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生粋の貴族夫人・フィーリアは、強い瞳の彼らに出逢う。
第4話 ふかしジャガイモの食べ方を知る(1)
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多少のお金はあるにしても、この街の事などまったく知らない。
思えば嫁いで来て以降、仕事で忙しかったザイスドート様から「一緒に街に降りよう」と言われた事はなかったし、私自身も特に街に対して興味を抱いた事が無かった。
その程度の私だから当然、どこに行けば食べ物が買えるのかも知らない。結局二人に案内されるままにお店に入り、彼等が欲しいという物を三人分購入した。
そうして連れて来られたのは、一軒の家。
古い上に中に入ればほぼ全てが見渡されてしまうくらいの広さしかないその家は、隙間風は吹き込むし、薪がパチパチと爆ぜる音にまじって雨漏りの下に置いた器を水がピチョンピチョンと打つ音が聞こえる。
しかしそれさえ許容すれば雨ざらしになる事も無い、明かりも無く薄暗い室内も暖炉に火を入れたお陰で少しだけ明るくなった。
できるだけドレスの水を絞ってから中に入った私はもちろんのこと、どうやら彼等にも着替え用の服は無いらしい。濡れネズミのまま、髪を拭く事も無くノインが早々に温かな火の側へと座り、買ってきた食べ物入りの紙袋の中を漁って丸い包みを一つ取り出した。
続いてディーダも袋を漁り、すぐ近くの床にポスッと置いた。
一緒に座って食べてもいいのだろうか。恐る恐る近付いてそろそろと座ってみたけれど、特に二人が怒る様子はなくて内心で少しホッとした。
私も袋の中に手を入れる。取り出した球体は温かな熱を帯びていて、包みを空けると飾りっけが無く所々凸凹とした、薄茶色の皮の食べ物――ふかしジャガイモが顔を出した。
しかしどうしよう。今まで食べた事のあるジャガイモは、どれも一口大に切ったものをスプーンやフォークで食べていた。
こんな、口よりずいぶんと大きな状態で、食器もなしに、一体どうやって食べればいいのか。思わず眉尻を下げてしまう。
パンのように手でちぎって食べればいいのだろうか。しかし湯気が出ていて熱そうだ。
少し途方に暮れていると、目の端にちょうどノインが入った。
彼はまず、ジャガイモに両手の親指を突き立てた。真ん中からパカッと割り、湯気が立ち昇る断面をフーフーと少し冷ました後で、パクッと食いつく。
なるほど、あぁして食べるものなのか。
半ば感心するように独り言ち、私も真似してみる事にする。しかし領の親指を突き立てた所で、何やら横からハフハフという息遣いが聞こえてきた。
見てみれば、口を開けて必死に息をしている風の、涙目のディーダがそこに居た。
どうしたのだろうと思っていると、すかさずノインの呆れ声を出す。
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