甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

Love gauge:70 気になり過ぎるメール

＊7＊

───トキは誰かと行く為に抽選に応募してたんだ。あのメールの元カノかもしれない。つまり私はまた誰かの代わりっていうこと・・・？

浮かれて空を泳いでいた恋心はしぼんで地面に向かって悲しげにゆらゆらと降りてきた。

「ごめん、嫌ならいいんだ。俺達ずっと仕事してばっかりだから、気分転換にいいかと思ったんだ。」

「・・・。」

───そっか、そうだよね、どうしても『誰かの代わり』ってことに過敏になっちゃうんだよね・・・。

「悪かった。忘れて。」
「行きたい。」

「え？」

「そんな機会なかなかないし、夏休みもとれるかわからないし、その、せっかく当たったのに無駄にするの申し訳ないし・・・。」

『何よりトキと一緒に行けるのが嬉しいから。』という言葉は胸の奥にしまった。そんな私を見てトキは嬉しそうに微笑んだ。ひまわりよりも夏の太陽よりもずっとずっと眩しい笑顔で、彼にとって私がただのビジネスパートナーであっても、もうこの笑顔が見られただけで充分と思えてしまうくらいだった。

「ありがと。楽しみにしてる。」

しぼんだ恋心の風船は地面に落ちる寸前でゴムボールに変わり、地面に触れた途端軽やかに跳ね上がった。