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生粋の貴族夫人・フィーリアは、強い瞳の彼らに出逢う。
第4話 ふかしジャガイモの食べ方を知る(2)
しおりを挟む「ちょっとディーダ、だから毎回言ってるじゃん。そうじゃなくても猫舌なんだから、熱いものを食べる時はどれだけお腹が減ってても、かぶりつかない方が良いって」
「お前みたいに一回割ってから食えってか? そんな面倒な事やってる暇があったら口に入れた方が早ぇだろ! そもそも熱いものにありつける事なんて滅多にあることじゃねぇんだから大して困ったりしねぇんよ!」
どうにか咀嚼したディーダが言い訳じみたことを言う。
強い口調だが、ノインは慣れているのだろう。特に気にした様子もなく、むしろバカにするようにフッと笑う。
「何言ってんの。現に今、かなり困ってたじゃん。泣きながら言われても説得力ないよ」
「うっせぇ、泣いてなんかないわっ!」
言いながら目元をごしごしと擦っている時点で最早強がりでしかない。しかしノインは興味を無くしたのか、追撃はせず「ふぅん? まぁ別に、好きに食べたらいいけどさ」と会話を投げて、自分のジャガイモにがぶりと噛みついた。
熱がっている風ではないから、おそらく冷めてきたのだろう。
ディーダの失敗を活かすためにも、私もジャガイモをきちんと真ん中から割って、息を吹きかけ、きちんと冷ましてから思い切ってパクつく。
冷えていた体に、程よい温かさがとても優しい。咀嚼すれば簡単に口内で砕けたそれは、おそらく調味料の類を使っていないのだろう。仄かな甘みの優しい味だった。
「……おいしい」
ホッと息を吐くかのような小さな感想が口から洩れた。
ディーダがフンッと鼻を鳴らし、ちょっと馬鹿にするように言う。
「大袈裟だな、お前。こんなの普通のジャガイモだろ」
そう言うわりには、彼の手元には既に元の半分以下になったジャガイモがある。
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