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捜索隊動く
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クラーラを追い出した王は騎士団に捜索隊を組織させて後を追うよう厳命した。
「良いか、シェイド様はたいへんお怒りだ!このように私に呪いをおかけになったのだ、いまは一部の者にだけ怒りを露わにしておるが国全体に咎が及ぶのは目に見えておる!なにがなんでも探し出せ!」
鼻息荒くそう宣う王に騎士たちはざわめく、そもそもな話、とばっちりも同然なのだから当たり前た。それでも大将校は騎士達を集めて至急に捜索隊を纏めた。
「たかが小娘ひとりと思うな!相手は精霊神の嫁子なのだ心してかかれ!」
「御意!」
屈強な騎士が集まり騎馬隊を組む、さっそく斥候を放ち仰々しい隊列は動ぎ出した。
王都民はいったい何事かと戦々恐々だ、だれも娘ひとりのために行っているなど想像がつくわけもない。
「戦争でもおっぱじめる気じゃないのか?」
「しっ!滅多なことをいうない、そうだとしたらこれは大事だ」
行商人たちがすぐさま気が付いて噂を撒いた、ありもしない出鱈目だったが人はそういうものに食いつきがちだ。やがて噂は国全土に及び流通が滞り始めた。それだけではない一部の者は国を棄てて出奔した者まで出た。
いままでは普通に手に入っていた酒類が手に入らなくなった国王はどういうことかと頭を捻る。
「父上、私めが樽酒をせしめて参ります、ついでに流通の流れの妨げを調べて参りましょう」
下半身がムカデのトマスが不気味な形でそう言って来た。異形特有の気味の悪さをした息子を王は嫌そうな顔をして眺める。
「ふむ、そうかならば動いてみせよ。助け船はださんぞ」
「わかっておりますよ、父上。少しでも汚名返上をしたいと思っています」
殊勝なことをいう息子の言い分を聞いた王は「いまさら」と思ったが、酒は欲しい。そういう事ならば任せようと判断した。
「ふふふ……国を出る許可が下りたぞ。これであの娘を捜索できるというもの。誰よりも先に娘をクラーラを追いかけ手に入れるのだ!」
彼の中でのシナリオはシェイドを出し抜く事だ、あれほど恐ろしい目にあったというのに懲りない愚かさだ。駆け引きの材料にクラーラを探し出す算段なのだ。
「私に付いてくる者はおるか!褒章は思いのままだ、存分に働け!」
ギチギチと恐ろしいムカデの足をひけらかし毒針を見せる王子に躊躇する騎士や侍従たちだ、だがそれでも一旗揚げたいと思う若者はいる。こうして王子率いる捜索隊が結成されたのだ。
一方で思わぬ足止めを食らったシェイドはガウドの町に滞在していた。
ギルドに立ち寄ったはいいが、魔物と勘違いされて一騒動起こしていた。それはそうだろう、羽を生やした怪人物がやってきて「クラーラはどこだ!」と叫んだのだから。
「だから私は精霊神シェイドだといっておろうが、ほれこの通り翼を出し入れできるのだ!」
彼はバサバサと翼を閉じて説明したのだがギルマスも従業員も胡乱な目で睨んでくる。仕方ない事だと思う。
精霊神の所業でもってひと暴れすれば解決できそうだったが、正しい心を持った者には闇の力はいまひとつ及ばないのだ。
ひと悶着あったが”ララ”という少女の話を聞くことが出来た。
「私はリン、彼女とは友人だよ、とても良くして貰ったの」
「おおそうか、それで彼女はどこに行ったのかわかるか?」
「……」
「おい!頼むよ、急いでいるのだ、この私の嫁にする為にな」
「嫁ぇ?彼女はまだ15歳だよ、後三年はできないよ。そういう決まりだもの」
「う……嫁候補なのだ、頼むこの通り!」
正の心を持ったリンを前にして、精霊神は成す術がない。どうにかこうにか泣き落としてやっと情報を得た。
「彼女を泣かせたら容赦しないからね!」
「ああ、肝に銘じるぞ。それでどこへ行ったのだ?」
グエンドローという町へ行ったと聞かされたシェイドは満面の笑みを浮かべて感謝した。
「褒美だ受け取るが良い!」
