けて勉強する。
じゃあまずは…テスト範囲どこかと、ノート見せて下さい」

亮は肩に置いた両手を、そのまま俺の両頬へと持っていき、思いっきりつねってきた。


すごく痛かった。
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