貴族なのに結婚できない‼︎‼︎

アクエリア

文字の大きさ
13 / 40
一章 空回りな王様

陛下の話

しおりを挟む
 2人だけで話をするため、廊下の突き当たり少し前にある執務室へと向かう。兄上が当主を引き継いだら、突き当たりにある、部屋が使えるのに…。

 まあ、結婚式をしてすぐに継ぐというわけにもいかないから、仕方がないが。

扉を開けると、机の上の書類の山が目に入る。だが、俺が王都に行く前より山の数が減っていた。

「兄上、だんだん書類の量も落ち着いて来ましたね。」

「ああ、まだまだ多いが、少しは楽になったよ。」

 俺がいない間にも、仕事はきちんと回っていたみたいだ。なんだか、俺がいなくても大丈夫だと証明されたみたいで少し悔しい。

 そんな俺の気持ちを見透かしたように兄上が口を開いた。

「ユニが王都に行く前に、大体の書類を整理していってくれたからな。仕分ける時間が減って余裕をもって作業できたよ。」

 …こういうところだよ、こういうところ。サラッと嬉しい言葉を言ってくれるからキリル嬢も兄上に惚れてるんだ。

 はぁ…。俺が兄上に勝てる日とか一生こない気さえしてくる。

 両手で顔を覆いながらもソファに座る。兄上も俺と話すために反対側のソファに座った。

「それで…やっぱり何かあったんだよな?手紙には『陛下に会った。試験が受けられなかった。そろそろ帰ると思う。』しか書いてなかったから状況がよくわからなかったんだよ。」

「それは…すみません。」

「ユニは手紙になると急に口下手になるからなぁ。」

 兄上が呆れるように笑った。というか、伝わっていないのに、よく俺の状況が分かったな…。兄上は超能力者かなになのか?

「そういう兄上は手紙が長すぎますよ。読むのに3時間もかかったんですから。」

「そんなにかかったのかい?30分くらいで書いたんだけど…。」

 いや、早すぎだろ…。どんな速度で書いたら30分で書き終わるんだあの量。

「…それでユニ、ラインハルトと何かあったんだろう?」

 ラインハルト、と呼び捨てにしているあたり仲がいいというのは本当らしい。

「あの…王都の邸宅に着いた夜に告白されたんです。花とメッセージカードが届いててそこにいったら、陛下がいたのですが…一目惚れしたと言われまして。俺、そんな男が惚れるような女顔でもないですし、ほんとわけわかんないですけど…。」

「……あいつ、僕のいうことなど聞きやしない。」

「兄上は、陛下に何か手紙でも送っていたのですか?」

「ああ、ラインハルトは落ち着いて考えるというよりも思いついたことは即行動ってタイプだから、人の忠告を聞くようなやつではないのはわかってたけど、ないよりはマシかと思って手紙を送ってたんだ…。役には立てなかったみたいだね。」

「い、いえ兄上が悪いわけでは…。それに陛下との出会いは悪いことだけでもないというか…。」

「何かいいことでもあった?」

「そういうわけでもないんですが…。一度は試験の邪魔までされてしまいましたけど、なんだかんだ一緒に過ごして楽しかったので。」

「…ユニは僕と似てるね。一緒にいると振り回されてうんざりするのにだんだん楽しくなって来ちゃうんだよね。それがラインハルトのすごいところではあるんだけど。」

 兄上も同じように思ってたのか…。陛下には周りを魅了する変な魅力があるんだな。へんなって言い方は失礼かもしれないけれど。

「それでユニは告白になんて返事したの?」

「…あの、返事はまだしてなくて。待ってもらってるんです、俺の気持ちがはっきりするまで。」

「はっきりするまでって…ユニはあいつに好意を抱いてるってこと?」

「恋愛感情とまではいきませんけど…。嫌いではないです。俺は結婚できそうにもないですし、アリなのかもしれないと思って。」

「…。」

「どうかしましたか?兄上。」

「あのそのことなんだけど、その結婚できないとかユニがモテてないっていうのはユニの勘違いだから。」

「え⁈どういうことですか、兄上⁉︎」

 勘違いって、え、だって俺今まですごいフラれてきたのに⁈俺から告白してやっと付き合えたって子にもフラれてきたのに⁈

「ラインハルトが…やってたんだよ。ユニに恋人ができないようにって。流石に付き合う前から圧力かけてたら、問題だから付き合ってすぐに…。まあそれもダメなことなんだけど。」

「へ…?兄上知ってて教えてくれなかったんですか⁈どうして…!」

「僕も止めようとしてたんだけど、どうしても聞かなくて…。フラれて悲しんでるユニに追い討ちをかけるのも悪いと思ったんだ。その、ごめん。」

 兄上が俺に頭を下げる。…兄上は止めようとしてくれていたわけだし。そこまで怒っているわけでもないけれど。

ペチっと頭に手を当てた。

「これで許してあげます。」

こちらをチラリと伺い見ていた兄上がパァっと顔を輝かせる。

「ほんとうに⁉︎ありがとう、ユニ!」

 ガバッと頭に抱きつかれる。小さなテーブルが間にあるため、頭を少し前に突き出す体勢になる。これちょっとキツいかもしれない…。

 頭にグリグリとすり寄る兄上を見て、なんとなくもう少しだけ待ってあげようかという気になった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話

あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」 トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。 お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。 攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。 兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。 攻め:水瀬真広 受け:神崎彼方 ⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。 途中でモブおじが出てきます。 義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。 初投稿です。 初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

信じて送り出した養い子が、魔王の首を手柄に俺へ迫ってくるんだが……

鳥羽ミワ
BL
ミルはとある貴族の家で使用人として働いていた。そこの末息子・レオンは、不吉な赤目や強い黒魔力を持つことで忌み嫌われている。それを見かねたミルは、レオンを離れへ隔離するという名目で、彼の面倒を見ていた。 そんなある日、魔王復活の知らせが届く。レオンは勇者候補として戦地へ向かうこととなった。心配でたまらないミルだが、レオンはあっさり魔王を討ち取った。 これでレオンの将来は安泰だ! と喜んだのも束の間、レオンはミルに求婚する。 「俺はずっと、ミルのことが好きだった」 そんなこと聞いてないが!? だけどうるうるの瞳(※ミル視点)で迫るレオンを、ミルは拒み切れなくて……。 お人よしでほだされやすい鈍感使用人と、彼をずっと恋い慕い続けた令息。長年の執着の粘り勝ちを見届けろ! ※エブリスタ様、カクヨム様、pixiv様にも掲載しています

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

処理中です...