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一章 空回りな王様
陛下の話
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2人だけで話をするため、廊下の突き当たり少し前にある執務室へと向かう。兄上が当主を引き継いだら、突き当たりにある、部屋が使えるのに…。
まあ、結婚式をしてすぐに継ぐというわけにもいかないから、仕方がないが。
扉を開けると、机の上の書類の山が目に入る。だが、俺が王都に行く前より山の数が減っていた。
「兄上、だんだん書類の量も落ち着いて来ましたね。」
「ああ、まだまだ多いが、少しは楽になったよ。」
俺がいない間にも、仕事はきちんと回っていたみたいだ。なんだか、俺がいなくても大丈夫だと証明されたみたいで少し悔しい。
そんな俺の気持ちを見透かしたように兄上が口を開いた。
「ユニが王都に行く前に、大体の書類を整理していってくれたからな。仕分ける時間が減って余裕をもって作業できたよ。」
…こういうところだよ、こういうところ。サラッと嬉しい言葉を言ってくれるからキリル嬢も兄上に惚れてるんだ。
はぁ…。俺が兄上に勝てる日とか一生こない気さえしてくる。
両手で顔を覆いながらもソファに座る。兄上も俺と話すために反対側のソファに座った。
「それで…やっぱり何かあったんだよな?手紙には『陛下に会った。試験が受けられなかった。そろそろ帰ると思う。』しか書いてなかったから状況がよくわからなかったんだよ。」
「それは…すみません。」
「ユニは手紙になると急に口下手になるからなぁ。」
兄上が呆れるように笑った。というか、伝わっていないのに、よく俺の状況が分かったな…。兄上は超能力者かなになのか?
「そういう兄上は手紙が長すぎますよ。読むのに3時間もかかったんですから。」
「そんなにかかったのかい?30分くらいで書いたんだけど…。」
いや、早すぎだろ…。どんな速度で書いたら30分で書き終わるんだあの量。
「…それでユニ、ラインハルトと何かあったんだろう?」
ラインハルト、と呼び捨てにしているあたり仲がいいというのは本当らしい。
「あの…王都の邸宅に着いた夜に告白されたんです。花とメッセージカードが届いててそこにいったら、陛下がいたのですが…一目惚れしたと言われまして。俺、そんな男が惚れるような女顔でもないですし、ほんとわけわかんないですけど…。」
「……あいつ、僕のいうことなど聞きやしない。」
「兄上は、陛下に何か手紙でも送っていたのですか?」
「ああ、ラインハルトは落ち着いて考えるというよりも思いついたことは即行動ってタイプだから、人の忠告を聞くようなやつではないのはわかってたけど、ないよりはマシかと思って手紙を送ってたんだ…。役には立てなかったみたいだね。」
「い、いえ兄上が悪いわけでは…。それに陛下との出会いは悪いことだけでもないというか…。」
「何かいいことでもあった?」
「そういうわけでもないんですが…。一度は試験の邪魔までされてしまいましたけど、なんだかんだ一緒に過ごして楽しかったので。」
「…ユニは僕と似てるね。一緒にいると振り回されてうんざりするのにだんだん楽しくなって来ちゃうんだよね。それがラインハルトのすごいところではあるんだけど。」
兄上も同じように思ってたのか…。陛下には周りを魅了する変な魅力があるんだな。へんなって言い方は失礼かもしれないけれど。
「それでユニは告白になんて返事したの?」
「…あの、返事はまだしてなくて。待ってもらってるんです、俺の気持ちがはっきりするまで。」
「はっきりするまでって…ユニはあいつに好意を抱いてるってこと?」
「恋愛感情とまではいきませんけど…。嫌いではないです。俺は結婚できそうにもないですし、アリなのかもしれないと思って。」
「…。」
「どうかしましたか?兄上。」
「あのそのことなんだけど、その結婚できないとかユニがモテてないっていうのはユニの勘違いだから。」
「え⁈どういうことですか、兄上⁉︎」
勘違いって、え、だって俺今まですごいフラれてきたのに⁈俺から告白してやっと付き合えたって子にもフラれてきたのに⁈
「ラインハルトが…やってたんだよ。ユニに恋人ができないようにって。流石に付き合う前から圧力かけてたら、問題だから付き合ってすぐに…。まあそれもダメなことなんだけど。」
「へ…?兄上知ってて教えてくれなかったんですか⁈どうして…!」
「僕も止めようとしてたんだけど、どうしても聞かなくて…。フラれて悲しんでるユニに追い討ちをかけるのも悪いと思ったんだ。その、ごめん。」
兄上が俺に頭を下げる。…兄上は止めようとしてくれていたわけだし。そこまで怒っているわけでもないけれど。
ペチっと頭に手を当てた。
「これで許してあげます。」
こちらをチラリと伺い見ていた兄上がパァっと顔を輝かせる。
「ほんとうに⁉︎ありがとう、ユニ!」
ガバッと頭に抱きつかれる。小さなテーブルが間にあるため、頭を少し前に突き出す体勢になる。これちょっとキツいかもしれない…。
