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トシを考えなさい
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「あれ、すぅ姉なんでまだいるの?」
すると更紗が起きてきて、ダイニングへとやってきた。大抵鈴夏が出かけた後に起きるのに、鈴夏がバタバタといつも通りに準備していないことに気づいたらしい。
「体……痛い……」
「ちょっと! 声どうしたの!?」
体が痛いとしか言っていないのに、更紗は鈴夏の喉の異変に目をひん剥いた。
「いや、昨日……ちょっと……」
「あーわかった。もしかして昨日、デートで色々ヤりすぎた?」
更紗はこういうときの勘が冴えている。でもその通りだったから、鈴夏はそのまま力なく頷くしかなかった。
「そっか……ふ、ふふ……あははははははは!」
どうやら察したらしく、更紗が腹を抱えて笑い出す。あまりに傑作だったのか、ダイニングテーブルもバンバンと叩いていた。直接的なことは言わなかったけど、こういうときの女の勘や察する能力は恐ろしいとも思った。
「そんなに笑わないでよ」
「いやだってさぁ! ははは! すぅ姉まじ青春しすぎでしょ」
掠れた声でそう訴えても、更紗の笑いが止まらない。ここまで笑われると、トシを考えずにホテルで龍大と体を交えたことに顔が熱を持ってくる。体を交わったこと自体はどうでもいい。自分のトシを甘く見ていたことが、心底痛々しい。
「ヤりすぎて体痛くて喉カスカスってさぁ! あっはははは」
「笑いすぎだって……」
「ごめんごめん。それくらい羨ましいんだよ~。仲良くやってるじゃんすぅ姉」
「いや、もうホント……トシ考えてなかった……」
羨ましいと言ってはくれたものの、やっぱり鈴夏にとっては痛々しい現実が自分に刺さってくるようだった。
「まぁまぁそんな落ち込まずにさ、そんなにしんどいなら今日会社休みなよ。整体とか行ってきな~」
「うっ……休みたくない」
「だぁめ、今こそトシを考えるべきタイミングじゃん。今のすぅ姉が家出てったらベビーカーに轢かれちゃう~! あはははは!」
更紗はまだ笑っていたが、確かにその通りだ。『ベビーカーに轢かれる』は誇張しすぎていて少し頭に血が上る思いがしたけど、今日は休むべきだろう。トシを考えないといけない。鈴夏も32歳という年齢を認識しなきゃいけないのが、こんなにつらいとは思っていなかった。
鈴夏はスマホを手に取り、会社に電話をかけた。しかも上司の野瀬が電話を取っていた。
「もしもし……鷲尾です。野瀬さん……あの、すみませんが今日体調崩していて……」
「体調? 昨日も休んでたし、今やってる案件大丈夫なの?」
「は、はい……なんとか」
「もう、アンタのこと頼りにしてるんだから、今日しっかり休みなさいよ」
「はい、わかりました……」
なにか怒られるかもしれないと思ったが、しっかり休めと言われたのでそれはちゃんと実行しないといけない。鈴夏は更紗の手を借りながら朝の支度をし、体調が崩れたときにお世話になっている整体院へと出向いた。
筋肉痛で硬くなった体を存分にほぐしてもらうと、だいぶ楽に動かせるようにはなった。でも、整体院から帰る途中でスマホを見てみると、龍大から「今日は小春ベーカリー来ないの?」と連絡が来ていた。「昨日のホテルでの出来事が最高すぎたから休んじゃった」なんて、鈴夏には言えなかった。30代にもなって、こんな色ごとにうつつを抜かして体調崩したことが痛々しい。
鈴夏は「今日遅刻しちゃったから」と返信して、家へと戻った。
すると更紗が起きてきて、ダイニングへとやってきた。大抵鈴夏が出かけた後に起きるのに、鈴夏がバタバタといつも通りに準備していないことに気づいたらしい。
「体……痛い……」
「ちょっと! 声どうしたの!?」
体が痛いとしか言っていないのに、更紗は鈴夏の喉の異変に目をひん剥いた。
「いや、昨日……ちょっと……」
「あーわかった。もしかして昨日、デートで色々ヤりすぎた?」
更紗はこういうときの勘が冴えている。でもその通りだったから、鈴夏はそのまま力なく頷くしかなかった。
「そっか……ふ、ふふ……あははははははは!」
どうやら察したらしく、更紗が腹を抱えて笑い出す。あまりに傑作だったのか、ダイニングテーブルもバンバンと叩いていた。直接的なことは言わなかったけど、こういうときの女の勘や察する能力は恐ろしいとも思った。
「そんなに笑わないでよ」
「いやだってさぁ! ははは! すぅ姉まじ青春しすぎでしょ」
掠れた声でそう訴えても、更紗の笑いが止まらない。ここまで笑われると、トシを考えずにホテルで龍大と体を交えたことに顔が熱を持ってくる。体を交わったこと自体はどうでもいい。自分のトシを甘く見ていたことが、心底痛々しい。
「ヤりすぎて体痛くて喉カスカスってさぁ! あっはははは」
「笑いすぎだって……」
「ごめんごめん。それくらい羨ましいんだよ~。仲良くやってるじゃんすぅ姉」
「いや、もうホント……トシ考えてなかった……」
羨ましいと言ってはくれたものの、やっぱり鈴夏にとっては痛々しい現実が自分に刺さってくるようだった。
「まぁまぁそんな落ち込まずにさ、そんなにしんどいなら今日会社休みなよ。整体とか行ってきな~」
「うっ……休みたくない」
「だぁめ、今こそトシを考えるべきタイミングじゃん。今のすぅ姉が家出てったらベビーカーに轢かれちゃう~! あはははは!」
更紗はまだ笑っていたが、確かにその通りだ。『ベビーカーに轢かれる』は誇張しすぎていて少し頭に血が上る思いがしたけど、今日は休むべきだろう。トシを考えないといけない。鈴夏も32歳という年齢を認識しなきゃいけないのが、こんなにつらいとは思っていなかった。
鈴夏はスマホを手に取り、会社に電話をかけた。しかも上司の野瀬が電話を取っていた。
「もしもし……鷲尾です。野瀬さん……あの、すみませんが今日体調崩していて……」
「体調? 昨日も休んでたし、今やってる案件大丈夫なの?」
「は、はい……なんとか」
「もう、アンタのこと頼りにしてるんだから、今日しっかり休みなさいよ」
「はい、わかりました……」
なにか怒られるかもしれないと思ったが、しっかり休めと言われたのでそれはちゃんと実行しないといけない。鈴夏は更紗の手を借りながら朝の支度をし、体調が崩れたときにお世話になっている整体院へと出向いた。
筋肉痛で硬くなった体を存分にほぐしてもらうと、だいぶ楽に動かせるようにはなった。でも、整体院から帰る途中でスマホを見てみると、龍大から「今日は小春ベーカリー来ないの?」と連絡が来ていた。「昨日のホテルでの出来事が最高すぎたから休んじゃった」なんて、鈴夏には言えなかった。30代にもなって、こんな色ごとにうつつを抜かして体調崩したことが痛々しい。
鈴夏は「今日遅刻しちゃったから」と返信して、家へと戻った。
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