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第四章:お披露目の日がやってきました。
第43話 私の堪忍袋にも尾はあります。
しおりを挟む金額設定は他の米の2倍です。
量産出来たらもう少し下げようと思いますが、美味しさに惹かれたならこのくらいは喜んで買って下さることでしょう。
もちろんブランド米ですから、薄利多売は致しません。
量産体制が整っても一国当たりの出荷制限は取り払わず、維持します。
ずっと出荷していれば、いずれは他の国でも栽培が始まるでしょう。
しかし気候が違いますし、そもそも美味しい代わりに栽培……主に水の管理が難しい品種ですからすぐには売れるものになりません。
そうしてそれが成った頃には、我が国は新たな品種を開発すれば良いのです。
我が国には建築のプロ・ルーイと農業のプロ・アントニオ、品種改良の専門家•ブラウンが居ます。
この分野において、他国には決して追い付かせません。
それに彼らがこうして作ってくれる時間的猶予を活用し、他国と持ちつ持たれつの関係性を築けばきっと、交易離れも防げます。
それに関しては私やお父様の腕の見せ所。
我が国にはあの国から引き抜いてきた新進気鋭の服飾家も居ます。
名産品と装いでインパクトと話題を攫い、会話で相手の心を掴む。
そうすれば、自ずと我が国は繁栄するでしょう。
我が国を『小国』と侮る者も、私たちの頑張り次第で居なくなり――。
「おいお前! この穀物をうちで扱ってやるから全部寄越せ!」
あぁそうでした。
まだ彼が残っていた事を、正直言ってすっかり忘れてしまっていました。
だって眼中にありませんでしたし。
もしかしてこの方は、先程の私の話を聞いていなかったのでしょうか。
えぇそうでしょうね、でなければこんな事を言うはずなんてありませんもの。
いえ、その前に一応『別の可能性』を先に潰しておかなくてはなりません。
「殿下? あまりよく聞こえなかったので、もう一度仰ってくださいませんか?」
「ふんっ、失礼な上に難聴まで発症したか。仕方がないな、もう一度だけ言ってやろう」
敢えての笑顔全開でそんな風に尋ねれば、彼はさも「恵んでやる」と言わん限りの態度で言います。
「うちで全て捌いてやるから、あの穀物の交易権を全て俺に寄越せと言ったんだ! 属国相手に供出ではなく取引をしてやろうと言っているのだ、泣いて喜べ!」
そう言ってドヤ顔を向けてくる殿下に、私は思わず深いため息を吐きたくなりました。
私も流石にイラッときました。
なのでチラリとお父様の方を見てみれば、気付いて頷いてくださいます。
実は私、もしこのような事になった際の彼の国への扱いをお父様と事前に擦り合わせていました。
「一応その最終確認を」と思ってしたのが先程のアイコンタクトです。
お父様はそれに頷いてくれましたから、大丈夫。
私はゆっくりと息を吐き、また吸い込んで前を見据えます。
――この男、許しません。
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