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トシを考えなさい
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お互いの体を離し、欲望を吐き出したコンドームを再び捨てた。産まれたままの姿でベッドの中に入り、少しの間肌が触れ合う時間を味わう。
今日は泊まりの準備をしていないし、翌日ふたりとも仕事があるから帰らなければいけない。その現実から目を逸らしたくて、鈴夏はついわがままをこぼしてしまう。
「うーん……やだな」
「なにが?」
「……帰りたくない」
「……俺も」
「でも帰んないとね……」
ふたりとも社会人だし、ずっとこのままでいるわけにはいかない。こういうときは、気合で乗り切るしかない。鈴夏も今まで、こうして自分を奮い立たせてきたからだ。
「じゃあ、あと5秒で起きて準備しよ!」
鈴夏が54321とカウントダウンする。本来の秒数よりは幾分遅い数え方だった。
0になった瞬間、ふたりで布団を除けて服を着始めた。こういうときは、お互いに着せ合っているヒマはない。そんなことをしていれば、また龍大に甘えたくなってしまう。
服を着終えて、荷物もまとめてホテルを出る。ホテルの休憩代は、すべて鈴夏が払うことにした。龍大も財布から出そうとしたが、それは鈴夏が阻止した。
「ダメ。今日は私が誘ったようなもんだし、たっちゃんの今日の運転代も入ってるから」
ふたりともわかっている。鈴夏の方が収入が多いことくらい。
だから今日の運転代なんていうのは、言い訳だ。
部屋の中にある自動精算機でお金を払い、部屋を出ていった。
心地よい疲労感が全身にまわって、龍大が運転する車の助手席で帰る途中も寝そうだった。でも、運転している龍大だって眠いはず。そんな状況で、ウトウト寝るわけにはいかなかった。
ふたりとも疲れていたのか、あまり会話を交わさず鈴夏の家に着いた。湯船に浸かる体力もなく、簡単に全身洗ってメイクを落とし、スキンケアをした。
更紗が今日起こったことを話せと言ってきたが、そんな体力はもうとっくにない。明日話すからと言って、快楽のせいで空っぽになった体をベッドへなげうった。
しかし次の日、久々に感じる体の痛みがあった。これは鈴夏にも覚えがある。筋肉痛だ。
「いっだ……」
起き上がるのもやっとな体を起こしてみると、体が硬くて動きづらい。起き上がるのもつらいのに、歩くと昨日の疲れを引きずっていて体も重たい。そして腹筋がいちばん痛い。
「ヤ、やばいかも……」
やっとの思いで洗面所に来たが、顔を洗うときに背中を曲げるだけでも痛みが走る。泡で出る洗顔料で顔を洗い、すすいでタオルで拭いたあと、鏡を見たら明らかにクマが濃くやつれていていた。
「げほっ! えっ……」
しかも不意に咳をしたら、なんだか喉の様子もおかしい。明らかに掠れているし、大声を張り上げた翌日のような感覚がある。
一旦部屋に戻ってスマホをキッチンに持ってくるが、歩いてくるだけでも体が悲鳴をあげていた。ダイニングテーブルのチェアに座ると、吸われた安心感でぐったりとしてそのまま突っ伏してしまう。
――このままだと会社行けない……。
あと40分もすれば、家を出ないと会社の始業時刻に間に合わない。なのに、体が上手く動いてくれない。このもどかしさをどうすることもできず、ぼんやりとした頭の中で休む選択肢がウロウロと浮かび始める。
今受けている案件もあるし、昨日は私用で有給を取って、キャンプした挙げ句ラブホテルへ行った。そんな中今日休むことに罪悪感がある。
今日は泊まりの準備をしていないし、翌日ふたりとも仕事があるから帰らなければいけない。その現実から目を逸らしたくて、鈴夏はついわがままをこぼしてしまう。
「うーん……やだな」
「なにが?」
「……帰りたくない」
「……俺も」
「でも帰んないとね……」
ふたりとも社会人だし、ずっとこのままでいるわけにはいかない。こういうときは、気合で乗り切るしかない。鈴夏も今まで、こうして自分を奮い立たせてきたからだ。
「じゃあ、あと5秒で起きて準備しよ!」
鈴夏が54321とカウントダウンする。本来の秒数よりは幾分遅い数え方だった。
0になった瞬間、ふたりで布団を除けて服を着始めた。こういうときは、お互いに着せ合っているヒマはない。そんなことをしていれば、また龍大に甘えたくなってしまう。
服を着終えて、荷物もまとめてホテルを出る。ホテルの休憩代は、すべて鈴夏が払うことにした。龍大も財布から出そうとしたが、それは鈴夏が阻止した。
「ダメ。今日は私が誘ったようなもんだし、たっちゃんの今日の運転代も入ってるから」
ふたりともわかっている。鈴夏の方が収入が多いことくらい。
だから今日の運転代なんていうのは、言い訳だ。
部屋の中にある自動精算機でお金を払い、部屋を出ていった。
心地よい疲労感が全身にまわって、龍大が運転する車の助手席で帰る途中も寝そうだった。でも、運転している龍大だって眠いはず。そんな状況で、ウトウト寝るわけにはいかなかった。
ふたりとも疲れていたのか、あまり会話を交わさず鈴夏の家に着いた。湯船に浸かる体力もなく、簡単に全身洗ってメイクを落とし、スキンケアをした。
更紗が今日起こったことを話せと言ってきたが、そんな体力はもうとっくにない。明日話すからと言って、快楽のせいで空っぽになった体をベッドへなげうった。
しかし次の日、久々に感じる体の痛みがあった。これは鈴夏にも覚えがある。筋肉痛だ。
「いっだ……」
起き上がるのもやっとな体を起こしてみると、体が硬くて動きづらい。起き上がるのもつらいのに、歩くと昨日の疲れを引きずっていて体も重たい。そして腹筋がいちばん痛い。
「ヤ、やばいかも……」
やっとの思いで洗面所に来たが、顔を洗うときに背中を曲げるだけでも痛みが走る。泡で出る洗顔料で顔を洗い、すすいでタオルで拭いたあと、鏡を見たら明らかにクマが濃くやつれていていた。
「げほっ! えっ……」
しかも不意に咳をしたら、なんだか喉の様子もおかしい。明らかに掠れているし、大声を張り上げた翌日のような感覚がある。
一旦部屋に戻ってスマホをキッチンに持ってくるが、歩いてくるだけでも体が悲鳴をあげていた。ダイニングテーブルのチェアに座ると、吸われた安心感でぐったりとしてそのまま突っ伏してしまう。
――このままだと会社行けない……。
あと40分もすれば、家を出ないと会社の始業時刻に間に合わない。なのに、体が上手く動いてくれない。このもどかしさをどうすることもできず、ぼんやりとした頭の中で休む選択肢がウロウロと浮かび始める。
今受けている案件もあるし、昨日は私用で有給を取って、キャンプした挙げ句ラブホテルへ行った。そんな中今日休むことに罪悪感がある。
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