「ひえ!?」
彼は黄金の木を生やして褒美とした、腰を抜かしたリンは「やっぱり化物だ~」と叫んだのだ。
「良いか、シェイド様はたいへんお怒りだ!このように私に呪いをおかけになったのだ、いまは一部の者にだけ怒りを露わにしておるが国全体に咎が及ぶのは目に見えておる!なにがなんでも探し出せ!」
鼻息荒くそう宣う王に騎士たちはざわめく、そもそもな話、とばっちりも同然なのだから当たり前た。それでも大将校は騎士達を集めて至急に捜索隊を纏めた。
「たかが小娘ひとりと思うな!相手は精霊神の嫁子なのだ心してかかれ!」
「御意!」
屈強な騎士が集まり騎馬隊を組む、さっそく斥候を放ち仰々しい隊列は動ぎ出した。
王都民はいったい何事かと戦々恐々だ、だれも娘ひとりのために行っているなど想像がつくわけもない。
「戦争でもおっぱじめる気じゃないのか?」
「しっ!滅多なことをいうない、そうだとしたらこれは大事だ」
行商人たちがすぐさま気が付いて噂を撒いた、ありもしない出鱈目だったが人はそういうものに食いつきがちだ。やがて噂は国全土に及び流通が滞り始めた。それだけではない一部の者は国を棄てて出奔した者まで出た。
いままでは普通に手に入っていた酒類が手に入らなくなった国王はどういうことかと頭を捻る。
「父上、私めが樽酒をせしめて参ります、ついでに流通の流れの妨げを調べて参りましょう」
下半身がムカデのトマスが不気味な形でそう言って来た。異形特有の気味の悪さをした息子を王は嫌そうな顔をして眺める。
「ふむ、そうかならば動いてみせよ。助け船はださんぞ」
「わかっておりますよ、父上。少しでも汚名返上をしたいと思っています」
殊勝なことをいう息子の言い分を聞いた王は「いまさら」と思ったが、酒は欲しい。そういう事ならば任せようと判断した。
「ふふふ……国を出る許可が下りたぞ。これであの娘を捜索できるというもの。誰よりも先に娘をクラーラを追いかけ手に入れるのだ!」
彼の中でのシナリオはシェイドを出し抜く事だ、あれほど恐ろしい目にあったというのに懲りない愚かさだ。駆け引きの材料にクラーラを探し出す算段なのだ。
「私に付いてくる者はおるか!褒章は思いのままだ、存分に働け!」
ギチギチと恐ろしいムカデの足をひけらかし毒針を見せる王子に躊躇する騎士や侍従たちだ、だがそれでも一旗揚げたいと思う若者はいる。こうして王子率いる捜索隊が結成されたのだ。
一方で思わぬ足止めを食らったシェイドはガウドの町に滞在していた。
ギルドに立ち寄ったはいいが、魔物と勘違いされて一騒動起こしていた。それはそうだろう、羽を生やした怪人物がやってきて「クラーラはどこだ!」と叫んだのだから。
「だから私は精霊神シェイドだといっておろうが、ほれこの通り翼を出し入れできるのだ!」
彼はバサバサと翼を閉じて説明したのだがギルマスも従業員も胡乱な目で睨んでくる。仕方ない事だと思う。
精霊神の所業でもってひと暴れすれば解決できそうだったが、正しい心を持った者には闇の力はいまひとつ及ばないのだ。
ひと悶着あったが”ララ”という少女の話を聞くことが出来た。
「私はリン、彼女とは友人だよ、とても良くして貰ったの」
「おおそうか、それで彼女はどこに行ったのかわかるか?」
「……」
「おい!頼むよ、急いでいるのだ、この私の嫁にする為にな」
「嫁ぇ?彼女はまだ15歳だよ、後三年はできないよ。そういう決まりだもの」
「う……嫁候補なのだ、頼むこの通り!」
正の心を持ったリンを前にして、精霊神は成す術がない。どうにかこうにか泣き落としてやっと情報を得た。
「彼女を泣かせたら容赦しないからね!」
「ああ、肝に銘じるぞ。それでどこへ行ったのだ?」
グエンドローという町へ行ったと聞かされたシェイドは満面の笑みを浮かべて感謝した。
「褒美だ受け取るが良い!」
「ひえ!?」
彼は黄金の木を生やして褒美とした、腰を抜かしたリンは「やっぱり化物だ~」と叫んだのだ。
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