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第11部 グリーンドレイク来襲

第93話 追撃

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「ドンッ!」「ドンッ!」「ドンッ!」「ドンッ!」
  「ドンッ!」「ドンッ!」「ドンッ!」「ドンッ!」「ドンッ!」
 「ドンッ!」「ドンッ!」「ドンッ!」「ドンッ!」「ドンッ!」

 俺はimpact衝撃波を打っている。
 だがグリーンドレイクには効かない。
 分かっている。
 俺が今まで戦って一番強かった魔物はレッドキャップだ。
 だが所詮はゴブリンの上位種。
 まがいなりにもグリーンドレイクは、ドラゴンの下級竜だ。
 レッドキャップ程度のimpact衝撃波が効くわけがない。

 分かっているさ。
 
 でも足止めならできる。


「我は汝と契約を結ぶ、風を司る神よ複数の刃となりて、砂塵の嵐で埋め尽くせ」

〈〈〈〈〈 エア アロー!! 〉〉〉〉〉


「ドォ、ドォ、ドォ、ドォ!!」
       「ドォ、ドォ、ドォ、ドォ!!」
             「ドォ、ドォ、ドォ、ドォ!!」
       「ドォ、ドォ、ドォ、ドォ!!」
    「ドォ、ドォ、ドォ、ドォ!!」


 パメラさんの複数の風の矢を成型し、目標に放つ魔法だ。
 まるで機関銃だ。


〈〈〈〈〈 グワァ~~~~~ン!! 〉〉〉〉〉

 グリーンドレイクに当たり、苦しそうに鳴き後ずさる。

「「「「 ブォ~~~~~!! 」」」」
 グリーンドレイクも負けじと、ブレスを吐いた。

 屋敷が周りの建物が、跡形もなく消え地面に穴が開いていく。



〈〈〈〈〈 Air shotエアショットバースト 〉〉〉〉〉

 弓矢が風を纏い勢いよく飛んで行く。
「シュッ!」「シュッ!」「シュッ!」「シュッ!」

 そして当たった瞬間に圧縮した空気が爆発する。
「「 バンッ! 」」「「 バンッ! 」」「「 バンッ! 」」「「 バンッ! 」」

 普段は使わないルイディナさんの新しい技だ。
 ルイディナさんのクロスボウは専用の矢を使っており、これだと矢も破壊され回収できない。
 後の事を考えない攻撃と言う事だ。



〈〈〈〈〈 Wind slashウィンド スラッシュ 〉〉〉〉〉

 オルガさんの声が響く。
 直径2mくらいの扇の形をした風の刃が飛んでいく。

 その瞬間、グリーンドレイクが翼をはためかせ舞い上がった。
 Wind slashウィンド スラッシュは足首辺りを切り裂き消えた。


 グリーンドレイクは空に舞い上り逃げていく。
「エリアスっち、逃げていくわ」
「あぁ」
 俺は迷った。
 村をこのままにして、奴を追うのか。
 だが怪我人が居る。

「行け~エリアス様。このまま逃がせば、やつはまた来る。追ってコーネリア達の、みんなの仇を取ってくれ」

 後ろを振り返ると頭からを流し、バスターソードを手にしたアルマンさんが居た。
 アルマンさんは元冒険者だ。
 自宅から持ってきたのだろう。

「アルマンさん、教えてください。どうしたのですか?」
「あぁ、突然大きな音がしたんだ。そして外に出た俺達が見たのはドラゴンだった」
 一呼吸置き、アルマンさんはこう言った。

「最初に店から出たコーネリアとニーナは、出た途端に奴に食われちまった。こう、パクッ、パクッてな」
 右手の人指しい指と親指を動かし、なにかを食べているような仕草をする。

 アルマンさんは泣きながら、さらに続ける。
「それから店から近かった雑貨屋のマティも、マティも…」
 後は涙声になり、続かなかった。


「アルマンさん、分かりましたから。ここをお願いします」
 俺はストレージから、持っていたハイポーションを3本渡した。
「死ぬなよ。エリアス様」
「はい、行ってきます」



 俺達はグリーンドレイクを追い走っている。
 奴は住民を喰らいお腹が膨れていた。
 そのため重くなり、スピードが落ちているようだった。
 以前見た速さなら追い付けない。
 俺達が何とか追いつける速さで飛んでおり、奴の住処まで付いて行けるかだった。

 もう1時間は走っていると思う。
 奴は空を飛び、俺達は障害物のある地上を上を見ながら走っている。
 木々の間を走りながら追うため、段々と距離が離されていく。

 そう思った時だった。
 奴はひときわ高い山脈の上を目指し始めた。


 この山の上か。
【スキル】鑑定サーチ!
 俺は奴を見落とさないように、鑑定サーチで奴の持つ魔石を確認した。
 体と同じ緑の魔石だった。
 これで奴を見失っても探し出すことができる。

 奴は山頂を目指して飛んで行ったようだった。

 俺達は立ち止まり、休むことにした。
 
 はあ、はあ、はあ、

 みんな肩で息をしている。
 こんなペースで今まで走ったことはない。
 よく着いてこれたと思う。

 持っていたハイポーションはアルマンさんに渡してきた。
 だから俺達には回復手段がない。
 あの場は仕方なかったことだ。

 いくらパメラさんがヒールを使えても体力までは回復できない。

 だが奴はしばらく街には来ないだろう。
 あれだけの食料を確保したのだから。

 一度引くか。
 それともこのまま行くのか、俺は迷っていた。
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