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俺、呼び出しをくらう
しおりを挟むミストさんに出会ってから三日後、俺は神子様にお茶会に誘われました。恐怖です。ドアをノックし恐る恐る部屋の中に一歩を踏み入れる。
「ようこそ。まぁ、僕が誘ってあげたんだ。断るなんて当然しないだろうけどね」
満面の笑みで出迎えてくれたが…なんて自信なんだ!!さすが主人公!!確かに神子様は可愛いけど…。性格がな…怖いんだよ…。
「突っ立ってないで座ってくれる?」
「すみません」
悪くもないのに謝っちゃう日本人出ちゃったよ!今日はどんな罵声が飛んでくるのやら…。
「今日もジン様とクルト様はカッコイイですね!!でも、今日はこのエルフと二人っきりで親睦を深めたいんです…」
目を伏せ悲しそうに二人に話しかける神子様。俺とは全然違う態度に少し悲しくなる。いいなー俺にも少し好意を向けてくれないかなー。まぁ攻略対象者じゃないしな…。
「それは…」
「申し訳ないですが…」
食い下がる二人だが…神子様の方が上手なわけで。
「神子の僕の言う事だよ?」
結局は渋々と部屋から出ていく二人です。
「さて」
お茶を用意しながら神子様が会話を始める。ドキドキするわー。面接してるみたい…。
「あんた、泉でミスト様に会ったでしょ?」
ふぁッ?!バレてないと思ったのに!何故知っているんだ?!確信をついた質問に目が泳ぐ。上手い返しを考えないと!!
「その態度で充分だよ」
くるか!!くるのか?!今日はどんな罵声だ?!
「はぁー」
ため息だと?!まさかのため息?!疲れちゃったのか?!
「ミスト様はね…」
結局は語ってくれました。ミストさんには婚約者が居た。同じ魔術師団の人。式の日取りも決まって、相手の人は結婚後、退職する予定だった。
しかし、瘴気により凶暴化した魔物の討伐途中に、命を落としてしまう。駆けつけたミストさんの目に、見るも無惨な姿の婚約者が…。そして、自暴自棄になり、全ての事がどうでも良くなる。
頼まれた召喚の儀をするが、神子様に全く興味を持たない。その後、ミストさんの過去を知り、泉に行く神子様。襲われそうになっても、何度も訪れる。だが、ある日、もう関わるなと手酷く扱われる。それでも自分の為に、泉に訪れる神子様に次第に心を許し、もう一度恋をしてみようと…。
あとはお決まりの展開ですね。重い…重すぎます…。俺のゲームデータが消えた悲しみなんかに比べたら…いや、比べる事さえおこがましいわ!!
「はぁーほんと、あんたって…まぁ…いっか」
話はこれで終わりだと、次のお茶会も絶対に来るようにと釘を刺され、別れを告げた。
心配です…神子様の様子が変です。俺のせいなんだけど…早くお城から出ていってあげよう!!決意新たに部屋に戻る。
そして扉を開けた先には…
ミストさんがおりました。気まずい────!!
「おかえりー。遅かったね」
いや。会う約束してませんよね?!
「すみません」
とりあえず謝る。くぅーまた悪くもないのに謝っちゃったよ…。何の御用なんですかね…ほんとに気まずいんですけど…。
「その様子じゃ…誰かから聞いた?僕の事」
「…」
「そっか…」
話題を逸らそう!!この空気に俺は耐えられない!!
「あの…お茶でも、ご一緒にどうですか?」
神子様の部屋では飲みそびれちゃったし…。クルトさんがお茶の用意をしてくれるので、俺はミストさんを椅子に座るように促す。
「これは…」
あっ?何?ミストさんの後ろから机を覗く。あぁ、それね。
「綺麗ですよね。俺の居た世界でもあまり見かける事はなくて、青ってか水色?ミストさんの髪色に似てますね!!赤とかより全然、この色の方が俺は好きです!!ミストさ、ぐふッ!!」
きた、久しぶりにきましたよ!!急に抱き締めるんじゃない!!なんだ?何がそんな衝動に走らせたんだ?!
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