甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

Love gauge:70 気になり過ぎるメール

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水族館ツアーの集合時間は21時15分だった。目的地が最寄駅の隣駅の駅前なので日が暮れてからふたりでマンションを出た。

本当はもっと早く出かけてトキと一緒にお茶をしたりショップを色々見たりもしたかったけれど、明日の午前中は仕事をする時間がないので、その分の仕事を進めておく必要があったのだ。

水族館に行く前に隣接する商業施設内のレストラン街で夕食をとった。当選券と一緒に割引クーポンがついていたからだ。

私達が入ったのは自然食のお店で、定食に野菜のおかずのビュッフェがついているセットを注文した。

二人とも同じ黒酢炒め定食を選び交替でビュッフェに向かう。お皿を見せ合うとそら豆のポタージュ、つるむらさきのお浸し、パプリカラベ、セロリのきんぴら、ゴーヤの塩昆布和え等同じ料理を選んできていて、食後のデザートも共にアボカドアイスを選んだので二人で顔を見合せて笑った。

トキは実家が農家なので野菜の知識が豊富で、そんな彼の話を聞くのは興味深かった。その中に時折混じる彼の子供時代の話は私にとって更に心ときめくものだった。

ふたりで一緒にマンションを出て商業施設まで行き食事をする、それだけでも特別な楽しい時間だったが、これからもっと非日常の世界をトキと一緒に味わえる。私はすっかり浮かれてしまっていた。

レストランを出てお手洗いに寄り、まだ少し時間があるのでショップを見てみることにした。ナチュラル雑貨のお店でおしゃれな小物を見ていると突然、アナウンサーさんのように整った美しい声が、『透葵ときくん！』と彼の名前を呼んだ。