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31話目 ステラ VS 七海(3)
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「話せないの? それとも説明できないの? どっちなの?」
七海が、目を細めた七海が俺に問いかけてくる。
「ふーん。そうなんだ……。そんなに話せないことなんだ」
何故か一人で納得する妹に、どうしたものかと思案するが言い切り抜け方が思い浮かばない。
「それなら、さっきの人に聞いてくるから!」
立ち上がって、ベランダに出て行こうとする七海の腕を思わず掴む。
「――ッ!」
俺の行動に、眉間に皺を寄せる七海。
「わ、分かった。事情は説明するから、少し時間をくれないか?」
「……すぐに話してくれたのなら、突撃しないわ」
すぐって、また無理難題を……。
一瞬、静さんが七海を迎えにくるまで時間を引き延ばそうと画策するが、流石に勝浦まで、横浜から来るには時間が掛かりすぎると考えて断念する。
「それで、拓真。どういう風になって、どういう形で、どうしてあんな人に旦那様呼ばわりされているのよ?」
「……」
「話すつもりはないの?」
「……」
なんて説明していいか俺も分からないんだって!
本当のことを言ったら、間違いなく社会的に死亡案件だし。
「もう――、いい!」
七海が怒り心頭と言った様子で立ち上がると、ベランダへと向かう。
そしてベランダに出るか否かと言ったところで、「やっぱり恋人同士の逢瀬を語るなんて出来ないわよね?」と、ステラが姿を見せた。
そのステラを見た七海の表情は険しくなり、「この! 泥棒猫! やっぱり! アンタが、拓真に何かしたのね!」と、叫ぶ。
マジで、ここ借家のアパートで声が通るから、そういう叫ぶような真似は本当に止めてほしい。
居づらくなるから。
「私と拓真の関係性を、義理とは言え妹さんに説明する必要なんてあるのかしら? 中学生は、家に帰った方がいいわよね? ね? 旦那様も、そう思うわよね?」
「……それは」
言い過ぎなのではないのか?
――と、考えてしまう俺がいるわけで――。
ただ本当のことを言う訳にもいかない。
ここは、七海に諦めて帰ってもらうしかないが……。
どうしたものか。
「七海」
もう、ここは嘘に嘘を重ねるしかない。
そもそも七海は、俺に対して変な執着を持っているのは分かっていた。
だからこそ、こんな遠くに一人で引っ越したわけで。
「何?」
「俺とステラは、婚約している。だから――」
「そんなの! 私は! 絶対に! 認めないんだからっ!」
思った以上の反発。
ただ、それは予想できていたことだ。
そのくらい考えが及ばなければ、そもそも勝浦の高校に入学してない。
「ごめんな。七海」
「――ッ」
「俺は、ステラを愛しているんだ」
「――ッ」
愛しているという言葉を今まで殆ど使ったことは無いが、これ以上は七海にも悪いと思い、突き放さないといけないという気持ちから言葉を吐露した。
そして七海は、バン! と、アパートのドアを開けて出て行ってしまった。
「七海っ!」
思わず妹の名を呼んで追いかけようとしたが、そんな俺の手をステラが掴む。
「拓真、ここで追いかけるってことは私への愛の賛歌を嘘だと認めるようなモノなのよ? 本当にいいの?」
そう、ステラは真剣な面持ちで語り掛けてきた。
七海が、目を細めた七海が俺に問いかけてくる。
「ふーん。そうなんだ……。そんなに話せないことなんだ」
何故か一人で納得する妹に、どうしたものかと思案するが言い切り抜け方が思い浮かばない。
「それなら、さっきの人に聞いてくるから!」
立ち上がって、ベランダに出て行こうとする七海の腕を思わず掴む。
「――ッ!」
俺の行動に、眉間に皺を寄せる七海。
「わ、分かった。事情は説明するから、少し時間をくれないか?」
「……すぐに話してくれたのなら、突撃しないわ」
すぐって、また無理難題を……。
一瞬、静さんが七海を迎えにくるまで時間を引き延ばそうと画策するが、流石に勝浦まで、横浜から来るには時間が掛かりすぎると考えて断念する。
「それで、拓真。どういう風になって、どういう形で、どうしてあんな人に旦那様呼ばわりされているのよ?」
「……」
「話すつもりはないの?」
「……」
なんて説明していいか俺も分からないんだって!
本当のことを言ったら、間違いなく社会的に死亡案件だし。
「もう――、いい!」
七海が怒り心頭と言った様子で立ち上がると、ベランダへと向かう。
そしてベランダに出るか否かと言ったところで、「やっぱり恋人同士の逢瀬を語るなんて出来ないわよね?」と、ステラが姿を見せた。
そのステラを見た七海の表情は険しくなり、「この! 泥棒猫! やっぱり! アンタが、拓真に何かしたのね!」と、叫ぶ。
マジで、ここ借家のアパートで声が通るから、そういう叫ぶような真似は本当に止めてほしい。
居づらくなるから。
「私と拓真の関係性を、義理とは言え妹さんに説明する必要なんてあるのかしら? 中学生は、家に帰った方がいいわよね? ね? 旦那様も、そう思うわよね?」
「……それは」
言い過ぎなのではないのか?
――と、考えてしまう俺がいるわけで――。
ただ本当のことを言う訳にもいかない。
ここは、七海に諦めて帰ってもらうしかないが……。
どうしたものか。
「七海」
もう、ここは嘘に嘘を重ねるしかない。
そもそも七海は、俺に対して変な執着を持っているのは分かっていた。
だからこそ、こんな遠くに一人で引っ越したわけで。
「何?」
「俺とステラは、婚約している。だから――」
「そんなの! 私は! 絶対に! 認めないんだからっ!」
思った以上の反発。
ただ、それは予想できていたことだ。
そのくらい考えが及ばなければ、そもそも勝浦の高校に入学してない。
「ごめんな。七海」
「――ッ」
「俺は、ステラを愛しているんだ」
「――ッ」
愛しているという言葉を今まで殆ど使ったことは無いが、これ以上は七海にも悪いと思い、突き放さないといけないという気持ちから言葉を吐露した。
そして七海は、バン! と、アパートのドアを開けて出て行ってしまった。
「七海っ!」
思わず妹の名を呼んで追いかけようとしたが、そんな俺の手をステラが掴む。
「拓真、ここで追いかけるってことは私への愛の賛歌を嘘だと認めるようなモノなのよ? 本当にいいの?」
そう、ステラは真剣な面持ちで語り掛けてきた。
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