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第四章:お披露目の日がやってきました。
第44話 反撃……もとい、フルボッコです。
しおりを挟む社交場においてドレスやアクセサリーは戦闘服で、気品ある所作や振る舞いは防壁で、笑顔は立派な矛となります。
だから私は、笑います。
笑って彼にこう言うのです。
「私の言葉を軒並み無視する様な事を言う殿下から、まさか難聴扱いされるなんて。心外にも程があります」
「……は?」
「私先ほど言いましたよね? 我が国は貴国の属国などでは決してないと。それに件の輸出品に関しても、一国あたりの出荷上限を設けると皆様に対して言いました。勿論それは貴国も例外ではありません」
「それは」
「その上『供出』と仰いましたか? 国の要請に従って半強制的に、あちらの言い値で物を差し出す事を『供出』と言う筈ですが、つまり殿下は『本来ならば値段の決定権も無いけれど、仕方がないので値段については交渉する事を認めてやるから感謝しろ』という事ですよね?」
「ふんっ。何だ、分かっているではないか」
「喜びませんよ、バカなのですか」
私の理解度に満足げだった彼に私は、思わずそんな暴言を吐きました。
しかし例え淑女として相応しくない言葉であっても、使った事に後悔はありません。
だってそうでしょう?
私は淑女である前に、次期王妃なのですから。
自分の国をこれ以上に無いほど貶されて、舐められて。
それで黙っているなんて、正直言ってあり得ません。
もう私は男爵令嬢の部を弁えていた頃の私ではないのです。
私の物言いに、彼は驚いた様でした。
しかしすぐに何を言われたのか理解して、頭に血を昇らせます。
「貴様っ、この俺に今何と言った……?」
「あぁ言葉がありませんでしたか? ではもう少し丁寧に説明させていただきましょう。我が国には、貴国は必要ありません。我が国を属国という過ぎた侮辱を浴びせてくる様な相手など、私の前から今すぐ消えていただきたい。私はそう言いたかったのです」
にこりと笑い「空耳などではありませんよ?」と更に言ってやると彼は、とうとう顔を真っ赤にして怒り出した。
「それこそ我が国への侮辱に他ならない! こちらが下手に出ていれば……我が国が一体どれだけお前の領地に温情を与えてきたかも忘れて」
「一体どこが下手に出ていたのかは分かりかねますが、我が国はもう貴国の領地ではありませんし、『温情』という言葉も使い方を間違えています。水車の設置にまで「一定金額を支払わないと数を増やす事が出来ない」という法律を作り、領地同士の貧富の差も省みずに自分達の利益を最大限搾取する。それのどこが『温情』ですか」
この法律は、下の者を底辺に縛り付けて浮上できない様にする所業。
貧しい者を貧しいまま、御し易い様に保っておくための悪法だ。
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