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生粋の貴族夫人・フィーリアは、強い瞳の彼らに出逢う。
第4話 ふかしジャガイモの食べ方を知る(3)
しおりを挟むまるで説得力がない。彼の子供らしさを見て、思わずフフフッと笑ってしまった。
と、おそらくバカにされたと思ったのだろう。カッと頭に血を昇らせて、叫ぶように言い訳を重ねる。
「べっ、別にこれは、単に腹が減ってただけで!」
「あー、まぁ確かにさっきの腹の音、かなりすごかったもんね」
「うるせぇノイン、黙ってろ!」
吠えたディーダに、ノインは可笑しそうに笑う。
改めて思うけれど、とても仲良しで微笑ましい。同じような年頃に見えるけれど、もしかして兄弟なのだろうか。いやでも見た目にはあまり似ている風でもない。
「お二人は、ご親戚か何かなのですか?」
「あぁ? 何でそんな話になるんだよ」
「何というか、雰囲気的にそうなのかな、と」
私のそんな言及に、ディーダの眉間に皺が寄る。
「あぁ? 何でこんなのと似てんだよ。嫌だっつうの」
「僕もこんなガサツなのと一緒だと思われるのはちょっと」
「あぁ? 何だとっ?!」
「それだよそれ」
ノインが言いながらジャガイモをかじる。
「っていうか、貧民なんだから普通に血なんて繋がってねぇよ。何でそんな事も知らねぇんだよ」
「えぇとそれは……」
迷惑そうに言われてしまい、ちょっと申し訳なくなった。
でも分からないものは仕方がない。実家の領地では、孤児院はあっても『貧民』は見た事が無かった。
嫁いできてそういう人たちが居るという事を知ったけれど、言葉でしか知らない存在だから何も知らないに等しい。
私は今まで色々な物にかまけて知ろうとしてこなかったのではないか。
今ここに来て、やっとそう思い至る。
「そういえばさっきも随分と、常識外れな事をしてたね。お陰でディーダの慌てようったら……フッ」
「ノインてめぇ笑うなよ! 大体あれはこの女が、ジャガイモ三つ如きに大金貨を5枚も出すからだろうが!」
あんなの誰でも驚くわ、と吠えられて、私はちょっとシュンとした。
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