頭にグリグリとすり寄る兄上を見て、なんとなくもう少しだけ待ってあげようかという気になった。
まあ、結婚式をしてすぐに継ぐというわけにもいかないから、仕方がないが。
扉を開けると、机の上の書類の山が目に入る。だが、俺が王都に行く前より山の数が減っていた。
「兄上、だんだん書類の量も落ち着いて来ましたね。」
「ああ、まだまだ多いが、少しは楽になったよ。」
俺がいない間にも、仕事はきちんと回っていたみたいだ。なんだか、俺がいなくても大丈夫だと証明されたみたいで少し悔しい。
そんな俺の気持ちを見透かしたように兄上が口を開いた。
「ユニが王都に行く前に、大体の書類を整理していってくれたからな。仕分ける時間が減って余裕をもって作業できたよ。」
…こういうところだよ、こういうところ。サラッと嬉しい言葉を言ってくれるからキリル嬢も兄上に惚れてるんだ。
はぁ…。俺が兄上に勝てる日とか一生こない気さえしてくる。
両手で顔を覆いながらもソファに座る。兄上も俺と話すために反対側のソファに座った。
「それで…やっぱり何かあったんだよな?手紙には『陛下に会った。試験が受けられなかった。そろそろ帰ると思う。』しか書いてなかったから状況がよくわからなかったんだよ。」
「それは…すみません。」
「ユニは手紙になると急に口下手になるからなぁ。」
兄上が呆れるように笑った。というか、伝わっていないのに、よく俺の状況が分かったな…。兄上は超能力者かなになのか?
「そういう兄上は手紙が長すぎますよ。読むのに3時間もかかったんですから。」
「そんなにかかったのかい?30分くらいで書いたんだけど…。」
いや、早すぎだろ…。どんな速度で書いたら30分で書き終わるんだあの量。
「…それでユニ、ラインハルトと何かあったんだろう?」
ラインハルト、と呼び捨てにしているあたり仲がいいというのは本当らしい。
「あの…王都の邸宅に着いた夜に告白されたんです。花とメッセージカードが届いててそこにいったら、陛下がいたのですが…一目惚れしたと言われまして。俺、そんな男が惚れるような女顔でもないですし、ほんとわけわかんないですけど…。」
「……あいつ、僕のいうことなど聞きやしない。」
「兄上は、陛下に何か手紙でも送っていたのですか?」
「ああ、ラインハルトは落ち着いて考えるというよりも思いついたことは即行動ってタイプだから、人の忠告を聞くようなやつではないのはわかってたけど、ないよりはマシかと思って手紙を送ってたんだ…。役には立てなかったみたいだね。」
「い、いえ兄上が悪いわけでは…。それに陛下との出会いは悪いことだけでもないというか…。」
「何かいいことでもあった?」
「そういうわけでもないんですが…。一度は試験の邪魔までされてしまいましたけど、なんだかんだ一緒に過ごして楽しかったので。」
「…ユニは僕と似てるね。一緒にいると振り回されてうんざりするのにだんだん楽しくなって来ちゃうんだよね。それがラインハルトのすごいところではあるんだけど。」
兄上も同じように思ってたのか…。陛下には周りを魅了する変な魅力があるんだな。へんなって言い方は失礼かもしれないけれど。
「それでユニは告白になんて返事したの?」
「…あの、返事はまだしてなくて。待ってもらってるんです、俺の気持ちがはっきりするまで。」
「はっきりするまでって…ユニはあいつに好意を抱いてるってこと?」
「恋愛感情とまではいきませんけど…。嫌いではないです。俺は結婚できそうにもないですし、アリなのかもしれないと思って。」
「…。」
「どうかしましたか?兄上。」
「あのそのことなんだけど、その結婚できないとかユニがモテてないっていうのはユニの勘違いだから。」
「え⁈どういうことですか、兄上⁉︎」
勘違いって、え、だって俺今まですごいフラれてきたのに⁈俺から告白してやっと付き合えたって子にもフラれてきたのに⁈
「ラインハルトが…やってたんだよ。ユニに恋人ができないようにって。流石に付き合う前から圧力かけてたら、問題だから付き合ってすぐに…。まあそれもダメなことなんだけど。」
「へ…?兄上知ってて教えてくれなかったんですか⁈どうして…!」
「僕も止めようとしてたんだけど、どうしても聞かなくて…。フラれて悲しんでるユニに追い討ちをかけるのも悪いと思ったんだ。その、ごめん。」
兄上が俺に頭を下げる。…兄上は止めようとしてくれていたわけだし。そこまで怒っているわけでもないけれど。
ペチっと頭に手を当てた。
「これで許してあげます。」
こちらをチラリと伺い見ていた兄上がパァっと顔を輝かせる。
「ほんとうに⁉︎ありがとう、ユニ!」
ガバッと頭に抱きつかれる。小さなテーブルが間にあるため、頭を少し前に突き出す体勢になる。これちょっとキツいかもしれない…。
頭にグリグリとすり寄る兄上を見て、なんとなくもう少しだけ待ってあげようかという気になった。
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