42 / 55
第四章:お披露目の日がやってきました。
第42話 プレゼンの結果は……
しおりを挟む「皆様には、本日我が国が新しく品種改良に成功した米で作ったデザートを食していただこうと思いご用意しました」
私のそんな説明中に、メイドがテキパキと一口大に切ったケーキを味見用として皆様に配っています。
「あら、美味しいわ」
「ありがとうございます、ダリヤ様。従来の米よりもずっと、甘味が強くて弾力があるのが特徴なのです。少しもっちりとしていて、面白い今回は米本来の甘さを感じていただく為に砂糖は少なめにしております」
思わずポロッと出たのでしょう感想を拾い、私はそう付け足します。
「更に米粉はダイエット効果も期待できます。同じ分量のケーキを食べるのなら、こちらを食べた方が余程カロリーオフなのですよ?」
「まぁ! それは素晴らしいわ!」
「ダイエット食品を妻に付き合ってたまに食べるがどれも味がイマイチで……でもこれならば美味しく食べられるな」
私の説明に、女性からだけではなく男性からもそんな声が上がってきました。
ここに居る人達はもちろん誰もが食べ物にお金の糸目をつける必要の無い立場だが、それでもやはり妻のダイエットにお付き合いせねばならなかったり、妻が夫の体格を気にしてその手のものを出したりする事は、往々にしてあるものです。
お菓子の材料としての出荷を考えていたから女性をターゲットにすべきだと考えていたが、どうやら男性もターゲットに入れて良さそうですね。
良いことを聞きました。
「このふんわりモチモチとした食感も独特だし、この自然な甘みも……美味しいけど、一体何の甘味なのかしら」
「それらお米そのものの甘味なのですよ」
「これがお米の……?」
微笑みながらそんな風に答えつつ、私は「前にジェイン様とも似たような会話をしたなぁ」なんて思います。
甘さはもちろん、この弾力のある独特な食感を気に入ってくれた事が嬉しいです。
これに関しては完全に新食感ですから、正直言って受け入れて貰えるか少しばかり不安でした。
しかし杞憂だったようです。
「このブランド米は我が国の独自開発で、他では手に入りません。我が国でもやっと試験運用を終え現在本格的に栽培に入ったところなのですが、この美味しいお米を私は国外の方にも楽しんでいただきたいと思っています」
たった一口で終わってしまった美味を前に少し残念そうにした方々に聞こえるように、私は声を上げました。
「つきましてはこちらを、我が国の今後の主要交易商品の一つにしようと思っております。ご興味がお有りの方々は、おこえかけくださいませ」
私がそう言った瞬間です。
「その交易は、この菓子の原料になっている米だけか? レシピの方は?」
「我が国に是非、優先して卸してもらいたい! なに、金は奮発するぞ!」
「何を言ってる。貴殿はこの国を下に見ていたではないか。にも関わらずここで手のひらを返し金に物を言わすなんて、少々汚いと思うがな」
声がワッと、私の所に押し寄せます。
内心では「これ程ですか」と驚きましたが、顔には絶対に出しません。
「出荷総数が少ない品ですので一国当たりの出荷上限は掛けなければならないでしょうが、今まで良くしてくださった方とはもちろん、ご希望があれば優先してお取引を致します。また、これを機に他の皆様とも良い関係を築きたいと思っておりますから、量産体制が整い次第、順次良いご縁が結べればと思っておりますわ」
そんな風に言いながら、私は出荷額をちょっと思い出します。
38
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【完結】王妃はもうここにいられません
なか
恋愛
「受け入れろ、ラツィア。側妃となって僕をこれからも支えてくれればいいだろう?」
長年王妃として支え続け、貴方の立場を守ってきた。
だけど国王であり、私の伴侶であるクドスは、私ではない女性を王妃とする。
私––ラツィアは、貴方を心から愛していた。
だからずっと、支えてきたのだ。
貴方に被せられた汚名も、寝る間も惜しんで捧げてきた苦労も全て無視をして……
もう振り向いてくれない貴方のため、人生を捧げていたのに。
「君は王妃に相応しくはない」と一蹴して、貴方は私を捨てる。
胸を穿つ悲しみ、耐え切れぬ悔しさ。
周囲の貴族は私を嘲笑している中で……私は思い出す。
自らの前世と、感覚を。
「うそでしょ…………」
取り戻した感覚が、全力でクドスを拒否する。
ある強烈な苦痛が……前世の感覚によって感じるのだ。
「むしろ、廃妃にしてください!」
長年の愛さえ潰えて、耐え切れず、そう言ってしまう程に…………
◇◇◇
強く、前世の知識を活かして成り上がっていく女性の物語です。
ぜひ読んでくださると嬉しいです!
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる