神子召喚に巻き込まれた俺はイベントクラッシャーでした

えの

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俺、やらかす

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抱き締めたまま無言を貫くミストさん。俺が何か地雷を踏んでしまったのか…ちょっと不安になる。


「ミストさん…」


名前を呼ぶと、背中に回った腕が更に締められ、シャツを通して、俺の頰にミストさんの体温と鼓動が伝わってくる。困ったな…。


「ごめんね…」


そう呟き、俺の頭の上に軽く顎を乗せる。一体何に対しての謝罪なのか…。


「もう少し…このままでもいいかな…」


耳元に口を寄せ、弱々しく低い声で囁かれた。エロい…。止めて────!!自然と顔が熱くなる。俺も顔を隠したくて無言で頷く。


「この青いバラとカーネーションはね…僕の亡くなった婚約者が誕生させたものなんだ」



どぇぇぇー!!地雷やん!!もろ地雷ですやん!!絶対に婚約者の事思い出しちゃう!!知らなかったとはいえ、俺はなんて事を!!針が突き刺さる様な胸痛がする…このまま倒れてしまいたい…。


「見るのも辛かったんだけど…」


でしょうね!!すみません!!心の中で土下座致します!!


「そっか…綺麗か…この水色に近い青はね…僕の髪色をイメージしてるんだよ。ほら、同じでしょ?中々思うように成果が出なくてね…何度も失敗して…ようやく花が咲いた時に僕からプロポーズしたんだ」



辛い…辛すぎる。罪悪感に押しつぶされそうです…。そんなに思い入れのある花を…気軽に摘んですみません!!


「ありがとう。この花達を褒めてくれて、ありがとう」


言葉と共にミストさんの溢れる想いが、俺の髪を伝い、頬に流れてきた。いつもならフラグがー!となる俺だが…今回だけだからな!!そっと腕を回し震える体を抱き締める。ほんと…今回だけだよ?



「ふぅーすっきりした!!ありがとう。カーラのお陰で心がすっきりしたよ」



密着していた体を離し、笑顔でお礼を言うミストさん。いやーおれも罪悪感がてんこ盛りだったので…。


「今度は体もすっきりさせてね!今日は怖い護衛さん達がいるから遠慮しとくけど」



チュッ



こんのぉぉぉ────!!チャラ男がぁぁぁ!!さっそうと部屋から去って行く後ろ姿を、恨みがましい目で見つめる。袖で額を少し痛いぐらい擦っていると、動きを止められた。


「そんなに擦ってはダメです。あぁ、こんなにも赤くなってしまって…」


ぐっ、心配してくれるの有難いけどな、顔が近すぎるんだよ!!クルトさんよぉ!!





ペロッ





なっ?!な、な、な、俺の、俺の…




「消毒です」




あっ、消毒ですか。そっか、そっか。確かに指から血が出たら舐めるもんな!そっかー消毒かー。って騙されるかぁぁ────!!!!




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