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76.女心
しおりを挟む「そんな冗談は、やめてください」
リンジェーラはまた、団長の意地が悪い戯言だと思った。だってゾディアス様の番はリンジェーラなのだから、番が現れるわけがない。
「冗談ではないぞ・・・。実際に今さっき会った。ゾディアスも今会っているぞ」
団長の言葉に驚いて目を見張る。リンジェーラは、ゾディアス様が、今その人と合っているという事実にショックをうけた。
「子を成したあとだから、番に感情が惑わされる事はない。お前が考える心配は不要だ」
確かにゾディアス様に説明をうけた事はあり、そういっていたかもしれないが・・・。心配をしないというのは別だ。だってその人は番であると嘘を言って近づいて来たのだから、絶対に何か企んでいると思う。
「どこで会っているのですか・・・」
リンジェーラはいてもたってもいられなかった。
「会いに行ってもどうにもならんぞ」
「でも・・・その番だと名乗る偽物の顔はわかります」
番だと嘘をつく女の顔を見てやろうと、リンジェーラは怒り心頭だ。
「問題はないのだから、話が終わるまでは待て・・・。偽物かは今更わからないがな・・・ゾディアスが番を求めていた気持ちもわかってやれ」
「ゾディアス様は、私と約束してくれました。他の人には触れないと。彼は私の婚約者になりますから、私が口を出してもいい問題だと思います」
ゾディアス様は番よりもリンジェーラを選んだのに、会ってしまうんだなと、また気落ちしてしまう。
「ちなみに、問題ないから会うように言ったのは俺だが、お前は人のことに口を出しすぎだ・・・。俺の番にも上手く取り入っているしな。ちょっとは獣人の身にもなれ」
また団長が余計な事を言ったのかと、リンジェーラはあきれる。
「でしたら、団長だって、いきなり番だといわれ襲われた身になった場合を考えれますか?考えれないから、デラは逃げ帰っちゃうんですよ」
リンジェーラは団長のいいぶんに、苛立って余計な事を口走ってしまった。
「帰った・・・だと?ディミドラは王都にはいないのか?」
団長はリンジェーラに詰め寄る。
リンジェーラは団長の圧に押され、仕方ないため、既に王都にはいないと説明した。ディミドラを本当の意味で手に入れたいなら、彼女の気持ちを考えてほしいと・・・。
「お前に何がわかる。獣人でも番でもないお前に・・・。お前は俺たち番の問題に入って来すぎだ。仲を裂くような真似はよせ」
「・・・私はデラと友達ですから、デラから言われたらやめます。でもデラが助けを求めて来たら手を貸します。団長がデラに相応しくなれなければ、これ以上団長に協力はしません」
リンジェーラは団長に怒りをぶつけられ、部屋をでようとした。出る前には団長に、番の心よりも、まずは女心をしるべきだと忠告してやるのだった。
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