男爵令嬢が『無能』だなんて一体誰か言ったのか。 〜誰も無視できない小国を作りましょう。〜

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第四章:お披露目の日がやってきました。

第42話 プレゼンの結果は……

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「皆様には、本日我が国が新しく品種改良に成功した米で作ったデザートを食していただこうと思いご用意しました」

 私のそんな説明中に、メイドがテキパキと一口大に切ったケーキを味見用として皆様に配っています。

「あら、美味しいわ」
「ありがとうございます、ダリヤ様。従来の米よりもずっと、甘味が強くて弾力があるのが特徴なのです。少しもっちりとしていて、面白い今回は米本来の甘さを感じていただく為に砂糖は少なめにしております」

 思わずポロッと出たのでしょう感想を拾い、私はそう付け足します。

「更に米粉はダイエット効果も期待できます。同じ分量のケーキを食べるのなら、こちらを食べた方が余程カロリーオフなのですよ?」
「まぁ! それは素晴らしいわ!」
「ダイエット食品を妻に付き合ってたまに食べるがどれも味がイマイチで……でもこれならば美味しく食べられるな」

 私の説明に、女性からだけではなく男性からもそんな声が上がってきました。

 ここに居る人達はもちろん誰もが食べ物にお金の糸目をつける必要の無い立場だが、それでもやはり妻のダイエットにお付き合いせねばならなかったり、妻が夫の体格を気にしてその手のものを出したりする事は、往々にしてあるものです。


 お菓子の材料としての出荷を考えていたから女性をターゲットにすべきだと考えていたが、どうやら男性もターゲットに入れて良さそうですね。
 良いことを聞きました。

「このふんわりモチモチとした食感も独特だし、この自然な甘みも……美味しいけど、一体何の甘味なのかしら」
「それらお米そのものの甘味なのですよ」
「これがお米の……?」

 微笑みながらそんな風に答えつつ、私は「前にジェイン様とも似たような会話をしたなぁ」なんて思います。

 甘さはもちろん、この弾力のある独特な食感を気に入ってくれた事が嬉しいです。
 これに関しては完全に新食感ですから、正直言って受け入れて貰えるか少しばかり不安でした。
 しかし杞憂だったようです。

「このブランド米は我が国の独自開発で、他では手に入りません。我が国でもやっと試験運用を終え現在本格的に栽培に入ったところなのですが、この美味しいお米を私は国外の方にも楽しんでいただきたいと思っています」

 たった一口で終わってしまった美味を前に少し残念そうにした方々に聞こえるように、私は声を上げました。

「つきましてはこちらを、我が国の今後の主要交易商品の一つにしようと思っております。ご興味がお有りの方々は、おこえかけくださいませ」

 私がそう言った瞬間です。

「その交易は、この菓子の原料になっている米だけか? レシピの方は?」
「我が国に是非、優先して卸してもらいたい! なに、金は奮発するぞ!」
「何を言ってる。貴殿はこの国を下に見ていたではないか。にも関わらずここで手のひらを返し金に物を言わすなんて、少々汚いと思うがな」

 声がワッと、私の所に押し寄せます。
 内心では「これ程ですか」と驚きましたが、顔には絶対に出しません。

「出荷総数が少ない品ですので一国当たりの出荷上限は掛けなければならないでしょうが、今まで良くしてくださった方とはもちろん、ご希望があれば優先してお取引を致します。また、これを機に他の皆様とも良い関係を築きたいと思っておりますから、量産体制が整い次第、順次良いご縁が結べればと思っておりますわ」

 そんな風に言いながら、私は出荷額をちょっと思い出します。

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