詞詩集

鳥丸唯史(とりまるただし)

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木枯らしの魔女

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いつまでもこの場所で待っていると
シャレさえならない嘘を言った
なでた後ろ髪に玉結びができていた
心臓に蔦の葉が絡みついたよう

つかまえて あの鳥に奪われる前に
臆病な唇が冷たく震え
カプリーヌ埃かぶって雨風窓を叩く
最後の一葉も信じられない

いておくれ
遥かな旅路のたむけに
いつまでもれるまで
啼いておくれ

美しいわたしのため写真をとって
落ち窪んだ蒼い眼差しで言った
必ず戻ってくると覚悟決めたつもりで
乾きかけのマニキュア台無しにする

つかまえて あの鳥に狙われる前に
切なげなまつ毛がしとどに震え
せがまれたわけでもないのに魔法かけられたよう
それとも呪いを打ち込まれたよう

僕は泣かない
きみはちょっぴり出かけるだけ
どうせ戻ってくる
僕は泣けない
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