甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

Love gauge:70 気になり過ぎるメール

＊9＊

「・・・！」

───似てる・・・。

近づいてくる声の主の姿を認めてハッとする。

30代と思われる彼女は髪型もメイクも服装も私とそっくりだった・・・いや、私の方が彼女にそっくりだと言った方がいい。テイストは同じであっても彼女の方が比べ物にならないほど洗練されていて、まるで私が彼女に憧れてなんとか近づこうとしているみたいで、なんだか自分がブランドの偽物みたいなちゃちな存在に思えた。

私の方を振り返ったトキが困惑した表情で何かを言おうとすると、彼の目の前まで来た彼女が心底安堵した様子で話し始める。

「よかった。携帯通じないし家にもいないからって、迷惑かと思いつつ仕事用のアドレスにメールしちゃった私が悪いんだけど、返信もらえなかったし・・・水族館ツアー応募してたでしょ。もし当たってたら今日ここで会えるかなって、その可能性にかけて来てみたの。当たったんだ。よかったね！透葵くん、自然食ビュッフェとかこういうナチュラル雑貨とか好きじゃない？だからこのお店とかにいるかもって・・・あ、こんばんは。」

そこまで一気に話した彼女はトキの視線を追って彼の後ろにいた私に気づいたみたいだった。品定めするようなものではない、柔らかな視線を投げかけてくる。

彼女の言葉から、あのメールを送った女性なのだということは明らかだった。

───水族館ツアーのことも知ってるし、この女性ひとと行く予定だったんだ・・・やっぱり、元カノ・・・。